今年も波乱を視野に
スプリント界も他のカテゴリーと同じく、極力レース数を絞り、ゆったりと出走間隔をとって本番を迎える時代になった。秋の大一番スプリンターズS、有力ステップレースのセントウルSは本番まで中2週しかない。それを考えると、キーンランドCは中4週と理想的。北海道で調整する利点も含め、ここから本番に向かう馬は18、19年ダノンスマッシュ、19年タワーオブロンドンなど多い。
競馬のサイクルは我々の日常よりもスピード感がある。早くも秋への手がかりになりそうなキーンランドCについて過去10年間のデータをもとに探ってみたい。
夏の短距離路線というと波乱を期待したくなるものだが、このレースは1番人気【3-4-1-2】勝率30%、複勝率80%と堅い。先述の通り、サマースプリントシリーズを狙う馬と秋を展望する馬が交錯するレースであり、別定戦のため斤量差も小さく、まず実績馬が強い。ただし、今年はスプリンターズSを展望するようなGⅠ実績馬が手薄。上位人気は3歳メイケイエール、レイハリアが予想されるが、これで決まりといえるだけの馬はいない。
そうはいいつつ、10番人気以下は【1-0-0-62】。17年12番人気で勝ったエポワスしか好走はない。ちなみに、この年の1番人気は3歳モンドキャンノ。実績馬不在の混戦模様は今年の図式と似てなくもない。複勝率でみれば、2~9番人気は、7番人気【0-0-0-10】、8番人気【1-0-0-9】(1着は15年ウキヨノカゼ)を除くとほぼ横並び。今年はやや波乱を頭に入れ、視野を広くとりたいところだ。
17年に9歳エポワスが勝利したものの、7歳以上は【1-1-1-26】とベテラン勢は基本的には厳しい。GⅠ実績馬セイウンコウセイは8歳。つねに重賞で勝ち馬から1秒以内にくる堅実さは買えるが……。一方、メイケイエールやレイハリアの3歳も【1-2-0-19】勝率4.5%、複勝率13.6%とイマイチ。16年2番人気1着ブランボヌールは当時、桜花賞8着、NHKマイルC6着からここに駒を進めた。桜花賞18着だったメイケイエールとの比較は難しいが、キャラクターとしては似てなくもない。
となると、主要世代は4歳【4-4-4-21】勝率12.1%、複勝率36.4%、5歳【4-2-4-31】勝率9.8%、複勝率24.4%のふた世代。実績馬では阪急杯2着の5歳ミッキーブリランテ、昨年の勝ち馬エイティーンガールなどが該当する。
札幌芝1200mといえば枠順の有利不利はなさそうな舞台だが、このレースでは7枠【3-1-3-13】、8枠【1-2-2-15】など外枠の成績がいい。反対に1枠【1-0-0-16】、2枠【1-0-2-14】、3枠【0-1-0-18】と内枠は苦戦。札幌芝1200mは最初のコーナーまでが函館より短く、ペースが上がりにくい。ハイペースになりにくい1200m戦は馬群がバラけず、ひと塊になって進む場合が多い。そのストレスがこの傾向に反映している。外枠に入った馬の評価はあげておきたい。