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【日経賞】前走GⅠ組は複勝率45.8% 有馬記念6着から逆襲期すアーバンシックを推奨

2025 3/25 17:00貴シンジ
日経賞、主な前走クラス別の複勝率,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は3月29日(土)に中山競馬場で行われる日経賞について、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった18頭のうち、除外対象のヴォランテを除いた17頭を検討対象とし、データは過去10年分を使用する。


重要データ:前走GⅠ組優勢、GⅡなら2つのレースに注目

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


日経賞で重要なデータとなるのが、前走クラス別成績だ。過去10年ではOP・Lからの好走馬はおらず、条件戦からの昇級馬は好走歴があるものの、今回の登録馬で該当するのは除外対象のヴォランテのみ。ここでは重賞組に焦点を当てて分析していく。

前走GⅢ組は【0-0-1-19】で好走率が低く、複勝回収率も7%とかなり低調。割引材料となる。今年はマキシとヴェルミセルがこのデータに当てはまる。

一方、GⅡ組は【5-4-6-47】勝率8.1%、複勝率24.2%と好走馬を輩出している。なかでもポイントとなるのが、どのレースを使っていたか、だ。

深掘りしてみると、GⅡ組の好走率を引き上げているレースは2つ。AJCC【2-3-3-16】と日経新春杯【3-1-0-6】である。上位人気候補のシュヴァリエローズは前走ステイヤーズS、リビアングラスも京都記念からの臨戦なので、好走データには当てはまらない。

そして、最も重視すべきなのが前走GⅠ組だ。【3-5-3-13】勝率12.5%、複勝率45.8%と高い好走率を誇っている。

今年は有馬記念組の2頭、アーバンシックとハヤヤッコが該当。前走の着順に関係なく好走馬が出ているため、15着大敗だったハヤヤッコにも注目が必要だ。

【前走GⅠもしくはAJCC、日経新春杯から臨戦の出走予定馬】
・アラタ
・アーバンシック
・チャックネイト
・ハヤヤッコ
・マイネルエンペラー
・マイネルクリソーラ
・マテンロウレオ


前走の内容:有馬記念

昨年の有馬記念は1~3着馬が全て3角5番手以内だったことからもわかる通り、スローペースで前有利のレースとなった。

6着アーバンシックは3角11番手から追い込んできてはいるのだが、前も止まらなかったという内容。同じようなポジションから5着に入ったジャスティンパレスとはアタマ差の決着で、3歳暮れの段階でありながら古馬一線級の強豪に引けを取らない能力を示したと考えてよいだろう。

菊花賞勝ちの実績を見ても、中長距離路線であればすでに一流で、今回のメンバーでも抜けた地力を持っている。巻き返しに期待したい。

もう一頭の有馬記念組、ハヤヤッコは前々で運ぶことができたなか、結果は出走15頭中の15着。重賞3勝の実績馬であり、前走GⅠのデータ的には見逃せないが、さすがに明け9歳では狙いにくい。


血統解説:アーバンシック

アーバンシックの血統表,ⒸSPAIA


・アーバンシック
日本での牝祖は3代母ウインドインハーヘア。ディープインパクトの母として知られ、本馬の祖母であるランズエッジはディープインパクトの“3/4同血”妹となる。

ランズエッジ自身は8戦未勝利で引退と競走馬としては活躍することができなかったものの、産駒たちは優秀。本馬の母エッジースタイルは芝の中距離で3勝を挙げ、叔父には2020年の青葉賞2着馬ヴァルコス(父ノヴェリスト)がいる。

さらに従姉妹には昨年の桜花賞馬ステレンボッシュ(父エピファネイア)などがいて、活力は十分。スタミナ豊富で成長力があるのがこの牝系の特徴で、一瞬で切れるというよりは長く良い脚が使えることも強みの一つだ。

本馬の場合、昨年の菊花賞まではトモに頼りなさを感じさせた。それでもセントライト記念と菊花賞を連勝しており、素質はかなり高い。

その後の有馬記念ではほぼ完成された馬体を披露したが、展開に恵まれず敗れた。中山向きの機動力は持っているだけに、GⅡのここは落とせない。


Cアナライズではアーバンシックを推奨

今回のCアナライズではアーバンシックを推奨する。

昨年の有馬記念は敗れたが、五分の競馬ならもっと良い着順も考えられた。

一瞬でピッチを上げられるタイプではなく、東京など切れ味勝負になる舞台では足元をすくわれる可能性もあるが、中山ならば不安はない。相手関係を考えても、ここは落とせない一戦だろう。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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