冬の中山芝は大型馬狙い
2020年、ホープフルSが土曜日に行われる。これには懐かしさを感じる。かつてクラシックを展望する2歳重賞として、ラジオNIKKEI(たんぱ)杯2歳Sがあった。有馬記念前日の阪神競馬から翌年クラシックへ。
2000m戦になってからは92年ナリタタイシン、94年タヤスツヨシ、98年アドマイヤベガ、00年アグネスタキオン、02年ザッツザプレンティ、08年ロジユニヴァース、09年ヴィクトワールピサ、12年エピファネイア、13年ワンアンドオンリーなど多くのクラシックウイナーを輩出した。
2014年の2歳戦改革によりホープフルSは重賞になって7年、GⅠ昇格後4年目にもかかわらず今年37回目を迎える。これは、ラジオNIKKEI(たんぱ)杯の歴史を引き継いだためだ。よって有馬記念前日の施行は里帰りといったところだろうか。
中山に移り、騙馬不可、2歳牡・牝と条件が変更、よりクラシックを意識したレースとなったホープフルSについて、オープン特別時代を含め10年分のデータと重賞昇格後の傾向変化を踏まえて分析する。
冬の中山芝を攻略する指標に馬体重がある。
12、1月の中山芝、過去10年の馬体重別成績で、トップは520~538キロの勝率9.6%、複勝率25.1%。2歳限定戦も例外ではなく、ホープフルSも大きな馬が優位。500キロ以上は【4-1-3-18】勝率15.4%、複勝率30.8%。
重賞昇格後も変わらず500キロ以上は【2-1-1-10】勝率14.3%、複勝率28.6%と好成績。今年は主役級のダノンザキッド(前走520キロ)、ヨーホーレイク(前走500キロ)などが当てはまる。
2歳戦で重要なキャリア別成績をみると、1戦【5-0-3-11】、2戦【4-5-4-31】と浅いキャリアの馬が大半を占め、2戦以内だと【9-5-7-42】と圧倒的。重賞昇格後6年間も2戦以内は【5-3-5-28】と好走馬の大部分はここから出るが、1戦が【2-0-2-6】勝率20%、複勝率40%とわずかながらダウン。
その分、2戦が【3-3-3-22】勝率9.7%、複勝率29%とやや確率をアップさせている。登録馬でキャリア1戦はアオイショーのみ。2戦はダノンザキッド、ヨーホーレイク、オーソクレース、アドマイヤザーゲ、タイトルホルダー、ランドオブリバティと上位人気から伏兵まで多数いる。
近年上昇中の前走1勝クラス
ではここからはさらに絞り込むためにそれぞれの戦歴データから分析を進める。
前項で重賞昇格後はキャリア1戦の成績がダウン傾向にあると指摘したが、前走新馬【5-0-3-11】はこの6年だと【2-0-2-6】とやや下降。
かつては新馬、オープン、GⅢ、GⅡ組が大半だったが、重賞昇格後は1勝クラス【1-2-1-17】が数値を上昇(16年レイデオロ1着、18年アドマイヤジャスタ2着など)。未勝利【0-1-1-18】以外は注意せねばならない。
オープン組は重賞昇格後も傾向は変わらず、過去10年、前走萩S組【2-1-0-2】勝率40%、複勝率60%が大半。これにアイビーS【0-0-1-2】が加わる。オーソクレース(アイビーS1着)、シュヴァリエローズ(萩S1着)が該当。
なお、アイビーS2着ラーゴムが京都2歳S2着、同3着スパイラルノヴァがエリカ賞3着。萩S2着ジュンブルースカイが東京スポーツ杯2歳S3着、同3着ワンダフルタウンが京都2歳S1着。
力関係でいえばオーソクレース、シュヴァリエローズどちらも通用可能だろう。
つづいて前走GⅢ組の前走レース別成績をみる。
東京スポーツ杯2歳Sは【1-0-3-12】。以外にも過去10年で勝ったのは19年コントレイルのみ。無敗のクラシック三冠馬の足跡をたどるように歩むダノンザキッドはもちろん勝てば21年クラシック戦線の堂々主役だろう。
2着タイトルホルダーを含め、キャリア別データにも合致。軽視禁物ながらコントレイル以外はそこまで結果が出ていないローテでもあり、そこは冷静になって考えたい。コントレイルに続けという煽り文句には踊らされないようにしたい。
前記の通り、重賞昇格後にデータを上昇させた1勝クラス組ヨーホーレイク(紫菊賞1着)も含め、オーソクレース、シュヴァリエローズ、ダノンザキッドといった主役級に減点材料は少ない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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