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プロ野球順位予想「AI」と「KI」が対決 元中日・井上一樹氏対談①

2019 3/27 11:00SPAIA編集部
井上一樹氏2人,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA


ファン待望のプロ野球開幕を控え、元中日ドラゴンズで野球評論家の井上一樹氏がSPAIA編集部を訪れ、株式会社グラッドキューブ代表取締役CEOの金島弘樹と対談した。中日スポーツが紙面上に中日ドラゴンズ全試合のSPAIA AI勝敗予想を掲載することに先立ち、対談ではAIによるプロ野球順位予想を発表。一方、井上氏はSPAIAの「AI予想」に対し、KAZUKI INOUEの「KI予想」を発表した。2回連載でお届けする。

AIは広島4連覇、井上氏は巨人

司会:いよいよ開幕が迫ってきました。本日はよろしくお願いします。

金島弘樹(以下、金島):よろしくお願いします。

井上一樹(以下、井上):よろしくお願いします。

司会:では、AI予想からいきましょう。

金島:私もAIの予想を見てびっくりしたのですが、セ・リーグは広島が4連覇です。2位ヤクルト、3位巨人、4位阪神、5位中日、6位DeNAとなりました。パ・リーグは1位ソフトバンク、2位日本ハム、3位西武、4位ロッテ、5位オリックス、6位楽天です。

司会:明確な理由は分かるんでしょうか?

金島:どういったデータを学習させたかは言えます。AIにはいくつかの種類があるのですが、今回使っているのは時系列のAIです。プロ野球はほぼ毎日試合があって疲労が溜まっていくので、好調な選手がいれば、不調になっていく選手もいます。さらに球場や天候、プライベートによってもいろいろバイアスがかかるので、データを積み上げて学習させます。昨季の先発投手とスタメン、ドラフト入団選手もオープン戦のデータを見ながら予想しました。さらにWAR(Wins Above Replacement)など、セイバーメトリクスの指標を活用しています。

司会:WARは、ある選手が試合に出場することで、控えレベルの選手より何勝上積みできるかを表す指標ですね。

金島:そうです。それと、推定年俸を入れるか議論になりました。高ければ活躍するという訳ではないですが、昨年より上がっている選手は実績が上がったというバイアスをかけて、年俸も学習データに入れました。あとはホームでの勝率や、先発ローテーション、野手もケガをするかもしれないので昨年のデータを入れました。

司会:井上さんの予想は?

井上:セ・リーグは1位巨人、2位広島、3位中日、4位DeNA、5位阪神、6位ヤクルト。パ・リーグは1位ソフトバンク、2位西武、3位オリックス、4位日本ハム、5位楽天、6位ロッテ。カズキ・イノウエの「KI予想」です(笑)。

順位予想表,ⒸSPAIA

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司会:中日3位の理由は?

井上:新生ドラゴンズへの期待も込めました。センターラインが弱いのは不安要素です。ショート京田、センター大島は働いたとしても、キャッチャーとセカンドがいまだに明確になっていません。加えて、先発ローテーションも定まっておらず、143試合ローテーションを回せるかというのもあります。

それでも3位にしたのは、昨年の首位打者ビシエドや、平田、大島、高橋あたりはやれるという期待があるからです。

司会:新人の根尾が注目されてますが?

井上:まだプロのスピードについていけてないですね。センスはあるけど、速いインコースの真っすぐに対応できないから、来たらどうしようと思ってるところで抜かれて空振りする。経験不足ですね。当たったとしてもショートゴロやレフトフライが多い。左へ打ってるのでなく振り遅れています。

司会:現段階ではロッテに入った藤原の方が上ですか?

井上:間違いなく上でしょう。広島の小園も含めて、3人並んだら根尾君は3番目。メディアがスーパースターのように過大評価したから、かわいそうです。実力以上に評価されちゃったから。

司会:中日の高卒ドラ1で左打ちのショートと言えば立浪和義氏と重なります。

井上:立浪さんは「俺も非力でホームランは打てなかったけど、右方向に引っ張れた」と言ってました。根尾君は引っ張れないからもうちょっと時間がかかると思います。

司会:2、3年は辛抱すべきと?

