青山美夏人が1年間一軍帯同
2023年のプロ野球も新人選手たちの活躍が光った。オリックスの育成4位・茶野篤政は開幕前に支配下登録され、育成出身ルーキー初の開幕スタメンを奪取。阪神のドラフト1位・森下翔太は、球団の右打者としては43年ぶりの2桁10本塁打を記録し、日本シリーズでも新人最多タイの6打点を挙げるなど、球団38年ぶりの日本一に大きく貢献した。
そこで今年の新人たちが一軍でどのような活躍を見せたのか、球団ごとにルーキーの通信簿を作成した。投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」のそれぞれ4項目について、5段階で評価している。
今回は松井稼頭央体制1年目も5位に終わった西武のルーキーたちを見ていく。
投手で一軍登板を果たしたのは、ドラフト4位の青山美夏人ただ一人だった。開幕一軍を勝ち取ると、開幕戦で9回1点リードの場面でプロ初登板。森友哉に一発を浴び、プロ初セーブとはならなかったが、堂々の一軍デビューを飾った。その後も主に中継ぎとしてシーズン通して一軍に帯同し、39試合に登板、0勝1敗3セーブ1ホールド、防御率2.96の成績を残した。
投手の各項目は球威がリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
青山はストレートの平均球速が145.7キロ、K%は18.3とともにリーグ平均並みで球威と奪三振の評価は「3」。BB%は12.4と制球面で苦しんだ影響で、FIPが4.18とリーグ平均(3.50)を下回り、総合評価は「2」となった。
現在は台湾での「アジアウインターリーグ」に参加。先発としての経験も積むなどオフも野球漬けの日々を送り、来季さらなる飛躍を目指す。
蛭間拓哉と児玉亮涼が実力の一端示す
野手では、ドラフト1位の蛭間拓哉と同6位の児玉亮涼が一軍の戦力となった。蛭間は開幕を二軍で迎えたが、6月下旬に初昇格すると、以降は一軍に定着。56試合に出場して打率.232、2本塁打、20打点をマークし、1番や3番など上位打線も任されるなど、将来の主軸候補として経験を積んだ1年となった。
一方の児玉は、開幕一軍入りすると、持ち前の堅守でWBCでのケガで出遅れた源田壮亮の代役として遊撃のポジションを勝ちとった。ただ、源田復帰後は、打撃で結果を残せなかったこともあり、二軍落ちも経験。最終的に56試合に出場し、打率.221、8打点の成績だった。
野手の各項目は、パワーがリーグの平均ISO(=長打率-打率:長打力を示す指標)、選球眼は同BB/K(四球と三振の割合から打者の選球眼を見る指標)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。
蛭間はISOが.061と期待されたほどのパンチ力は見せられず、パワー評価は「2」。走力も決して足は遅くないはずだが、spdは1.10と物足りない数字に終わった。一方でBB/Kは0.38とリーグ平均(0.42)並みで選球眼は「3」。56試合の出場でwRCは17.4で、貢献度評価は「2」となった。来季は外野手レギュラー不在の惨状に終止符を打つ活躍が期待される。
児玉はISOが.057でパワー評価は「2」、BB/Kが0.13で選球眼は「1」と打撃面が振るわなかった。ただ、走塁面ではspd:5.7と持ち味を発揮。貢献度(wRC:4.3)評価は「1」に終わったが、守備走塁は一軍でも十分に武器として通用していた。来季は打撃に磨きをかけ、源田に挑戦状をたたきつけたいところだ。
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