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【エリザベス女王杯】今年はタフさ要求される阪神開催 狙うはスタミナ十分、遅咲きの良血馬

2020 11/14 11:00坂上明大
2020年エリザベス女王杯 インフォグラフィック
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ⒸSPAIA

マイラーのワンツー決着

京都競馬場の改修工事により、今年のエリザベス女王杯は阪神芝2200mで行われる。京都芝2200mからの変更は外回りから内回りに替わるなど同距離でも変化が大きく、よりタフさが求められるレースになりそうだ。どの馬がタフさ比べに強いか、参考レースから読み解いていく。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

札幌記念トラックバイアス インフォグラフィック


【札幌記念】
木曜日に0.5mmの降雨を確認したのみで当日は馬場が乾燥し、-1.0~-1.5秒の「速い」勝ち時計が見られた。前週までのAコースからCコースに替わり、内ラチが約6m外へ移動したことで、傷んだ馬場が隠されて内を通った馬が多く好走。トラックバイアスは「内有利」と評価する。

1着馬ノームコアは最内枠から中団のインで折り合って、直線入口でスムーズに外へ。緩いペースを折り合ったことでマイラー2頭での叩き合いを制した。末脚は1600mでも2000mでも素晴らしいモノがある。ただ、2000mでの好走はスローペースばかりだけに、激しい流れになった時にスタミナが持つかは微妙だ。

3着馬ラッキーライラックは2番手追走から3角で仕掛けて早め先頭に。ただ、ラスト1Fは大きく失速し、全く粘りが利かなかった。これ以前も持続力に課題があり、積極的に乗るとラストで甘くなる面がある馬。大阪杯のようにギリギリまでインで脚をタメたいところだ。

大荒れの最重要ステップレース

【府中牝馬S】
弱い雨が終日続き、合計1.5mmの降雨。馬場状態は稍重→重と徐々に悪化していった。時計は±0.0~+2.0秒と「遅め」。内目が荒れていたが、本レース前にも内目から好走馬が出ており、トラックバイアスは「稍外有利」に止める。レースは全体ラップこそトロワゼトワルが速めの流れを刻んだが、3番手以降は後傾1.4秒の府中牝馬Sらしいスローペース。馬場の影響もあり、直線で速い脚を使った下位人気3頭が上位を独占する形となった。

1着馬サラキアは外目中団で折り合って、直線は楽に抜け出して重賞初勝利。仕上がりの差があったとはいえ、上がり1Fは2位の2、3着馬より0.3秒速く、着差通りの強い勝ちっぷりであった。晩成血統らしく年々馬体重を増やしており、昨年以上の競馬が期待できる。

5着馬ラヴズオンリーユーは久々で12キロ増。数字通りの前哨戦仕上げであった。

ハイペースの外差し競馬

【秋華賞】
前日は雨で稍重→重、当日は回復するも稍重止まりでタフな馬場状態となり、時計は+1.0秒弱と遅め。慢性的に馬場の内側が傷み、馬群が内を嫌うほどだったため「外有利」は間違い無いだろう。レースはマルターズディオサがやや掛かり気味に逃げ、前後半1000m59.4-61.2のハイペース。馬場状態も相まって「後有利」の競馬であった。

3着馬ソフトフルートは後方待機から大外をグルッと。距離ロスはかなり大きかったが、展開としては向いた形だった。

5着馬ミスニューヨークは3~4角で包まれて仕掛け遅れ。上がり3Fは12.7-12.0-12.0程度と脚を余した形だ。高速馬場は向かないが、タフな競馬は大歓迎だろう。

リアアメリアとウインマリリンは前々の競馬で展開不利。特にウインマリリンは叩いての上積みが見込め、阪神芝2200mも合っている。

遅咲きの良血馬

◎サラキアは12年独オークス馬サロミナの2番仔。CrepelloやHyperionを増幅した配合形でスタミナは十分だ。○センテリュオも晩成型クラフテイワイフ牝系で充実一途。▲ラヴズオンリーユーはようやく順調にGⅠを迎えられる。復活に期待。

◎サラキア
○センテリュオ
▲ラヴズオンリーユー

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。


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