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選手分析 ~巨人 #41 中川皓太~ 「打者を欺くスライダー」

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ⒸSPAIA

リーグ連覇最大の立役者

今季急成長を遂げた巨人・中川皓太。開幕から16試合連続無失点と最高のスタートを切ると、チーム最多となる67試合に登板。シーズン途中にはクローザーも任されるなど、中継ぎ陣の中心を担った。

表1_2016~19年:投手成績


中川はストレートとスライダーの2球種で投球の8割以上を占める。中でもスライダーの被打率は1割台と、リーグでもトップクラスの威力を誇っている。昨季のスライダーの被打率は.255だったことから、スライダーの威力が増したことが、今季の急成長につながっていそうだ。

表2_2019年:球種別投球割合・被打率


中川は今季、スライダーを一塁側のコースに投げる割合が増えた。一塁側は右打者であれば外角、左打者であれば内角にあたり、左投手が左打者の内角にスライダーを投げるケースは珍しい。中川もこのコースに多投した訳ではないが、要所でこのコースにスライダーを投げ切る姿が印象的だった。

表3_2018・19年:コース別スライダー投球割合


左投手が一塁側へスライダーを投げるということは、ボールゾーンからストライクゾーンへ変化させるということを表している。一見すると痛打のリスクも高そうな配球だが、中川のスライダーは高い確率で打者にスイングをさせておらず、ストライクを稼ぐことに成功している。中川は今季から腕の位置を下げるフォームに変えており、その結果スライダーが「打者の手元で小さく鋭く曲がるようになった」と本人は表現している。

表4_2018・19年:スライダー見送りストライク率


一塁側へのスライダーがボールに見えてしまう一方で、三塁側へのスライダーはボール球でも打者のバットが止まらない。特に右打者の内角ボールゾーンへのスライダーは50%以上の確率でバットを振らせることに成功している。このコースへのスライダーの奪空振り率も昨季より顕著に向上し、打者の左右を問わず機能するウイニングショットに進化している。

表5_2018・19年:三塁側スライダーボールゾーンスイング率と奪空振り率


ウイニングショットのスライダーを引っさげ、プレミア12で初めて侍ジャパンに選出された中川。大会では3試合で無失点、4奪三振の好投を見せて充実したシーズンを終えた。今後は落ちる球の習得にも意欲を見せており、開花した左腕はさらなる成長に向けて余念がない。

※文章、表中の数字はすべて2019年レギュラーシーズン終了時点

企画・監修:データスタジアム
執筆者:川畑 賢太郎

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