2023年は阪神の3倍近い14人が1番スタメン
2年連続となる4位に終わった巨人は原辰徳監督が退任し、阿部慎之助新監督の下で2024年シーズンに臨むことになった。
V奪回への課題のひとつが固定できていない1番打者だろう。「アレ」を達成した阪神・岡田彰布監督は1番・近本光司を始め、オーダーをほぼ固定して1年間戦ったが、2023年の巨人で1番としてスタメン起用された打者は14人もいた。
阪神は近本がケガで離脱した期間もあったにもかかわらず124試合でリードオフマンを務めており、1番起用は近本を含めて計5人しかいなかったことを考えると巨人とは雲泥の差だ。
最多の吉川尚輝でも35試合のみ。次いで多いのが22試合の梶谷隆幸、21試合のオコエ瑠偉、19試合の長野久義と続いている。
坂本勇人とブリンソンも10試合、丸佳浩も8試合と、本来なら中軸で起用されるべき打者も1番を務めた。
固定できる選手がいないと言えばそれまでだが、日替わりオーダーがズバリ的中することなどそう多くはない。起用される選手も固定された方が、打順なりの対応力は高まるだろう。
吉川尚輝を他球団の1番と比較
では、現有戦力で誰が1番に相応しいのだろうか。まずは今季最多の35試合で1番として起用された吉川尚輝を他球団のリードオフマンと比較してみよう。
各球団で最も多く1番として起用された打者の今季成績が下の表だ。
吉川は1番以外も含めた今季トータルで132試合に出場し、打率.256、出塁率.308だった。
一見、悪くない成績に映るが、実は阪神・近本光司、広島・菊池涼介、DeNA・佐野恵太、ヤクルト・塩見泰隆、中日・岡林勇希の他5球団の1番と比べて、打率、出塁率ともリーグワーストなのだ。
それでも選球眼が良い、あるいは足が速いなどの特長があればまだしも、26四球、4盗塁といずれも少ない。左の巧打者タイプのためイメージ的には1番が向いているように見えるが、数字上は1番の役割を果たせていない。
昨季までリーグ連覇しながら今季はまさかの5位に沈んだヤクルトは、昨季までリードオフマンを務めた塩見泰隆がケガのため51試合出場(1番スタメンは36試合)にとどまったのが響いた。2021年は出塁率.357、21盗塁、2022年は出塁率.345、24盗塁をマークした塩見の穴は、並木秀尊らでは埋まらなかった。
それがV逸の原因のひとつだとすれば、やはり1番打者を固定できるかどうかは大きな問題と言えるだろう。
実績では梶谷隆幸も…門脇誠やドラ3佐々木俊輔も候補?
1番としての実績は梶谷隆幸の方が上だ。DeNA時代の2020年は主に1番として109試合に出場し、打率.323、出塁率.387、14盗塁、リーグトップの88得点をマーク。今季も102試合で打率.275、出塁率.326と一定の成績は残している。
ただ、いかんせん35歳。今季2盗塁だったことを考えても、以前のようにシーズン通して1番を務めるのは厳しいだろう。
昨オフの現役ドラフトで移籍し、今季は開幕戦に1番レフトでスタメン出場したオコエ瑠偉も終わってみれば41試合で打率.235、出塁率.278、1盗塁だった。高校時代に俊足強打で強烈なインパクトを残したためポテンシャルへの期待は高いが、1番として固定するには心もとない。
キャンプから坂本勇人とショートを争ったルーキー門脇誠は、サードやセカンドもこなして126試合に出場。打率.263、出塁率.302、11盗塁の好成績でオフの契約更改では推定3100万円の大幅昇給を勝ち取った。
今季1番として起用されたのは1試合のみだったが、経験を積めばリードオフマンとして機能するかも知れない。
昨年ドラフト1位の浅野翔吾も1年目から24試合に出場し、うち5試合は1番として起用された。今秋ドラフト3位の佐々木俊輔(日立製作所)らも含めた候補者の中から不動のリードオフマンに成長する打者は出てくるか。新生・阿部巨人のカギと言えそうだ。
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