「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

井岡一翔、日本初の2階級統一王者へ欠かせない「家族の存在」

2022 12/31 06:00SPAIA編集部
井岡一翔,Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

大晦日にフランコと統一戦

プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(33=志成)がWBA同級王者ジョシュア・フランコ(27=アメリカ)と12月31日に東京・大田区総合体育館で王座統一戦を行う。井岡はミニマム級でもWBAとWBC王座を統一しており、勝てばWBO王座6度目の防衛となると同時に日本初の2階級で統一王者となる。

対するフランコは2020年6月、井上尚弥にKO負けしたジェイソン・モロニーの双子の兄アンドリュー・モロニーに判定勝ちでWBA世界スーパーフライ級王座を獲得。同年11月に再戦したが偶然のバッティングでフランコの右目が塞がったため無効試合となり、2021年8月の3度目の対戦では再びフランコが判定勝ちで初防衛に成功した。

今回はそれ以来1年4カ月ぶりのリングとなる。一発の破壊力はないが、手数で押す好戦的なボクサーファイターで、戦績は18勝(8KO)1敗1無効試合。身長は井岡とほとんど変わらない165センチ、リーチも170センチと体格面では互角だ。

試合はフランコが前進して、井岡が迎え撃つ展開になるだろう。井岡は堅いディフェンスで被弾を最小限に防ぎながら、いかに小さいパンチを当てられるか。

フランコはフックを多用せず、どちらかと言うとストレートパンチャーのため井岡にとってやりにくい相手ではない。前半でペースをつかめれば後半でノックアウトのチャンスも訪れるはずだ。

井岡は次男誕生後初めての試合

25日に放送されたBS-TBSのドキュメンタリー番組「裸のアスリートⅡ」では、ラスベガスのイスマエル・サラス・トレーナーの下で行ったアメリカ合宿の様子を紹介。家族を日本に残し、百戦錬磨の敏腕トレーナーとフランコ対策を練りながらトレーニングに打ち込む模様が放送された。

井岡にとって家族は掛け替えのない存在だ。長男・磨永翔(まなと)くんに続き、7月に次男・大空翔(たくと)くんが誕生。自身の公式インスタグラムではたびたび家族の動画や写真を投稿している。次男誕生後初めての試合で、父親として奮い立つものがあるだろう。

メディアの前ではあまり語らないが、世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(29=大橋)も3児の父。4月にゲンナジー・ゴロフキンと死闘を演じた村田諒太(36=帝拳)も2児の父だ。ひと昔前は「ボクサーに女は禁物」などと言われたが、最近は若くして結婚し、家庭を持つボクサーも少なくない。

リング上のボクサーは孤独だ。セコンドがリング内に入るのはラウンド間のインターバルのみ。試合中は何があっても独りで戦わなければならず、チャンスでたたみ掛けるのか、どんなコンビネーションで攻めるのか、劣勢になって反撃するのか、クリンチで逃げるのか、パンチのダメージと疲労に襲われながら自身で瞬時に判断する。

それは全て日頃のトレーニングの賜物に他ならない。反復練習で体に染み込ませているからこそ、試合で反射的に動けるのだ。

減量中は食べたいものも食べられず、ひたすら地道なトレーニングに打ち込む。「勝ちたい」「チャンピオンになりたい」というモチベーションはもちろんだが、「家族のために」という内に秘めた思いがなければ乗り越えられないだろう。

日本初の4階級制覇を達成し、日本選手最多の世界戦20勝。数々の栄光と名誉を手にした井岡をさらなる高みへと突き動かす要因のひとつに、家族の存在があるのは間違いない。生まれてきた次男のためにも最高の年越しを迎えたい。

【関連記事】
井岡一翔が対戦熱望するWBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダの実力
井岡一翔の大晦日激闘史、通算10勝目で2022年のボクシング界を締めくくるか
井岡一翔vs井上尚弥は実現不可能なのか?それでも観たい「夢の対決」

 コメント(0件)