井上:懸念材料があるとすれば、与田監督が焦ること。4月から1軍と2軍を行ったり来たりさせると成長を止めてしまうと思います。夏場までは2軍に置いておくべき。ショートには京田がいるから、どうしても使いたいならセカンドで使えばいいと思います。

AI2位、井上氏6位 評価分かれるヤクルト

司会:AI予想でドラゴンズ5位の理由を言える範囲で教えてください。

金島:現時点で投手陣のケガ人が多いですね。それとナゴヤドームのデータも出しているんですが、球場が広くてホームランが出にくいので、打率が高くても連打しなければ難しいというAIの判断です。例えば、3割の打者が4連続でヒットを打つ確率は30%×30%×30%×30%になり、理論上は1%を切るんです。データが全てではないですけど、AIはそういう風に捉えてる様子がうかがえます。

井上:AIにない要素を挙げるとしたら、選手の力量とチームの順位は必ずしも比例しないことです。例えば去年のドラゴンズみたいに、3割バッターが3人も4人もいて5位に甘んじることもあります。個の力があっても輪になった時にきれいな円を描けるかどうか。個の力がずば抜けていなくても輪になるときれいな円を描くのがチーム力だと思います。そっちの方が順位は上になるでしょう。

あとは監督がうまく煽って選手を踊らせるかどうか。矢野さんも与田さんもよく知ってます。将棋で言う指し手も、駒がなかったら指せません。阪神は戦力的に厳しく、2年後、3年後を見据えての起用になるでしょうが、重苦しい空気になっても、なんとかしようという雰囲気づくりを矢野さんはできると思います。

巨人を1位にしたのは丸の加入が大きいからです。坂本、岡本がいて、あとはゲレーロ次第でしょう。菅野という絶対的エースがいるのも強いですよ。広島を4連覇としなかった理由は丸が抜けたのと、ここ何年か中継ぎ陣が登板過多なんで不具合が生じる可能性があることです。でも、チーム力はあるから2位にしました。

DeNAはピッチャーがいますからね。それとケガした時の保険という問題もあります。例えばドラゴンズで言えば、センターの大島がケガした場合、誰を守らせるか。広島なら野間、西川、安部とか、どこでも守れる選手がいます。

文中2人,ⒸSPAIA

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司会:ヤクルトの評価が分かれていますね。昨季2位ですが井上さんは6位予想です。

井上:ピッチャーの駒が足りないかなと思います。オープン戦で好調の村上が出てくるともっと上にいく可能性もあるけど、普通に考えると投手陣が心配ですね。

司会:AI予想のヤクルト2位は、出塁率と長打率とを足し合わせたOPSの高さも加味したものでしょうか?

金島:そうですね。坂口、青木、山田哲人、バレンティン、雄平に、川端慎吾や畠山も復活したらつながりのいい打線になります。そのあたりが2位という好評価につながったのではないでしょうか。実際、巨人や広島にも匹敵するほどの打力をもっていると思います。

井上:あそこの打線も怖いですよ。

金島:神宮球場は狭いですから。

井上:そうなんですよ。阪神が浮上するためにはラッキーゾーンを復活すべきだと思います。(ライトからレフトへ吹く)浜風には勝てませんよ。僕も何本損したか。ナゴヤドームなら中段くらいまで飛ぶ手応えがあっても甲子園だとライトフライ。甲子園は左バッターにはきついです。

金島:ラッキーゾーンがあれば得点力はアップします。風を活かした戦略は阪神が得意かもしれないのに、左打者がホームランを打てないのはもったいないです。

井上:「ホームランを打たれることもないけど自分たちも打てない」よりは、点を取られる覚悟で点を取りに行く方がいいでしょう。


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〜 AI勝敗予想「選手も見る」 元中日・井上一樹氏対談②に続く