U15決勝戦は栃木 vs 横浜 栃木がクロスゲームを制する
BリーグU15チャンピオンシップ2018は栃木ブレックスU15(以下 栃木)と横浜ビー・コルセアーズU15(以下 横浜)が決勝に残り、栃木が横浜を65-55で下し優勝を決めた。
前半3点ビハインドで折り返した栃木は、3Qに入って主将 奥山の3pシュートからの連続得点で逆転に成功する。4Qで立ち上がりから奥山のブロックショットで相手の攻撃を止めると、茅原、桜井の3Pシュートなどでリードを広げる。横浜はたまらずタイムアウトを申請するが、栃木の勢いは止まらない。奥山、御堂地がスティールからファストブレイクを成功させてリードを広げていく。
横浜も角田の3pシュートで同点に追いつくが、直後のタイムアウトで気持ちを切り替えた栃木が桜井の3pシュートなどで再びリードを奪い、終わってみれば栃木が横浜に10点差をつけて勝利。優勝を果たした。
なお、最終結果・MVP・MIP・ベスト5は以下の通り。
<最終結果>
優勝 栃木ブレックスU15
準優勝 横浜ビー・コルセア―ズU15
3位 アースフレンズ東京ZU15
4位 Fイーグルス名古屋U15
5位 山形ワイヴァンズU15
6位 茨城ロボッツU15
7位 秋田ノーザンハピネッツU15・U15西宮ストークス
<MVP>
栃木U15 御堂地香楽
<MIP>
栃木U15 横山峻
<ベスト5>
栃木U15 今井翔太
栃木U15 御堂地香楽
栃木U15 奥山誠海
横浜U15 谷口律
横浜U15 角田斗希
Ⓒマンティー・チダ
栃木・横浜・山形は最初の大会から参加
BリーグU15カテゴリーの大会は、2017年2月に始まった。当時はフレンドリーマッチという名称で開催され、U15のチームを所有していた栃木・横浜・山形が参加した。その中の2チーム、栃木と横浜が、公式戦となった今大会において決勝まで勝ち残った。山形もベスト8に進出した。
Bリーグ強化育成部の塚本鋼平さんは、U15カテゴリー最初の大会から運営に関わる。「B1クラブライセンスで必須となるU15カテゴリーのチーム所有を今大会の参加条件とした中で、開催当初から関わっているクラブチーム同士が決勝に残ったことに大きな意味がある」と感慨深げに振り返った。さらに3チームしか参加が無かったフレンドリーマッチでは、塚本さん自身がラジカセで音楽をセットするなど、手作り感が大いにあったよう。「昔を思い出した。1年半やってきてよかった」と喜んだ。参加チームが34チームに増えたことにも「育成を考えるクラブが増えたのは大きい」とした。
塚本さんが描く理想には「だんだん近づいてきた」としたが、ここからが重要だと話す。
「結果よりも、どのように育成されてくるのかがカギになる。チャンピオンシップ優勝が行きつくところであってはいけない。これからはクラブと情報共有しながら『世界に通用する選手』の輩出が大事」と話す。
Bリーグから求められた部分をクリアしてきたチームにとって、今後は優秀な選手を輩出できる環境整備が求められるようだ。
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「ルーズボールはブレックスのボール」栃木・荒井HC
優勝した栃木は、準決勝から厳しい相手が続いた。準決勝は昨年の覇者FE名古屋と対戦し完勝した。決勝は横浜とクロスゲームの末、勝ち切った。
「ルーズボールはブレックスのボールだ」と荒井HCは選手たちに伝えていた。準決勝のFE名古屋戦は2Qでオフェンスリバウンドを獲得しペースを掴むと、守備ではスティールからファストブレイクを決めるなど、チームスタイルを出し切った。
「スタートで考えていた3人が出場できない中、セカンドユニットである6番目・7番目の選手が試合に慣れてきて、横浜戦において力を発揮してくれた。ターンオーバーなど修正しないといけない部分はある。今後もトップチームのディフェンスを真似していきたい。そして、日本を背負える選手を輩出したい」と話す。
リーグの育成ビジョンを受けて、それを遂行し続けた栃木の優勝は、今後にとっても良い財産になるだろう。
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「ここで決めて勢いをつけてやる」栃木・奥山誠海
主将としてチームをまとめた奥山は「自分がマイナス思考になると、チームに悪い影響をもたらすので、しっかり上を向いて、チームを下に向かせないようにしていた」と心境を明かした。
決勝の横浜戦で逆転となった3pシュートの場面については「ここで決めて勢いをつけてやるという強い気持ちで狙っていった」と振り返る。奥山自身も主将としての役割を全うし、勝負所で活躍できたこの大会が「大きな経験」となったようだ。
「ジュニアオールスターでプレッシャーに負けてつぶされそうになり、ここで変わらないといけないと思って大会に臨んだ。今回学んだことはこれからも続けて、様々なことを積み重ね完璧に近いところにしたい。そしてプロ選手となり日本代表として海外の選手とやりたい」と今後にかける意気込みを語った。
「大きな経験」を無駄にしない様、次の大会でも活躍を期待したい。
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「身長が低くても代表で得点を稼げる選手になりたい」栃木・御堂地香楽
MVPに輝いた御堂地は「ディフェンスからの速攻を決めることができ、サイズは小さいがリバウンド、ルーズボールをチームで獲得し守りきることができた」と冷静に大会を振り返った。
決勝の横浜戦では、チームトップの19得点を獲得し、勝利に貢献した。「準決勝のように前半はうまくいかなかったが、後半ノーマークの状況でパスを受けることができ、シュートを打てたのは良かった」と話す。
奥山と同様に将来はプロバスケ選手を目指す。「フィジカルが弱いので、メンタル同様に強くしていきたい。そして、比江島(慎)選手のように、身長が低くても代表で得点を稼げる選手になりたい」と目標を掲げた。
課題を克服しつつ、少しずつステップアップしてほしい。
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「東京Zに勝ったことで調子に乗ってしまった」横浜・谷口律
昨年の大会に続き準優勝に終わった横浜だったが、栃木との決勝戦では好ゲームを展開した。白澤HCは「ちょっとしたタフさ、賢さが足りなかったけど、良い経験になった。県大会に出られないような選手たちが集まった中で、ここまで勝ち上がれたのは良かった」と大会を振り返る。
大会ベスト5にも選ばれた谷口は「決勝戦は負ける試合ではなかった。準決勝の東京Zが強かったので、ここで勝ったことで調子に乗ってしまい、栃木戦では油断した。試合内容も良くなくて、個人としても何もできなくて悔しい」とコメントした。
目の前にある試合を大事にすることを学んだ大会でもあった。この経験を今後に生かしてほしい。
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