日本人選手初のメジャータイトルとツアー選手権8年連続出場
今年4月のマスターズで、日本ゴルフ界待望の、日本人選手メジャー制覇を松山英樹が果たした。グリーンジャケットに袖を通す松山の姿が目に焼き付いているゴルフファンは少なくないだろう。松山が2021年シーズンに果たした偉業はマスターズ制覇だけではない。年間を通じて活躍した、上位30名だけが進出できるツアー選手権に8年連続で出場したのだ。
松山以外でツアー選手権の連続出場を果たしたのは、ダスティン・ジョンソン(13年連続)とパトリック・リード(8年連続)の2人だけ。過去にはマット・クーチャーとハンター・メイハンも8年連続で進出しているため、松山は歴代2位タイの記録となる。
怪我のケア
松山は飛距離アップやスイングバランス向上だけに限らず、ケガ防止も含めてトレーニングを行っている。そのため、試合当日はスタート時刻の4時間前に起きてウォーミングアップを開始し、酸欠状態になるほどの激しいメニューをこなすこともある。
だが、2022年2月で30歳を迎えることもあり、フィジカルコンディションを整えるのが難しい年齢にさしかかったと感じているようだ。自叙伝でも「学生時代やアメリカに渡っていた頃はこなせていたトレーニングメニューが消化できず、がっかりすることもある」と語っていた。
それも関係しているのか、昨シーズンからトレーナーも二人体制にしている。もとよりトレーナーを務めていた飯田トレーナーと、新しく加わった岩井トレーナーが交代で松山の体を見ている。圧倒的な練習量をこなしながらツアー転戦を耐え抜き、一定のコンディションを保つことが新シーズンも活躍する条件になるだろう。
パットの開眼
近年、松山のショットの安定感は米ツアートップレベルだ。昨年のショットのスタッツも高レベルを維持しており、SG(ストロークゲインド):ティーツーグリーンは15位だった。また、昨シーズンからスイングコーチと契約したこともあり、ショットに関してはこれまで以上に手応えを感じている。
その一方でSG:パッティングは175位とパットには悩まされた。パットが向上し安定感が増せばメジャーで優勝争いの回数も増え、これまで以上の活躍が期待できるはずだ。
2021-2022シーズンの米ツアーの幕開けとなったフォーティネット選手権(9月16日~19日開催)での松山の結果は、6位タイ。SG:ティーツーグリーンは3位と松山らしいショットを披露し、SG:パッティングは57位タイと近年の順位と比べてもまずまずの順位だ。ここからパットのフィーリングが良くなることを期待したい。
一時は4年前の世界ランキングで2位まで上りつめたが、その上の景色も見てみたいと思うと語った松山。体の最良のコンディションでパットが上向けば、新シーズンでも再びゴルフファンを沸かせるほどの活躍をしてくれるはず。そしてメジャーで2勝目をあげ、9年連続でツアー選手権に進出できれば、世界ランキング1位も近づくだろう。
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