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【エリザベス女王杯】5歳でいよいよ本格化 狙うは阪神コースで複勝率57.1%のセンテリュオ

2020年エリザベス女王杯 主な出走馬の阪神コース成績ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ラッキーライラックは阪神で重賞3勝

11月15日(日)に阪神競馬場で行われるエリザベス女王杯 (GⅠ・芝2200m)。アーモンドアイ、クロノジェネシス、デアリングタクト、カレンブーケドールらが不在で「秋の女王決定戦」という文句が実のないものになってしまった感はあるが、それでも GⅠ・3勝馬ラッキーライラックを筆頭に楽しみなメンバーが顔をそろえた。

しかし本馬も前走・札幌記念では3着に敗れており、抜けた存在とは言い難いところ。さらに今年は開催日割り変更で阪神開催となったこともあり、レース傾向があてにならないという点でも難解な一戦だ。真に狙うべきは果たしてどの馬なのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

いつもなら過去10年の傾向分析から入るところだが、今回は阪神開催という点に重きを置いた分析を行っていきたい。前提として、京都が外回りコース使用・直線は平坦であるのに対し、阪神は内回りコース使用・直線に急坂ありとコースの形状が大きく異なっている。従って、昨年の好走馬でも入念に検討する必要がある。手始めに各馬の阪神実績を確認してみよう。

出走馬の阪神コース成績ⒸSPAIA


ラッキーライラックは阪神JF、チューリップ賞、大阪杯とGⅠ2勝を含む重賞3勝を挙げており、実績では他を圧倒している格好だ。ラヴズオンリーユーは3歳時の忘れな草賞(1着)および今年の鳴尾記念(2着)と順当に結果を残している。センテリュオもコース経験は豊富であり、3歳時のローズS(7着)を除いて掲示板を外しておらず、安定感は評価に値するだろう。

人気サイド以外では未勝利・1勝クラスと阪神で2勝を挙げているエスポワールも注目したい。中山をはじめ直線で坂のあるコースで高いパフォーマンスを見せているし、阪神に替わったのはプラスに働きそうだ。

内枠を中心に

過去10年の阪神芝2200m枠番別成績ⒸSPAIA


もともと施行数が少ない条件のため、ここでは過去10年まで範囲を広げて枠番別成績をチェックする。成績のうえでは勝率・連対率・複勝率ともに2枠がトップであり、全体的に真ん中から内目の枠が安定している。対照的に外目の7、8枠の成績は比較的に低調となっている。

阪神は先週が開幕週だったが、土曜メインのファンタジーSで2歳レコードが記録されるなど、かなり時計の出やすい馬場状態であった。内回りという条件を考えればやはり内目で立ち回れる馬に利がありそうだが、内と外でのバイアスは明確には見受けられなかったため過剰に外枠を嫌う必要はないだろう。第1コーナーまで距離がある舞台ということを考えても、実力馬なら外枠でも大きくパフォーマンスを落とすことはないものと考えたい。

初GⅠ制覇に期待

これらのデータも踏まえた結果、本命はセンテリュオとする。2走前は波乱傾向が非常に強いマーメイドSでトップハンデを背負ってキッチリ2着。さらに前走のオールカマーで実績馬を大外から差し切って重賞タイトル獲得と、5歳にしていよいよ本格化を迎えたと言っていい。ローテーション的にもここを目標にしてきた印象を受けるし、4枠8番という枠順も好材料。昨年の雪辱に向けて態勢は万全だ。

対抗はラッキーライラック。札幌記念では積極的に出していく競馬で、直線では一旦先頭に立つも交わされての3着。早仕掛けが結果的に仇となってしまった。大外枠に入ったことで立ち回りに若干の難しさは出てきたが、鞍上のルメール騎手の手腕なら出脚の鋭さを活かしつつキッチリ折り合うというタスクも造作ないことだろう。

3番手にラヴズオンリーユー。前走の府中牝馬Sでは重馬場・太め残りが祟って5着と凡走に終わったが、原因が明確なぶん、力落ちを過度に心配する必要はないだろう。昨年のように一気のギアチェンジが求められる展開ではあまり良さが活きないため、早い段階でスパートが始まる内回り戦はこの馬向きと考えたい。

4番手にはエスポワール。前走の新潟牝馬Sは、勝ち馬から離されての2着ということで強調材料には乏しいようにも思われるが、休み明けのぶん勝負所で反応が遅れたと考えればそこまで悲観すべきものではない。急坂のある舞台への適性はあるし、実績馬を脅かすポテンシャルはあるはずだ。もう少し内目の枠が欲しかったのは否めないが、その点は過去10年の当該コース【13-10-3-25】で複回収率130%を記録している武豊騎手の手綱捌きでカバーできるはずだ。

人気の一角ノームコアに関しては、阪神に替わったことによるプラス材料が乏しい点がネック。距離への対応に不安はなさそうだが、良化の余地および馬券的な妙味という点を踏まえてここは相手評価としたい。以下、好枠を引いたサムシングジャストと秋華賞3着から臨むソフトフルートまで押さえておく。

▽エリザベス女王杯予想▽
◎センテリュオ
○ラッキーライラック
▲ラヴズオンリーユー
△エスポワール
×ノームコア
×サムシングジャスト
×ソフトフルート

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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