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河村勇輝のBリーグ参戦で試合外でも好影響 観客動員数、SNSフォロワーが急増

2020 2/11 17:00ヨシモトカズキ
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SNS上で話題になり、新たなファン層の拡大に

18歳の高校生ながら特別指定選手として三遠ネオフェニックスに加入した#0河村勇輝。1月末にBリーグデビューすると、僅か5試合でその実力が確かなことを証明している。前編ではコート上での活躍を考察したが、この後編ではコート外での動きを見ていく。

チーム発足から高卒の川村卓也(現シーホース三河)の入団に始まり、236cmの選手が在籍したり、Bリーグに元NBA選手が増加した最も大きな要因とされるジョシュ・チルドレスを獲得したりと、他クラブとは一線を画する選手補強を行ってきた三遠。しかし、チームとしては地味なイメージが強く、メディアに取り上げられることが少なかった。

だが今回の河村の加入は主要メディアにも取り上げられ、三遠のクラブとしても注目を浴びるように。クラブのTwitterのフォロワーは河村発表前の19,938から22,690まで伸び、2週間ほどで3,000近く増加している。また、BリーグがYouTubeにアップしている動画も異常な伸びを見せており、三遠のゲームハイライトやタフショット集、河村のプレーハイライトと河村に関わるものは最低でも2万回の再生回数を記録している。デビュー戦となった1月25日、26日のハイライト動画の再生回数は52万回、アップから僅か1週間でBリーグの動画で4番目に多い再生回数となった。

明確なデータがないものの、河村がBリーグ入りを果たしたことで中学生や高校生もBリーグに興味を示したと考えられる。Bリーグは20〜40歳の男女をターゲットにしており、その狙いは成功していると言っても良い。これまでBリーグを“自分ごと”として捉えていなかった層が、河村のBリーグ入りで興味を示していなければ52万という数字は出ないのではないだろうか。

またBリーグのTwitterのフォロワー増加率はこの1か月半で2.3%増。2019年5月から11月までの半年で4.8増だったことを考えると増加率は凄まじい勢いだ。

過去最多の動員数を記録するなど、観客動員数アップにも貢献

“河村効果”はネット上だけではない。1月26日の試合は相手が人気クラブ・千葉ということもあり、今季最高となる3,846人を動員。さらに2月2日の宇都宮ブレックス戦では、クラブ新記録の4,722人。こちらも人気クラブとの対戦ではあったが、間違いなく河村の効果と言えよう。その結果、平均観客動員数は1月中旬の2,417人から一気に2,967人に上昇。河村が三遠を離れる3月上旬まで5試合程度ホームゲームがあり、数字が3,000人に乗ってくることは確実だ。

成績ではいまだ3勝と苦しんでいるものの、クラブはBリーグの中でも注目の的だ。観客動員数アップに加え、地上波ニュース番組での報道、グッズの売上を考えれば、ビジネス面でも河村の貢献度は大きい。また大学進学までの期間“限定”という点も、フィーバーを生んでいる要因の一つになっている。

コート内外で光る原石は、バスケット界の新たなスターに

メンフィス・グリズリーズ#18渡邊雄太、テキサス・レジェンズ#18馬場雄大、ワシントン・ウィザーズ#8八村塁と、ここ数年スターと言える若い選手が誕生してきたが、残念ながら彼らは全員アメリカに渡っている。

一方スターダムにのし上がった河村は、あと1か月で一時Bリーグを離れるが、東海大学に進学する彼の活躍を引き続き国内で見ることができる。教員志望を考えれば4年間しっかり大学に通うと思われ、大学のオフシーズンになれば特別指定選手として再びBリーグのコートに立つことだろう。

そしてこの1か月のフィーバーぶりを見れば、河村が日本バスケット界の新たなスターであることは間違いない。宇都宮ブレックス#0田臥勇太やアメリカで活躍する選手たちに通じる“芯の強さ”があり、それはコート上で見せる全開のプレーやコート外、SNSでのコメント力の高さからうかがい知ることができる。

あと1か月でどこまでBリーグのファンを虜にするのか、そして今後どのような成長を遂げるのか大いに楽しみな選手である。