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【高松宮記念】「直近4年で2勝」勢いのある香港スプリント組 ハイレベルの3着から挑むサトノレーヴは戴冠なるか(訂正)

2025 3/25 12:00三木俊幸
サトノレーヴ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レース振り返り

3月30日(日)、中京競馬場では春の最強スプリンター決定戦の高松宮記念(GⅠ・芝1200m)が行われる。今年は連覇を狙うマッドクールにスプリンターズSを制したルガルなど20頭がエントリー。過去10年のデータとともに主な参考レースを振り返る。

なお、データランクは好走率や勝利数をもとに、メンバーレベルはレーティングや出走馬の成績などを考慮してランク付けしている。

香港スプリント【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【2-0-1-5】勝率25.0%、連対率25.0%、複勝率37.5%

前走香港スプリントからの参戦は8頭と少ないが、2021年ダノンスマッシュと2024年マッドクールが勝利しており、勢いがある。

断然の1番人気に推されたカーインライジングが強引にハナを主張したが、内から好スタートを切ったカリフォルニアスパングルがそれを許さず。さらに外からビクターザウィナーが2番手のポジションにつける展開で、600m通過は34.39。ハナを奪いきれず、内外からプレッシャーをかけられる厳しいポジショニングにも思われたカーインライジングだったが、残り200mで先頭に立った。

ゴール前はヘリオスエクスプレスが伸びてきたが、1/2馬身という着差以上に余裕がありながらの勝利。勝ちタイムは1:08.15だった。

カーインライジングはその後センテナリースプリントCで自身の持つレコードを更新し、前走は芝1400mのクイーンズシルバージュビリーCも完勝。いずれのレースも2着がヘリオスエクスプレスという結果からもハイレベルの一戦だったことは間違いない。

サトノレーヴは7番手を追走。ロスなく立ち回って前へと迫ったが、最後はヘリオスエクスプレスに差されて3着だった。2走前のスプリンターズSは太め残りと展開も向かず7着だったが、香港スプリントで勝ち馬から0.1秒差という内容は高く評価できる。引き続きJ.モレイラ騎手が騎乗するのも心強い。

ルガル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ゲートの出が良くなかったトウシンマカオは、序盤から鞍上の手が動いて中団を追走。直線は進路がなく大外へと持ち出すまでにロスがある競馬で9着と、力を発揮できずに終わった。3走前にセントウルSを勝利した舞台で巻き返しを狙う。

ルガルはスタート直後に接触して挟まれる不利があった。中団まで巻き返したが、直線では伸びを欠き11着。先行馬にとって致命的なものであり、またスプリンターズS覇者ということからもこの結果は度外視していい。

シルクロードS【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【5-2-0-25】勝率15.6%、連対率21.9%、複勝率21.9%

前走レース別では最多の5勝を記録。2019年2着のセイウンコウセイは12番人気、2020年2着入線(1位入線のクリノガウディーの降着により繰り上がり1着)のモズスーパーフレアは9番人気、2023年優勝のファストフォースは12番人気と人気薄での好走も多い。

稍重の馬場で行われたレースは、ダッシュ良くピューロマジックが逃げて11.8-10.6-10.7(33.1)というハイペースを刻んだ。道中7番手を追走していたエイシンフェンサーは直線に入ると外から鋭い末脚を披露。残り100mで前を捉えると後続に1馬身半差、勝ちタイム1:08.2で重賞初制覇を飾った。

前走のハンデ戦、カーバンクルSは11番人気で斤量53kg、シルクロードSは斤量2kg増の55kgで9番人気と、人気薄ながらいずれも完勝。更なる相手強化となるが、2走の内容からも充実ぶりが見てとれる。自在性のある脚質を武器にどこまで上位争いに食い込めるか注目だ。

エイシンフェンサー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


阪急杯【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-2-3-34】勝率2.5%、連対率7.5%、複勝率15.0%

