アマチュア時代の実績抜群の安田祐香
今季活躍が期待される女子選手に、ミレニアム世代の安田祐香が挙げられる。理由は、アマチュア時代(2017年~2019年)に出場したプロツアー計20試合のうち、予選落ちしたのはわずか1試合のみだからだ。
特に2017年から2018年にかけて達成した10試合連続予選通過は、アマチュア最多タイの記録となり、2019年に出場したプロツアー9戦の予選は全て通過。9戦の平均ストロークは71.3781と、この年のツアー平均ストローク17位に相当した。これに留まらず、アジア女子アマで優勝し、オーガスタ女子アマでも3位になっている。
このような経験と実績から本人はもちろん、プロの世界での活躍を予想する関係者は多かった。しかし、ルーキーイヤーの賞金ランキングは69位でシード獲得ならず、40試合出場のうち予選落ちが12回、棄権が1回、平均ストロークが72.3464で50位と現実は厳しかった。
連戦を戦い抜く体力強化が必要
スケジュールに合わせて、主催者推薦をもらえる試合の中から選んで出場できたアマチュア時代とは違い、プロは基本的に連戦が続く。
全国を転戦しながら、プロアマや練習ラウンドを含めて週5~6ラウンドをこなし続けることになり、アマチュア時代よりも体力を消耗する。連戦に耐えうる体力がなければ、ボールを狙ったところに飛ばす技術や、遠くへ飛ばすパワーを生かすことができない。
安田はこの体力強化が必要なようだ。予選ラウンドよりも決勝ラウンドの方が平均ストロークが悪い。予選ラウンドの平均が72.0984で43位。決勝ラウンドの平均が73.0141で69位。さらに、初日から最終日にかけて、次第にストロークが悪くなる傾向にある。
また、昨季(2020-2021)トップ10は4度あるが、その内3試合は前の出場試合から間隔が空いているか、予選落ちした翌週の試合だ。
間隔を空けると体調を整えられるし、予選落ちするとラウンド数が減るため、結果的に体を休めることになる。練習をするにしても、ラウンドを続けるよりも体の負担は小さい。首の怪我を抱えていたこともあり、最終日まで戦ったあとと比べると、体への負担が抑えられた状態で試合に臨めるため、好成績を挙げやすかったのではないだろうか。
出場試合数を減らせば良いのではないか、という疑問が生じるかもしれない。しかし、昨季50試合以上出場した選手もいる中で、21歳という若さで体力温存を理由に出場試合数を減らしているようでは活躍することは難しい。しかも、シード獲得できずにクオリファイングトーナメント(予選会)で、なんとか今季の前半戦の出場権を獲得した身でもある。「出れる試合は全部出る」意欲が必要となる。
同学年の古江彩佳と西村優菜が賞金女王争い
昨季は同じミレニアム世代の古江彩佳、西村優菜、吉田優利が活躍した。
古江は、昨季6勝を挙げ、最後まで賞金女王を争う活躍を見せた。米ツアー予選会への挑戦も成功して、今季米ツアーの戦いをスタートさせた。西村優菜も大きく飛躍。4勝を挙げて、シーズン終盤で一時、賞金女王争いに加わる活躍を見せた。吉田は7月の大会で最終日の後半5連続バーディーを奪い初優勝を挙げるなど2勝。今季更なる飛躍を感じさせる戦いぶりを見せた。
アマチュア時代の安田は、古江や西村、吉田よりも評価が高かった。故に、2019年に古江がアマチュア優勝、2020年には西村が初優勝など、ライバルが続々と活躍していく中で焦りもあっただろう。疲労の蓄積や首の痛みをこらえて無理な練習をしたこともあったかもしれない。
体が万全であれば、本来の安定感抜群のプレーを取り戻し、来季のシード獲得だけでなく初優勝が現実味を帯びてくるだろう。
成績が振るわなくても安田の人気は高い。インスタグラムのフォロワー数は女子選手トップクラスだ。今季、多くのファンが待ち望んでいる、安田の優勝トロフィーを掲げる姿を見ることができるのだろうか。ミレニアム世代の元エースの意地を見せて欲しい。
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