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八村塁、歴史的NBAデビューで示した豊かな将来性と唯一の課題

2019 10/30 12:50田村崇仁
NBAデビューを果たした八村塁Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

開幕戦で「ダブルダブル」の快挙

歴史的なデビュー戦で見せたのは鮮烈な第一歩だった。バスケットボール男子の世界最高峰リーグ、NBAのドラフト会議で日本人初の1巡目指名を受けたウィザーズの八村塁が10月23日、敵地ダラスで行われたマーベリックスとの開幕戦に日本人で初めて先発出場し、約25分の出場で日本人最多を更新する14得点、10リバウンドをマークした。

八村開幕戦ⒸSPAIA

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チームは100‐108で敗れ、白星スタートとはいかなかったが、21歳の大物ルーキーは2部門で2桁の数字を残す驚異の「ダブルダブル」を達成し、本場米国のファンも驚かせる類いまれな適応力と将来性をアピールした。

ドラフトを経てデビューは日本人初

身長203センチ、体重104キロ。西アフリカのベナン出身の父と日本人の母の間に生まれ、自らを「スペシャルな存在」という男は鍛え抜かれた肉体を武器に力負けすることもなかった。開幕戦からパワーフォワードの座を勝ち取り、開始2分半に速攻から2人の相手に囲まれながらもゴール下に持ち込んで左手でメモリアルな初得点。その後もリバウンドから得点を重ねるなど、デビュー戦のプレッシャーをはねのけて堂々としたプレーを随所に見せた。

昨季、グリズリーズで渡辺雄太がマークした日本人最多の1試合10得点を初戦から早くも更新。ゴール下で強烈なブロックショットを浴びる場面もあったが、得意のミドルシュートも光った。

日本人のNBA選手は過去、2004年にサンズでプレーした田臥勇太(Bリーグ宇都宮)、昨季グリズリーズの一員として出場した渡辺雄太の2人だけ。世界中のプレーヤーが夢見るNBAドラフトは現在、毎年60人しか選ばれない「狭き門」として知られ、ドラフトを経てNBAの舞台に立った初の日本選手となった。

開幕3試合で1試合平均16.3点

10月25日は敵地でのサンダー戦に先発して約35分出場し、自己最多の19得点、5リバウンドをマーク。チームは97―85で勝ち、今季初勝利に貢献した。完全アウェーの中、ドライブでゴール手前まで攻めると、鋭く体を回転させる「スピンムーブ」で華麗なシュートを沈める場面もあった。

10月26日のスパーズ戦ではNBA自身初の「ダンクシュート」を成功させるなど、3試合連続2桁得点となる16得点、8リバウンド、3アシストを記録。これで開幕3試合は1試合平均16.3得点、7.7リバウンドをマークして主力級の活躍を見せている。シュート成功率は46.9%だ。

八村今季ⒸSPAIA

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スター級が集まるドラフト1巡目指名とはいえ、将来の成功が約束されるほど簡単な世界ではない。実力がなければ即刻放出される厳しい競争に身を置いている。だが八村は明るい人間性と実力でチームメートの信頼も勝ち取った。昨季32勝50敗でプレーオフを逃し、再建に着手したチームで今後も出場機会に恵まれそうだ。

唯一の課題は3点シュート

上々のスタートを切った八村だが、唯一の課題として指摘されるのが3点シュート。ゴール下での得点を求められたゴンザガ大時代は3点シュートを打つ機会がさほど多くなかった面もある。NBA入りが決まってからは日本代表合宿も含めて重点的に個人練習に取り組んできたが、開幕3試合では8本放って成功はゼロだった。

NBAではゴールから3点シュートラインまでの距離が最大で90センチほど、米ゴンザガ大学時代に比べても遠いという。近年のNBAは3点シュートの得点が全体の約3割を占め、八村自身も攻撃の幅を広げることが求められる。このテーマを改善できれば、さらなる飛躍が期待できそうだ。

10月30日は本拠地ワシントンでホーム開幕戦となるロケッツ戦。歴代最多の3点シュートを決め、セルティックスなどで活躍した名手レイ・アレン氏の助言も受けた。NBAで唯一無二の存在として成功を夢見る八村のルーキーシーズンは始まったばかりだ。

八村 塁(はちむら・るい)富山・奥田中時代にバスケットボールを始め、宮城・明成高時代にU-17(17歳以下)世界選手権で得点王。強豪の米ゴンザガ大へ進学し、3年目の2018~19年シーズンに全米大学選手権8強に導き、6月のドラフトでは1巡目9位の高評価でウィザーズに指名された。19年ワールドカップ(W杯)日本代表。ポジションはフォワード。203センチ、104キロ。21歳。富山市出身。

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