選手の年俸もAIが査定すれば公平
司会:AIは精神的な部分も取り込んでいるんですか?
金島:性格を入れられたら、かなり面白くなります。
司会:現時点ではその要素は入れてないのでしょうか?
金島:まだ入れてません。僕は小1から高校まで野球をやっていましたが、20年以上前はほぼ精神論でした。スポーツは精神面が調子に影響することもあるので、マインドという指標をどうやってユーザーに届けていくか、これは大きなテーマです。
例えばコナミさんの「パワプロ」とか「プロ野球スピリッツ」などの野球ゲームでは、選手の調子が5段階くらいで表示されます。それをリアルで見せようと考えています。もし、新聞に監督から褒められた選手の記事が載ったら、少し調子が上がるのかなとか、ヤジが多いと選手もマインド下がるのかなとか。
仮に1アウトランナー2塁で6番打者なら進塁打を打つか、いろんなケースが考えられます。8割くらいサードゴロなら進塁打を打つ気がないと判断するとか、少しずつAIに性格を学習させられるかもしれません。投手でも満塁になると、キャッチャーが内角に構えててもインコースに投げられないというデータがあれば、精神的に弱いと出る可能性があります。
司会:そういうものを積み上げていって精度を高めていくと?
金島:そうですね。ただ、野球選手は1年の間で急速に進化したり、逆に調子を崩したりします。多種多様なので、今年こういう性格だから来年も使えるかと言うと、また変わってくる可能性もあります。
司会:今後は選手の査定でもAIを導入する球団があるかもしれません。
井上:その方が公平かもしれませんね。僕も契約更改交渉で「ええっ!?」というのを経験してますから。
金島:メジャーでは統計学とAIが取り入れらています。例えば、ある選手が試合で投げたり、スタメンで出たりすると、球場の飲食物の売上が8%上がるとか、エージェントが交渉材料にするそうです。野球のデータだけじゃなくて、ファンをどれだけ呼べるかですね。
井上:井上弁当がいつも500個なのに2000個売れてるとか、打撃でも勝利打点を挙げたとか、データ化してもらえればいいですね。それにプラス人間性。
金島:ベンチでどれだけ盛り上げてるかとか、人間関係とか、第三者が評価できればいいでしょうね。
井上:僕もその手はよく使いました(笑)。成績はこれだけかも知れんけど、野球以外のことでもいろいろ動いてると。ドラゴンズにとって僕を必要か必要でないかという数字にしてほしいとお願いしましたよ。
金島:その考え方は最先端だと思います。
司会:AIと真逆な気がしますが?
金島:データだけでなく、パーソナリティや性格もすごく重要です。