史上5人目のアマチュア優勝
9月23日から26日に開催されたパナソニックオープンで、プレーオフの末に優勝したアマチュアの中島啓太(日本体育大学3年)。倉本昌弘、石川遼、松山英樹、金谷拓実に続き、史上5人目のアマチュア優勝となった。
中島は2018年にオーストラリアアマチュアで優勝し、アジア大会で金メダルを獲得。また、2019年には日本アマチュアゴルフ選手権で準優勝し、2021年(2020年は中止)に同大会で優勝した結果、世界アマチュアゴルフランキング1位をキープ。今年8月には、マコーマックメダル(世界ナンバーワンアマチュア選手の称号を持つスポーツマネージメント会社IMGの創始者を冠したマーク)を受賞したことで、来年の全米オープンと全英オープンの出場資格も獲得した。
これまでにも日本のプロツアーに数多く参戦し、優勝争いにも加わってきた中島。強い理由はどこにあるのだろうか。
パー3以外のティーショットはすべてドライバー
中島はパナソニックオープンでは試合のためのマネージメントはせず、パー3以外のホールのティーショットはすべてドライバーを使うと決め、貫き通した。
その理由は、来年のマスターズ出場権を得るため今年11月に行われるアジアアマでの優勝と、将来米ツアーに参戦するためだった。目標達成のために眼前のショットをこなしつつ、リスク承知で攻め乗り越えることが求められるからだ。
これを実践し佳境を迎えた優勝争いだったが、やはり最終日の後半9ホールではティーショットでドライバー以外のクラブを選択したくなるホールもあったようだ。
松山英樹の2011年三井住友VISA太平洋マスターズ
中島の攻め方や姿勢はアマチュアのころの松山を想起させる。
2011年にマスターズ初出場にしてローアマを獲得した松山は、11月の三井住友VISA太平洋マスターズでアマチュア優勝を達成した。最終日パー5の18番ホールはグリーン手前に池があり、池からあまり距離がない位置にピンがきってあった。
第2打で池を避け、安全なエリアを狙ってからのパーでも優勝のチャンスはあったが、イーグルかバーディで締めくくると決めていた松山は池に入れて逆転されるリスクを恐れず、あえて池を越えるギリギリの番手でグリーンを狙った。結果はベタピンにつけてイーグルとなった。
この時、目標に立ち向かう松山の姿勢が今の中島に共通しているように見えるのだ。
将来につながる攻め方を選択
ジュニア時代から将来を有望視されていた中島だったが特に最近の成長は著しく、今季はプロのトーナメントに8試合出場し、トップ10に4回入っている。また、課題だったパットのスタッツも過去3年のデータに比べ明らかに向上しており、試合への臨み方が技術向上に繋がっていると思われる
プロ転向は早くて来年の全英オープン終了後、遅くて来年出場する日本ツアー最終戦終了後になるとのこと。中島啓太のプロとしての活躍が待ち遠しいが、その前に史上初のアマチュア2勝目を期待したい。
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