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【共同通信杯】ステラヴェローチェは消し ここ10年で「8勝」のデータに該当する本命馬は?

2021 2/11 10:49門田光生
2021年共同通信杯のデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

皐月賞へのステップレース

2月14日に東京競馬場で行われる第55回共同通信杯。過去の成績を眺めていると、ダイナガリバー、アイネスフウジン、ナリタブライアン、ジャングルポケットなど、のちのダービー馬が勝ち馬となっていることに気づく。また、近年は皐月賞の有力な前哨戦としても注目されており、ここ10年で4頭の皐月賞馬を輩出。3つある皐月賞トライアル(弥生賞、スプリングS、若葉S)を抑えて、最も本番につながるステップレースとして存在感を見せている。

といっても、皐月賞の前哨戦として定着したのはここ10年の話。2001~2010年の10年間だと、共同通信杯から直接皐月賞へ向かった馬は7頭しかいなかった。このレースの後にもう1走して本番へ、というパターンが当時は多かったのだが、最近はむしろ間隔をあけてGIに挑むことが当たり前になってきた。適度な間隔という意味では、皐月賞まで2か月ほど開く共同通信杯が、現代競馬においてちょうどいい日程上にあるのだろう。

今回も過去10年のデータを基にして、この重要な一戦にどんな傾向があるのかを調べていきたい。

妙味は前走2着馬

共同通信杯出走馬の性別・所属ⒸSPAIA


ここ10年で馬券に絡んだ30頭は全て牡馬である。同時期、同じ競馬場で3歳牝馬限定のクイーンCがある関係もあって、共同通信杯に牝馬が参戦するのは珍しいこと。ちなみに、ここ10年で牝馬が出走したのはたった3頭だけ。

所属別だと美浦所属馬が12連対、栗東所属馬が8連対。数字上は関東馬がやや有利だが、勝率、連対率だと栗東所属馬がわずかに上回る。この項目に関しては大きな差はないと考えてよさそう。

共同通信杯出走馬のキャリアⒸSPAIA


続いてキャリアを調べてみると、最も成績がいいのはキャリア3戦の9連対。続くのはキャリア4戦の5連対で、勝率、連対率はキャリア3戦と全く同じ。

また、キャリア1戦は7頭中3頭が馬券に絡んでいるが、その3頭とも新馬戦が1800m以上、そして1番人気で勝ち上がったという共通点がある。キャリア5戦を超える馬も連対例はあるが、ほかと比べて勝率、連対率ともぐっと下がってしまう。

共同通信杯出走馬の前走着順ⒸSPAIA

共同通信杯出走馬の前走着差ⒸSPAIA


新馬勝ちした馬が活躍しているように、前走で好走した馬が続けて結果を出しているというデータが出ている。最も連対しているのは前走1着馬だが、勝率、連対率では前走2、3着馬の方が上。特に前走2着馬は連対率が40%を超えている。なお、前走が4着以下だった45頭から勝ち馬は出ておらず、2着が2回あるだけ。

前走1着馬は勝ち方も関係しているようで、楽勝した馬、具体的にはコンマ6秒差以上で勝った馬は【2-1-0-1】。着外だったのは地方のレースで、前走をJRAのレースに限ると連対率が100%となる。また負けるにしても、接戦であればあるほど成績がいい傾向にある。なお、コンマ6秒以上の負けだと連対率が3.3%まで下がる。

共同通信杯出走馬の前走距離ⒸSPAIA

共同通信杯出走馬の前走および前走脚質


前走距離についてだが、馬券に絡んだ馬は前走1600m、1800m、2000mの3パターンしかない。それぞれ4連対、7連対、9連対となるが、連対率で抜けているのは1800mを使った組。前走1800m組から連対した馬にはイスラボニータ、スワーヴリチャード、ディープブリランテ、ドゥラメンテ、リアルスティールという、のちにGIを勝つ馬が名を連ねている。もし、今年の連対馬が前走で1800mを使った馬であれば、その後も追いかけて損はないだろう。

前走クラスに関しては、GIを使ってここに挑んだ馬の連対率が40%を超えている。さすがの数字だが、なぜか勝ち馬が1頭も出ていない。連軸ならともかく、単勝や馬単の頭としては狙いづらい。また、未勝利を勝ち上がった馬から連対馬は出ていない(注:2016年の勝ち馬ディーマジェスティは前走取消→2走前が未勝利勝ち)。

共同通信杯出走馬の誕生月ⒸSPAIA


最後に誕生月を。3歳2月の時点なら、まだ完成度がものをいうはずだ。というわけで調べた結果、3月生まれが8勝という極端な結果が出た。先週行われたきさらぎ賞は2月生まれが圧倒的に強かったのだが、共同通信杯では最多の34頭が出走して、連対馬は1頭だけ。1週間ずれるだけでこうも違うとは。ともかく、このレースは3月生まれが有利と考えて予想を組み立てていきたい。

決め手は3月生まれ

データが出そろったところで共同通信杯の好走パターンをまとめることにする。A「キャリア3戦か4戦、キャリア1戦は初戦が1800m以上で1番人気」B「前走2着馬、前走1着ならコンマ6秒以上差」C「前走1800m」D「3月生まれ」となる。

マイナスデータはE「キャリア5戦以上」F「前走がコンマ6秒以上の負け、または前走4着以下」G「前走が未勝利戦」H「2月生まれ」。

好走パターンを多く満たしていて、かつマイナスデータがない馬はディオスバリエンテ(ACD)。同じ1戦1勝馬であるヴィクティファルス、シャフリヤールもACを満たしているのだが、ディオスバリエンテだけがここ10年で8勝している3月生まれ。これが決め手となってこのレースの本命に指名したい。もちろん、残る2頭も相手には加えたい。

ところで、今回の強データは10年で8勝している「3月生まれ」と「前走がJRAのレース、かつコンマ6秒以上の差で勝った馬」の2つ。まず3月生まれだが、◎ディオスバリエンテを含めて4頭いる。Aを満たしているハートオブアシティとプラチナトレジャーの2頭は、前走でコンマ6秒以上負けているので厳しい。残るエフフォーリアは3月生まれという以外は好データに当てはまらないので、今回は見送りたい。

続いて「前走がJRAでコンマ6秒以上の差で勝った馬」だが、これはレフトゥバーズだけ。この馬もほかに好データはなく、しかも実績がない牝馬でもある。その点がどうかだが、この項目を満たした馬は連対率100%。出走してくれば必ず押さえておきたい。

ステラヴェローチェは(AB)を満たしているが、連対率2.6%と極端に低い2月生まれ。人気を考えても、今回は消した方が面白い。

◎ディオスバリエンテ
〇ヴィクティファルス
▲シャフリヤール
△レフトゥバーズ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
最近、パソコンで文章を打つ際の文字サイズがどんどん大きくなっています。そして、手元にある資料の細かい字が、眼鏡をはずさないと見えなくなりました。恐るべし、近眼&老眼。


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