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16年ぶり日本開催に2万人熱狂!NBA Japan Games

2019 10/16 11:00高須基一朗
ファンを沸かせたウエストブルックⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ウエストブルックが俊敏な動き披露

10月8日(火)、10日(木)の2日間で開催された「NBA Japan Games」。八村塁のNBA入団の相乗効果だろうか、16年ぶりの日本開催とあって非常に注目度が高く、平日にもかかわらず多くのバスケットファンが集まった。

来場者数は約2万人。さいたまスーパーアリーナの3階席まで完全に席が埋まる状況を考えると、バスケット人気は明らかに国内で高まっていると実感できる入場者数だ。思い返せば、1996年、シャキール・オニールがマジックに所属していたシーズンに東京ドームで開催されたNBA開幕戦を観戦したことがあったので、個人的には23年ぶりのNBA生観戦となる。

さて試合内容はというと、今季よりサンダーからロケッツへ移籍したものの膝の怪我の具合が芳しくなく調整中だったウエストブルックだったが、Japan Gamesでついに登場。これには入場時から会場が大いに沸いた上、第1Qから膝の怪我を不安視していたメディアの予想を覆す形で、俊敏に動いているのが印象的だった。

ウエストブルックは親日家としても有名で、昨年はNIKE JAPANの計らいもありプロモーションの一環で来日。NIKE原宿のファンイベントへ参加し、代々木公園のNIKEコートでBリーグ選抜とエキシビションをするほどの熱の入れようだった。親日家で、日本での知名度や人気も高いことから、ファンイベントの試合とはいえ、欠場という選択肢を決断できなかったということだろう。

そして、ロケッツの今季の二枚看板の一角を担うハーデンもロスターで登場。2012年にサンダーで活躍していた二人が、実に7年ぶりに同じチームでプレイするお披露目となった。

第1戦はラプターズが逆転勝利

対する昨年度のワールドチャンピオンのラプターズは、チームの得点源のカウイ・ラウリーにセンターのガソールが調整のため欠場。さらに昨年度のエースであったカワイ・レナードが他チームへ移籍となり、ロケッツの選手の顔ぶれに比べると、ネームバリューで負けてしまっている感が否めないスタートだった。

試合中盤には、ウエストブルックが会場を盛り上げるために、ハーデンへディフェンスの裏を通すキラーパスを出したが、それにハーデンが俊敏に反応できずといったことが起こっていた。フレンドリーマッチのオープン戦とはいえ、二人のホットラインが機能しないとなれば、このプレイひとつで会場からは大きな溜息が聞こえたほどだ。

それでも、タレント性抜群の二人が、王者ラプターズを相手に得点を量産。ラプターズのディフェンス陣をあざ笑うかのような状態が続き、ハーデン34点にウェストブルック13点と、第3Qまで常に10点差をキープしつつ試合が進んだ。

迎えた第4Qで、ウエストブルックとハーデンを完全に休ませて、セカンドユニットで12分を戦うが、ここで試合が壊れる。第4Qスタート時には点差をつけていたロケッツは全く点が入らず、巻き返したラプターズが134対129で逆転勝利。選手層の厚さをあらためて見せつけた試合となり、ロケッツには課題が残る苦い結果となった。

第2戦はロケッツが雪辱

第2戦、ロケッツは第1戦と同メンバーでスタート。ラプターズは強力な戦力であるガソールを強行出場させる。Japan Games2連勝を狙いにきた。フレンドリーマッチのオープン戦とはいえ、今後のレギュラーシーズンの勝敗を占う意味でも優位な立場を取りたいラプターズのヘッドコーチのニック・ナースの考えが露骨に出た選手起用ともいえる。

ただ、この第2戦でもウエストブルックとハーデンの勢いは止められない。ウエストブルックは、ターンオーバーからの速攻で得点を量産し、ハーデンはセットオフェンスと、緩急をつけた試合展開に持ち込む。ラプターズは、この二人に翻弄されて主導権を握り切れない。

とはいえ、得点で先行するのはラプターズで初日の展開とは少しばかり違っていた。スモールオフェンス気味の試合運びであるロケッツに比べて、センターのガソールの投入で、要所で制空権を握っていたのが試合展開を左右したと言える。

第3Qを終えた時点で、90-90の同点。両雄譲らずの試合展開となった。

それでも、両陣営ともに第4Qはハーデン、ウェストブルックを含めて顔役を全て休ませて、セカンドユニット同士の対決へ。第1戦で逆転負けを喫したロケッツのセカンドユニットの選手たちに対して、ロケッツファンからも、批判が殺到していたがゆえに、ここで汚名を返上したいところであった。

そんな状況でロケッツの選手たちが奮闘。生え抜きのクリス・クレモンズが3ポイントを連続で叩き込むなど、セカンドユニットのメンバーで合計18点を稼ぎ、118-111で初戦の雪辱を晴らした。これにて1勝1敗の五分に戻した。

会場のファンは最後までハーデンとウエストブルックのプレーや、欠場したラウリーを見たかったと思うのだが、それでも16年ぶりのNBAの試合としては満足度は高かった。

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