狙ってみたい、2月生まれ
新潟2歳Sは2歳戦初のマイル重賞とあって、将来有望な馬が多く集まる。舞台は日本一長い直線を有する新潟外回り。申し分ない設定だ。
ところが、極限の瞬発力勝負になることと、マイルという距離を走るからなのか、新潟2歳Sを勝った馬は不振に陥る傾向がある。近年だと18年ケイデンスコールが活躍したものの、17、19、20年の勝ち馬はその後未勝利だ。それだけこのレースは2歳にとって消耗しやすい。裏を返せば、展開面で恵まれるなどではなく、力のある馬でないと新潟2歳Sは勝てない。ここでは過去10年間のデータをもとに、キャリアの浅い馬たちのなかから勝てる力のある馬を探したい。
1番人気【4-3-0-3】勝率40%、複勝率70%を含め、4番人気以内は【10-6-3-21】と強い。例年、全馬ほぼ1勝馬の組み合わせになりながらも、人気が正確に結果に反映される。競馬ファンのジャッジはすばらしい。ちょっとみなさんに委ねたいぐらいだ。そうはいいつつ、5番人気以下も2、3着には顔を出すので、馬券全体で考えればここは幅広く構えたい。
キャリアの浅い2歳馬同士のレースならではのデータとして、生まれ月別の成績がある。人間の世界では4月で学年が変わるので、4月生まれと3月生まれでは約1年の違いがあり、小さい頃はそれが体力などの差になってしまうことがある。
サラブレッドは1月基準、それも誕生月は上半期に集中するのでバラつきは少ない。だが、このレースは早めの2月生まれが【5-3-1-29】勝率13.2%、複勝率23.7%と成績がいい。といいつつ、1月は【0-1-0-8】。頭数が少ないのでなんとも言えないが、もっとも多く生まれる3月【1-4-7-50】に比べれば、2月生まれは勝ち切る。4月【4-0-1-28】があるので一概にはいえないが……。なお、2月生まれはオタルエバー、クレイドルなどが該当する。
好走条件は着差をつけて新馬を勝つこと
あまり参考にならないデータばかりではいけないので、前走データを詳しくみていきたい。
前走は新馬【7-7-7-71】もしくは未勝利【3-3-2-31】が大半。ダリア賞を含むオープンは【0-0-0-26】、GⅢ、つまり函館2歳Sは【0-0-1-0】(15年8番人気3着マコトルーメン)。今年でいえばダリア賞2着コムストックロードは厳しい。
新馬組の内訳について前走距離別成績をみると、今回と同じマイルだった馬が【4-3-3-22】勝率12.5%、複勝率31.3%と好成績。勝ち馬は出ていないが、1800mだった馬は【0-2-1-10】複勝率23.1%と確率がいい。
前走がマイルの新馬戦だった馬の競馬場別成績を出すと、新潟【2-1-0-11】勝率14.3%、複勝率21.4%、東京【1-2-1-5】勝率11.1%、複勝率44.4%に良績が集まる。クラウンドマジックが当てはまる中京マイルも頭数は少ないものの、【1-0-0-4】と悪くはない。東京マイル新馬勝ちはアライバル、クレイドル。新潟マイル新馬勝ちは、オタルエバーがいる。
なお、東京マイル新馬勝ち、着差0.1~0.2だと【0-2-1-1】、0.3以上は【1-0-0-3】。0.0差だったクレイドルよりは0.4差勝ちのアライバルを評価したい。
さらにオタルエバーの新潟マイル新馬勝ちは0.7差。着差0.6以上だと【1-1-0-1】。負かした馬にはこの世代の大物と評されるコリエンテスがいる。ここも通用する力は十分ある。ちなみにオタルエバーは2月生まれだ。
最後に新馬勝ちよりも劣勢ながら好走馬を出す未勝利【3-3-2-31】について、距離別成績を出す。ここは前走マイルが【3-0-2-8】勝率23.1%、複勝率38.5%と信頼できる。スタニングローズがこれに当てはまる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。
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