ホームランダービートップ、三冠王も狙える大谷翔平
日本中を感動の渦に巻き込んだ第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)から3カ月以上が過ぎた。野球日本代表「侍ジャパン」のメンバーは所属チームでどのような活躍を見せているだろうか。ここまでのシーズン成績を紹介しよう。
何と言っても、エンゼルス大谷翔平の活躍は出色だ。日米のシーズン開幕前に開催されるWBCは、毎回シーズンに入ってからの反動が懸念されるが、大谷にそんな常識は通用しない。
投打で世界一に貢献し、胴上げ投手となった後、メジャーリーグでも大活躍。特に6月は打率.394、15本塁打、29打点、OPS1.444をマークし、月間MVPに輝いた。ここまで31本塁打で初のホームランキングはおろか、三冠王さえも期待される。
投手としても7勝3敗、防御率3.02の好成績を残しており、15勝を挙げた昨季に続く2桁勝利ももうすぐだ。WBCで優勝し、名実ともに世界一のプレーヤーと言っても過言ではないだろう。
吉田正尚はメジャー1年目から打率3割キープ
メジャーリーガーでは、パドレスのダルビッシュ有が5勝6敗、防御率4.84。ここまでローテーションを守ってきたが、体調不良のため6月22日の登板を最後にマウンドに上がっていない。日米通算200勝まであと7勝と迫っているだけに復帰が待たれる。
レッドソックスの吉田正尚はメジャー1年目から打率3割をキープ。オリックス時代に2度の首位打者に輝いたバットコントロールで好成績を残している。
WBCで大ブレイクしたカージナルスのラーズ・ヌートバーは54試合に出場して打率.256、5本塁打。昨季は108試合出場で打率.228、14本塁打だったから、ここまでは実力通りの活躍と言えそうだ。
巨人・戸郷翔征はハーラートップタイ8勝
NPBで活躍する投手を見渡すと、巨人・戸郷翔征が目立つ。ハーラートップタイの8勝(1敗)、防御率2.33と秀逸な成績を残しており、昨季の12勝を上回ることも十分に期待できる。
佐々木朗希も順調だろう。4月6日の今季初登板から3試合連続無失点など、ここまで10試合登板で5勝2敗、防御率1.69。規定投球回には達していないものの優秀な成績だ。
オリックスの山本由伸は7勝、チームメイトの宮城大弥は6勝、DeNA今永昇太は5勝、日本ハム伊藤大海は4勝を挙げており、中日の髙橋宏斗は3勝6敗ながら防御率1.95と優秀だ。楽天の松井裕樹も1勝2敗16セーブ、防御率0.71とクローザーとしての役目を果たしている。
広島・栗林良吏に代わって侍ジャパンに追加招集されたオリックス山﨑颯一郎は、WBCでの出番はなかったものの、シーズンでは3勝15セーブ、防御率1.42と安定した投球を続けている。
巨人・大勢、阪神・湯浅京己は二軍落ち
逆にシーズンで苦しんでいる投手も少なくない。巨人・大勢は2勝14セーブをマークしているが、6月30日に登録抹消。右上肢のコンディション不良のため二軍で調整している。
阪神・湯浅京己も2勝8セーブを挙げているが、6月15日のオリックス戦で1点リードの9回に頓宮裕真、杉本裕太郎にソロ2発を浴びて翌16日に抹消。二軍で汗を流しながら復活を目指している。
ヤクルトの高橋奎二も9試合登板で3勝どまり。7月2日の広島戦で2カ月ぶりの白星をつかんだが、本人としては不本意な成績だろう。
WBC期間中にダルビッシュから“愛のイジリ”を受けて話題になったオリックス宇田川優希も苦しんでいる。4月23日に登録抹消されるまで7ホールドを挙げたものの、6月13日に再昇格してからは敗戦処理や大量リードの場面での登板が続いている。
DeNA牧秀悟、巨人・岡本和真、ソフトバンク近藤健介は好調
野手で目立つのはDeNA牧秀悟だろう。ここまで打率.286、13本塁打、49打点。打点ではリーグトップを走っており、初タイトルも期待される。
巨人の主砲・岡本和真も好調だ。12球団トップの18本塁打を放ち、打率も.310でリーグ3位、45打点もリーグ3位と三冠王も狙える成績だ。まずは6年連続の30本塁打をクリアしたい。その先に2年ぶりのタイトルも見えてくる。
WBCで評価を高めたソフトバンク近藤健介も実力を発揮している。すでにキャリアハイを更新する12本塁打を放っており、打率.283の好成績。日本ハムから移籍1年目だが、すでに欠かせない存在となっている。
阪神・中野拓夢も打率.288の好成績。WBCではショートとして起用されたが、チームではセカンドにコンバートされ、自分の居場所を作っている。
ソフトバンク牧原大成はカブス鈴木誠也が辞退したため侍ジャパンに緊急招集。シーズンでは4月28日からケガで約1カ月間、離脱したが、5月27日に復帰後はスタメンで起用されており、打率.303をマークしている。
WBCで右手小指を骨折した西武・源田壮亮は、5月26日に戦列復帰。打率は.212だが、堅守でファンを魅了している。また、ソフトバンク甲斐拓也、巨人・大城卓三、ヤクルト中村悠平の捕手3人も比較的順調にシーズンを過ごしていると言えるだろう。
調子上がらないヤクルト村上宗隆、山田哲人は登録抹消
逆に苦しんでいるのがヤクルト村上宗隆だ。ここまで打率.234、12本塁打、37打点。日本人最多の56本塁打を放って三冠王に輝いた昨季に比べると物足りなさは否めない。
チームメイトの山田哲人も調子が上がらない。ここまで打率.234、9本塁打の成績で、7月3日に登録抹消。村上と山田の中軸2人の不振が今のチームの順位につながっていると言っても過言ではないだろう。
ソフトバンク周東佑京は16盗塁を決めているものの、打率.185と不振から抜け出せない。代走から守備固めに入るパターンが多く、スタメンをつかむには打力アップが課題と言える。
西武の山川穂高は17試合に出場したのみで本塁打なし。週刊誌沙汰になり、5月12日に登録抹消されている。
活躍している選手も不調の選手もどこまでWBCの影響があるのか定かではない。ただ、開幕前にピークを作り、調整の難しいシーズンとなっているのは確かだ。そういう意味では、やはり大谷の成績は驚異としか言いようがない。
※成績は7月3日終了時点
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