2021年にレシステンシアが2着、インディチャンプが3着と結果を残したが、それ以降は3着以内への好走馬は出ていない。

今年は京都開催最終週に行われた阪急杯。スタートで後手を踏んだものの、手を動かしてアサカラキングがハナを奪う。600mの通過は35.2、直線に向いてしぶとく粘り押し切るかと思われたところ、4角12番手というポジションだった7番人気のカンチェンジュンガが大外から豪快に差し切り。勝ちタイム1:21.7で重賞初制覇を飾った。

これまで直線一気の脚質が災いして着順を押し上げることができなかったが、ラスト11.2-11.9という展開を味方に勝利を掴んだ。今回は再びの距離短縮と更なる相手強化で流れに乗ることができるか不安もあるが、ハマったときの爆発力は魅力だ。

トゥラヴェスーラは道中、後方から4番手のインを追走。そのままロスなく立ち回って伸びたが、0.4秒差の7着だった。こちらも展開に注文がつくが、自身の能力は出し切った。

モズメイメイはすんなり先行して3番手の外から運んだが、残り200mを切ったところで失速して9着だった。近走1200mではポジションを取れていないが、距離短縮に関してはプラスと言える。

12着だったスズハロームはヴェントヴォーチェの回避により、他馬の動向次第で出走できる可能性がある。

オーシャンS【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-1-4-52】勝率1.7%、連対率3.4%、複勝率10.3%

2022年は8番人気ナランフレグが優勝し、17番人気だったキルロードが3着に好走。複回収率は223%となっている。

スタートから200mを迎えるところでハナを奪い切ったのはテイエムスパーダ。ペースはさほど上がらず600mを33.7で通過したが、4角で先頭に立って直線を迎えたのはペアポルックスだった。そのまま押し切るかと思われたが、3番手から前へと迫った1番人気のママコチャが差し切り。勝ちタイムは1:07.1で決着した。

ママコチャは開幕日でインコースを通った先行馬が有利という馬場状態ではあったが、さすがGⅠ馬と思わせるソツのないレースぶりでここでは力が違った。高松宮記念でも上位争いが期待できそう。

ママコチャ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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1/2馬身差の2着だったペアポルックスは、馬場を味方につける早め先頭の競馬。岩田康誠騎手もうまく乗ったが、相手が悪かった。ハイペースになると脆(もろ)い面があるだけに、本番でも瞬発力が生きる展開になってほしい。

さらに2馬身離れた3着ウイングレイテストは4番手を追走、4着ヴェントヴォーチェ(故障のため高松宮記念は出走回避を表明)は5番手追走と、これらの馬たちも先行して馬場を味方につけたと言える。

オフトレイルはゲートの出が良くなく、後方3番手からのレースに。上がり32.8を繰り出すも、4角で外を回す形では0.9秒差の9着が精一杯だった。初めての1200m戦には対応できていたが、さらに相手も強くなることもあり、展開の助けがほしい。

阪神C【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【0-1-1-7】勝率0.0%、連対率11.1%、複勝率22.2%

阪神Cをステップに勝利した馬はいないが、2023年トゥラヴェスーラが13番人気で3着に好走している。

京都芝1400mで行われた阪神Cは、アサカラキングが逃げる展開で600mを34.5で通過する。直線は各馬が横に広がる展開で真ん中からマッドクールが抜け出したが、大外からナムラクレアが強襲。勝ちタイム1:20.1で豪快に差し切った。

ナムラクレア,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ナムラクレアは高松宮記念では2年連続2着、スプリンターズSでは2年連続3着と惜しいレースが続いている。あと一歩のところを補うために本番も見据えてC.ルメール騎手と初コンビを組んで挑み、文句なしのレースができたと言える。あとは大舞台で結果がほしい。

マッドクールは、ラスト11.5-11.4-11.5の持久力勝負で差し馬が好走する展開で3番手追走から1/2馬身差の2着と好走。6番人気と人気を下げていたが、GⅠ馬の地力は証明してみせた。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

※「マッドクールは、ラスト11.5-11.4-11.5の持久力勝負で差し馬が好走する展開で3番手追走から1/2馬身差の2着と好走。6番人気と人気を下げていたが、GⅠ・2勝馬の地力は証明してみせた」と記載していましたが、正しくは、「マッドクールはGⅠ・1勝馬」です。お詫びして訂正いたします。3月25日13時30分

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