「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

八村塁、1年目から大谷翔平の6倍超 NBAが高年俸の理由

2019 6/27 07:00田村崇仁
狭き門のNBAドラフトで1巡目指名された八村塁Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

1巡目1位なら7億円が相場

米プロバスケットボールNBAのドラフト会議でウィザーズから日本人初となる1巡目、全体9位で指名された八村塁は歴史的な快挙だけでなく、待遇も桁違いだ。

NBAは1巡目1位なら約7億円、10位前後で4億円が相場といわれる。米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平でも今季の契約は年俸65万ドル(約7200万円)。Bリーグで初の1億円プレーヤー、富樫勇樹が誕生したばかりの日本から見ると、まさに夢のような収入が約束されている。

日本代表の主力で米ゴンザガ大のエース。身長203センチ、体重104キロのホープが、プロとして世界最高峰リーグの第一歩を踏み出した。

4000人の対象者から指名は60人の狭き門

米国の四大スポーツといえば、MLBの野球、NFLのアメリカンフットボール、NHLのアイスホッケー、そしてNBAのバスケットボール。いずれもドラフト制度を導入しているが、なぜNBAは群を抜いて年俸が高いのか。

米四大スポーツ比較ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


米国発祥で裾野が広く、世界の競技人口が5億人近いといわれる中、NBAに所属するのは現在30チーム。選手登録は各チーム15人だけで、正規契約でNBA選手になれるのは450人と少ないのが大きな理由だ。

ドラフト制度も2巡目まで60人という狭き門。全米大学体育協会(NCAA)のデータによると、例年は約4000人がドラフト対象者。単純計算でも確率はわずか1.5%となる。米国では大学バスケも大人気で、大卒ルーキーは即戦力になるため高額年俸になる背景がある。ちなみにNBA選手の平均年俸は約7億円だ。

筆頭格のカリーは40億円

スターになれば、さらに高額年俸が約束される。米スポーツ専門局ESPNによると、NBAではウォリアーズの人気選手、ステフィン・カリーの約40億円が筆頭格だ。

一方で日本の他競技はどうか。プロ野球は巨人の菅野智之が6億5000万円で史上最高年俸。サッカーでは日本代表MF香川真司が約5億1000万円で最高となっている。

米フォーブス誌によると、テニスの錦織圭は賞金やスポンサー収入などで算出したランキングで3730万ドル(約41億円)を稼ぎ、2019年は世界35位だった。

4年で20億円超え確実

NBAのドラフト1巡目で指名された新人30人については、指名順に応じて4年目までの年俸に基準額が設定されている。9位指名の八村は1シーズン目の年俸は推定で4億5000万円を超え、2季目は5億円前後。3、4季目はチーム側に契約するかどうかの選択権があり、その場合の年俸上昇率も決まっている。よほどのことがなければ、4年で20億円超を手にすることになる。

移動はプライベートジェット

また1巡目で選ばれた選手は、移動はプライベートジェットかファーストクラスとなるのが相場。NBAで順調に活躍した場合、年俸が跳ね上がるのは5季目以降だ。

NBAで最優秀選手(MVP)に4度輝いているレブロン・ジェームズは昨年、レーカーズと合意したが、その契約内容は4年契約で総額1億5400万ドル(約171億円)だった。

日本人初「ジョーダン・ブランド」と契約

八村は日本人で初めて、米ナイキ社の「ジョーダン・ブランド」とも契約した。「バスケットの神様」と呼ばれたかつてのスーパースター、マイケル・ジョーダン氏の名を冠したブランドだ。将来的には「ルイ・ブランド」も誕生するのか、夢は大きく広がっている。

NBAでデビューすれば日本人選手3人目。これまでは2004年にサンズでプレーした田臥勇太(現Bリーグ栃木)と、昨年10月にグリズリーズでデビューした渡辺雄太の2人。ドラフト指名を受けてのNBA入りは初めて。1981年にウォリアーズから8巡目指名を受けた岡山恭崇は入団に至らなかった。

10月から開幕するNBAシーズンには八村と渡辺が夢の舞台に立つ。来年の東京五輪でもNBAプレーヤーの2人がユニホームを着ることになるだろう。日本最強の「ドリームチーム」でどこまで躍進するのか、多くの国民が心を躍らせるのは間違いない。