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過去10年で8度競合の巨人 2年連続「当たり」の勢いままに今年も本命にアタック?【球団別ドラフト指名傾向】

2024 10/18 11:00SPAIA編集部
巨人の西舘勇陽,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1位指名で2年連続「当たりくじ」

今年は10月24日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番まで1週間を切り、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第2回は巨人編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】

はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、巨人は合計234人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が125人で全体の約53%と半分以上。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約40%、35%、25%と高校生の割合が大きい。ただ、育成で高校生を大量に指名していることを考えると、支配下では大学生、社会人を積極的に指名していると言えるだろう。

2004年以降のポジション、候補選手別指名人数,ⒸSPAIA 2004年以降の各分類別指名人数


次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2014年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まず1位指名のみで見ると、巨人は2014年からの10年間で8度競合している。強気の指名が目立つが、「くじ運」は悪く2勝6敗。再抽選も含めると2013年から11連敗中だったが、2022年に11年ぶりに当たりくじを引き、浅野翔吾の交渉権を獲得。さらに、昨年も日本ハムとの競合の末、西舘勇陽の獲得に成功しており、運気が変わりつつある。

2014年以降の1位指名選手,ⒸSPAIA 過去10年のドラフト1位


ポジション別でみると、投手7人、内野手2人、外野手1人だった。他球団と同じく投手の割合が大きくなっているが、2022年に外野手の浅野を1位指名。これは1967年の高田繁(明大)、1997年の高橋由伸(慶大)、2009年の長野久義(ホンダ)に次いで球団4人目で、高校生外野手は球団史上初だった。

同ポジション選手の連続指名も厭わず

ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位では投手を多く指名していた巨人だが、3位までに範囲を広げると、「投手2・野手1」が7度、「野手2・投手1」が2度、「投手3」が1度と、変わらず投手の割合が大きい。

また、指名全体では高校生の指名が一番多かったが、上位指名では高校生が8人、大学生14人、社会人8人と大学生の割合が大きくなる。巨人は育成選手の指名にも積極的で、数多くの高校生を獲得してきている。その一方、本指名ではより完成された大学生、社会人の割合を増やすことで戦力を整えているようだ。

過去10年のドラフト3位までの指名選手,ⒸSPAIA 過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は大学生)


10年間で11人指名している野手の内訳は、捕手2人、内野手4人、外野手5人と他球団と比較して外野手が多めとなっている。特徴的なのが、2022年は1位と2位で連続して外野手、2017年は2位と3位続けて捕手を指名している点。補強ポイントとみれば、同ポジションの選手を重ねて指名するのも厭わないということだろう。

以上より巨人の指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・指名全体では高校生、上位指名は大学生が中心
・1位は競合してでも本命指名
・ポジションはバランス良く
・補強ポイントは重点的に

今季から指揮を執った阿部慎之助監督は、2年連続Bクラスのチームを見事に立て直し、4年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。昨年就任直後に行われたドラフト会議では自らくじ引き役を務め、当たりくじを引き当てていた指揮官。その強運のままに今年も競合覚悟で本命を指名し、さらなる戦力アップを図るのだろうか。会議当日を楽しみに待ちたい。

※選手のポジションは指名当時

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