投手陣は昨季から大幅改善も菅野流出危機
今季は阿部慎之助が新監督に就任し、2020年以来4年ぶりとなるリーグ制覇を成し遂げた巨人。昨季は防御率3.40でリーグ5位と課題だった投手陣が今季はリーグトップとなる防御率2.49と大幅に改善し、優勝の原動力となった。
現在、日本シリーズ出場権をかけてクライマックスシリーズファイナルステージを戦っている中、10月24日に開催されるドラフト会議はチームのさらなる戦力強化において最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含め巨人のドラフト補強ポイントを考えていく。
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まずは投手陣。先発では昨季に続いてローテーションを支えた戸郷翔征、山﨑伊織、グリフィンに加え、35歳の菅野智之が15勝で最多勝に輝くなど復活を遂げチームをけん引。さらに高卒5年目左腕の井上温大が8勝をマークするなど、盤石な先発ローテを形成した。
ただ、今季大車輪の活躍を見せた菅野が今オフに海外フリーエージェント権を行使してメジャーリーグへの移籍を目指す意向であることが判明。今季最多勝と最高勝率の2冠に輝いた右腕の穴を埋めるのは容易ではないだけに、即戦力の補充も視野に入れておきたい状況だ。
リリーフ陣では守護神の大勢が復活し、来日2年目のバルドナード、阪神から加入したケラーの助っ人2人と勝利の方程式を確立。昨季活躍した中川皓太と菊地大稀が故障離脱となったが、2年目の船迫大雅や復調した高梨雄平、トレード加入の泉圭輔らがブルペンを支えた。
さらに、平内龍太、西舘勇陽と2人のドラ1も奮闘し、リリーフ防御率はリーグトップの2.77をマーク。ただ、今季最終盤まで優勝争いを繰り広げたこともあり、疲労の蓄積は心配材料。ドラフトでは即戦力となる投手をしっかり補充しておきたい。
野手陣はコーナーポジションの補強必須
捕手は正捕手の大城卓三が春先から不振に陥るなど二軍調整を経験。代わりに出番を増やした岸田行倫がチームトップの72試合でスタメンマスクをかぶった。陣容は揃っているが、大城が国内FA権を取得したこと、23歳の山瀬慎之助より下の年代が支配下にいないことを考慮し、即戦力の大学生・社会人、将来を見越しての高校生と2枚取りも検討しておきたい。
続いて内野手。主に一塁を務めた岡本和真が27本塁打、83打点でともにチームトップと期待通りの活躍を見せた一方、三塁の坂本勇人は打撃不振で一時二軍落ちするなど昨季から数字を大きく落とした。岡本の将来的なメジャー移籍も否定できないだけに、強打の内野手は優先的に補強したいポジションだ。
二遊間では二塁の吉川尚輝が自身初の全143試合に出場するなど躍動。遊撃は門脇誠が打撃成績こそやや昨季を下回ったが、95試合でスタメンを張るなどレギュラー1年目としては十分な活躍を見せた。高卒4年目の中山礼都、ルーキーの泉口友汰も控えており、補強優先度は低い。今ドラフトで指名するとしても、高校生が中心となるだろう。
外野手は各ポジションで固定起用された選手はいなかったが、主に一番で起用された丸佳浩、シーズン途中加入のヘルナンデスが好成績をマーク。8月にヘルナンデスが負傷で離脱となるも、同じく途中加入のモンテスが見事にその穴を埋めた。
若手ではルーキーの佐々木俊輔が開幕スタメンの座をつかみ、2年目の浅野翔吾はプロ初の満塁本塁打を放ち存在感を示した。若い芽も育ってきているが、30歳以上が半分を占める陣容となっており、浅野らとともにレギュラーを狙える素材を確保しておきたいところだ。
1位は超目玉・金丸夢斗を指名か
以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.即戦力の先発投手
1位では先発投手か強打の内野手の指名を考えたい。今ドラフトの超目玉、関西大・金丸夢斗が1年目から2桁勝利を狙える即戦力性を考慮して、1位で指名すると予想する。最速154キロ左腕は、現在所属する関西学生リーグで71イニング連続自責点ゼロを継続中。1位で競合必至の”金の卵”を引き当て、投手力を底上げしたい。
競合を避けるなら愛知工業大・中村優斗や東海大相模高・藤田琉生の獲得を狙うのもありだろう。中村は金丸らとともに3月の「侍ジャパン」トップチームの強化試合に”飛び級”で招集された本格派右腕。即戦力性では金丸と双璧と言っても過言ではないだろう。藤田は身長198センチの大型左腕で、スケールの大きさでは今ドラフトナンバー1の逸材だ。
2.強打の内野手
次点で強打の内野手の獲得を狙いたい。将来性重視で高校生となると、花咲徳栄高・石塚裕惺がピカイチ。高校生のため即戦力とはいかないが、2年目から一軍で存在感を発揮してもおかしくない打力を有している。早稲田実高・宇野真仁朗もパンチ力ある候補として注目だ。大学生ならフルスイングが身上の青学大・佐々木泰、上武大・荒巻悠がプロでも長距離砲となれるパワーを備えている。
3.高校生捕手
ファームで鍛える高校生捕手も獲得して将来に備えたい。筆頭候補は今春センバツで初優勝した健大高崎高・箱山遥人だ。複数の投手を巧みにリードした統率力、高校通算35本塁打のパンチ力を併せ持ち、将来の正捕手候補として鍛えがいのある選手だ。
その他では、今夏の神奈川大会決勝でサイクルヒットを達成した強打が持ち味の横浜高・椎木卿五、守備に定評のある沖縄・エナジックスポーツ高の龍山暖らが候補となる。
※表の年齢は2024年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月15日時点)
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