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新指揮官就任した横浜ビー・コルセアーズ 海賊たちの新たな挑戦

横浜ビー・コルセアーズ, ハンター・コート, 小原翼, 湊谷安玲久司朱
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Ⓒマンティー・チダ

Bリーグ王者に導いた実績のあるトム・ウィスマンHC 若さを重視して選手を入替

横浜ビー・コルセアーズ(以下 横浜)はBリーグ開幕から2季連続でB1残留プレーオフ2回戦に進出し、どうにかB1残留を果たした。そして、2季共に指揮官が途中で交代する事態となった。

昨季の横浜は、主将の湊谷安玲久司朱が、開幕早々に右足アキレス腱断裂という大怪我で長期離脱を余儀なくされた。さらに外国籍選手として活躍が期待されたジェイソン・ウォッシュバーンがケガによる退団、続けて竹田謙、ジェフリー・パーマーも離脱し、厳しい状況となった。

その後、ヘッドコーチを古田悟氏から尺野将太氏に変更したが、好転することなくシーズンを終えることになった。

今季は、昨季途中からアドバイザーを務めていたトム・ウィスマン氏をヘッドコーチに迎える。ウィスマンHCは、栃木ブレックスをBリーグ初代王者に導いた指揮官。日本代表ヘッドコーチの経験もある。

そして昨季より選手を半数入れ替えた。「今期のチームは、若さに重視して6人を入れ替えた。若いという事は伸び代があるという事。若い選手を育成しながら昨季よりは良い成績を残したい。チームとして成長できるチームでありたい」とウィスマンHCは話す。

Bリーグで優勝に導いた栃木では激しいディフェンスを前面に出した。「昔からディフェンスに集中するコーチ」と自負するウィスマンHC。リーグ戦開幕までどう仕上げていくかが注目になる。

新たに取り入れた「若さ」がキーワードとなる横浜。その表現に期待したい選手たちを紹介しよう。

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チーム最年少の新しい海賊 ハンター・コート

「若さ」がキーワードとなる中、弱冠19歳でチームの若返りに大きく貢献することになったのが、ハンター・コートだ。昨季はB2広島ドラゴンフライズに所属し29試合に出場した。高校時代にU19日本代表候補に召集され、今年6月に開催された第40回ウィリアム・ジョーンズ カップの日本代表候補にも名を連ねた、日本国籍の選手である。

本職はポイントガードだが、練習を見ている限りシューティングガードのポジションに入っていた。「チームが助かるのであればシューティングガードなのかも」と話すが「プロに入るときにポイントガードで勝負できるなら勝負しようと考えていた。経験を早めにもらってポイントガードで勝負したい」とポジションへのこだわりを見せた。

「ミスがあっても、細谷さん、卓さん(川村)、凌さん(田渡)からアドバイスしてくれて、それがためになっている」とB1のチームに入ったことに対するメリットも答えてくれた。

ウィスマンHCが話す若さゆえの「伸び代」で考えれば、ハンター・コートの活躍はチームに大きな影響をもたらし、成長が大きく見込めるチームになるだろう。

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昨季残留で争った富山から移籍 横浜出身のビッグマン小原翼

「練習きついですね。体力無いので。でも、これを乗り越えたら試合でも楽になっている自分がコートに立っていると思う」練習後、最初に小原が筆者に発言したコメントである。

練習を見ていると、本当に良く走っていた。「あまりやり過ぎると体育館の環境もあって熱中症になってしまう」とウィスマンHCが笑いながら話すが、自身が設定する練習内容からすると程遠いが、明らかに昨季よりは走るチームになるようだ。

小原自身は、横浜と昨季残留を争った富山グラウジーズから、今季は横浜の選手となった。最後まで残留を争ったチームからの移籍に関しては「僕の場合は横浜が地元。富山を退団すると分かった時点で、横浜に行くと思われていたようなので、それほど違和感も無かった」とした。

今季から外国籍選手の出場ルールが変わって、外国籍選手数の登録は3名までとし、試合にエントリーできる選手は2名までとなる。帰化選手は外国籍選手と同時出場の場合、外国籍選手の出場は1名だったが、今季からは日本人選手と同じ扱いで外国籍選手と関係なく試合出場が可能になる。横浜は外国籍選手として3名登録しているが、そのうちの1名、エドワード・モリスは現在日本国籍帰化申請中で、受理されると帰化選手となる。そして、日本人選手と同じように出場時間は無制限となる。だから小原にとって、チーム内のライバルはエドワード・モリスとなる。

「モリスは良い練習相手で、練習も充実している。モリスに勝たないと試合に出場できないのは当たり前だし、外国籍選手に一矢報えないと勝負弱いとなってしまい、日本人ビッグマンの価値は下がる。オンザコート2で日本人ビッグマンを確保できれば、他ポジションの外国籍選手を獲得することが可能になる」と自らが活躍した場合におけるチームの優位性について語った。

「自分ができることは限られている」小原は、相手ビッグマンを抑えることを自分の役割に挙げた。攻撃面では「チャンスを作る側から、周りをノーマークにさせていく中で、自分がノーマークになっていくことが大事」と力説した。

外国籍選手や帰化選手の出場ルールの変更は、日本人ビッグマンにこれまで以上の厳しさをもたらし、試合に出場するためには外国籍選手にチーム内で勝たないと意味がない。しかし、小原がエドワード・モリスに変わってスタート5に名を連ねることができれば、日本人ビッグマンの価値も上がる。小原をはじめとした日本人ビッグマンが外国籍選手からポジションを奪い取るつもりでリーグ戦でも戦って欲しい。

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「もうケガをしたくない」今季にかける主将・湊谷安玲久司朱

そして、今季も主将を務める湊谷を忘れてはいけない。

「もうケガをしたくない」湊谷は何度もこのコメントを口にする。昨季は選手の台所事情でパワーフォワードを任され「ストレッチ4」と期待される時期もあった。しかし、シーズン開幕直後に右足アキレス腱断裂で長期離脱を強いられる。

「ケガをしてから体の事を考えるようになった」と話す湊谷は、リハビリも兼ねて病院に通っている回数も増えたそうだ。他の選手がケガをしたというニュースを知ると「悲しくなる。厳しいですね。もう長いケガはしたくない」と漏らす。

「ここまで1年ぶりぐらいにハードな練習をしている。今季はシューティングガードではないかと思うが、チームの練習でピック&ロールをした後に選手がどこに立つのか細かく決められている。外に位置する自分のところにボールが回ってくる回数が増えてくると思うのでシュート力を生かし、外からのシュートを高い確率で決めることを目指す」と今季の目標を掲げた。

昨季ケガで活躍できなかった悔しさをバネに体をケアしながら、今度はコート内で主将としてチームを引っ張ってほしい。

(チーム名のコルセアーズ:海賊達、海賊船団という意味)

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