推薦次第で2022日本ツアーへ
2017年から2019年の日本女子ゴルフで「セクシークイーン」の愛称で旋風を巻き起こしたアン・シネが、今季日本ツアー再挑戦に意欲を見せている。2020年はツアー出場資格を持っていたが、新型コロナの影響で一試合も出場できなかった。今季は日本ツアー出場資格こそないが、最大8試合、主催者推薦での出場が可能だ。
ただ、2021年は韓国で1試合に出場しただけ。現状、実戦の感覚がつかめているとは思えない。元々日本ツアーでは容姿ばかりが注目を集め、目立った活躍がない。今年32歳になり年齢的にもピークは過ぎているだろう。韓国ツアー3勝(国内メジャー1勝)の実績があるとはいえ、年々レベルが上がっている日本女子ゴルフ界での活躍には懐疑的にならざるをえない。
今季、主催者推薦をもらうことができ、2019年以来の日本ツアー出場となった場合、活躍する可能性はどれくらいあるのだろうか。
プロテスト合格、ツアー予選会突破の実力
日本ツアーの規定が変わり、日本女子プロゴルフ協会の正会員でなければ、2019年から予選会に出場することができなくなった。そこで、アン・シネは2019年のプロテストを受験し見事に合格。正会員となり、出場したツアー予選会でも好成績を挙げ、2020年前半戦出場権を獲得した。
この2019年のプロテスト合格と予選会突破を達成した同期にはミレニアム世代の西村優菜、吉田優利、安田祐香らがいる。ミレニアム世代の1学年下の笹生優花も、アン・シネの同期だ。
この時すでに日本女子ゴルフ界もレベルが上がっており、プロテストも予選会も熾烈を極めた。この約1年半後に全米女子オープン覇者となる笹生ですらも、ボーダーラインギリギリでのプロテスト合格だった。
アン・シネのプロテスト合格と予選会突破は一定の評価ができる。どちらも3日目に崩れたものの粘り強くプレーし、最終日に盛り返した。日本ツアーでも、これまでの経験を武器に粘り強さを発揮することができれば、上位にくいこむ可能性があるのではないだろうか。
スイングはオーソドックス
アン・シネは過去出場した日本の試合ではトップ10がなく、予選通過の確率が低い。3年間トータルでの予選通過の確率は50%を切っている。人気や話題の方が先行しており、高いレベルのプレーは多くない。
しかし、スイングは力強さは無いものの、他の韓国人選手同様オーソドックス。飛距離が出る方ではないが、ドライバーショットの精度は高い。
日本ツアーで最も上位(12位)だった2017年のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでは、ドライビングディスタンスが42位でフェアウェイキープ率が10位タイ。2019年のドライビングディスタンスは225.47ヤード(95位相当※)だが、フェアウェイキープ率は70.4852%(26位相当※)とまずまずだった。
※ラウンド数不足のため「相当」
出場すればフィーバー必至か
アン・シネが最後に日本でプレーしたのは、2019年のツアー予選会となってしまっている。日本の試合に出場するためにプロテストまで受け、合格した時には「目標は日本ツアー優勝」とも語っていた。
2020年はその目標に向けて準備をしていた。新型コロナの影響でその目標に向けた歩みはストップせざるをえなくなってしまったが、このまま終わるわけにはいかないだろう。
主催者推薦を獲得して日本ツアー再挑戦の切符を手に入れ、出場が実現すればフィーバーは必至。今季、再び歩みを進める年になるのか、セクシークイーンの動向に注目だ。
【関連記事】
・プロゴルファーの所属契約とスポンサー契約の違いとは?稲見萌寧が楽天にもたらすメリット
・女子ゴルフ古江彩佳、宮里藍も果たせなかった米ツアー新人Vへ必要なこと
・ミレニアム世代の安田祐香、今季巻き返しを図るために必要なこと