早生まれが有利とは限らない2歳マイル重賞
函館2歳Sから始まった今年の2歳重賞戦線、今週は新潟2歳Sが行われる。しかし、次週には1800m戦の札幌2歳Sと、1200m戦の小倉2歳Sが組まれており、出走させる陣営にとって選択肢があった中でのレースだ。そのため、登録馬をざっと確認しても、過去新潟2歳Sで好走歴のある血統の馬ばかりが登録してきており、なかなか難しいレースだ。
とはいえ、まだまだ成長期である夏の2歳戦では「早生まれ有利」という原則は間違いない。実際、先週までに行われた今年の2歳戦生月別成績を見ると、勝率はきれいに早生まれ順に並んでいる。1月生まれが12.6%、2月生まれが9.9%、3月生まれが8.6%、4月生まれが7.8%、5月生まれが4.5%、6月生まれが0%だ。
だが、これくらいのことは競馬ファンならご存知だろう。実際、1月生まれの単勝回収率は38%と見事にお安い配当に留まる。とはいえ2月生まれで106%、3月生まれで105%なので、4月生まれの71%と比べると美味しい配当ではあるのだ。
しかし、新潟2歳Sでの生月別成績を見てみるとちょっと様子が変わってくる。過去10年の成績を見てみると、1着は2月生まれが5勝、4月生まれが4勝、そして3月生まれが1勝である。一番仕上がりが早いと思われる1月生まれの馬だが、そもそも10年間で9頭しか出走しておらず【0-1-0-8】という成績だ。
考えられることは、1月生まれの馬は早い仕上がりが期待できる短距離向きの馬が多く、新馬は勝ち上がれるがマイル戦である新潟2歳Sは目標レースになりにくいことが考えられる。生産サイクルに乗っている王道の4月生まれが巻き返してくる部分は大きい。
そう思わせる理由は4勝している4月生まれのうち、3頭は社台・ノーザン系の生産馬だからである。2月生まれの5勝は2頭が社台・ノーザン系であるが、他の3頭はそれ以外の生産馬である。
この原則を当てはめると、まずは2月生まれの登録馬は2頭でオタルエバーとクレイドル。そして4月生まれの社台・ノーザン系は今回登録馬にはいない。だが、3月31日生まれにアライバル(ノーザンファーム)とキミワクイーン(追分ファーム)の2頭が登録している。
このなかで注目したいのはキミワクイーンだ。6月20日の東京新馬戦ではスタート好発後、外を2番手並走でレースを進め、直線も速い上がりでまとめ後続を振り切った。差しが決まりやすい新潟2歳Sだが、このレース内容であれば控える競馬も大丈夫そうなので、単勝で期待してみたい。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
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