8月20日DeNA戦で今季2度目の完封
阪神の伊藤将司が20日のDeNA戦(横浜)で9回6安打3三振1四球で完封勝利を挙げた。
4回2死三塁で打席に立つとDeNAトレバー・バウアーからライト前タイムリーを放つなど、自ら投げて打っての大活躍。今季初登板だった4月27日の巨人戦以来2度目の完封で8勝目を挙げ、防御率2.33でリーグ4位に浮上した。
横浜高から国際武道大、JR東日本を経てドラフト2位で入団して3年目の27歳。1年目から10勝を挙げ、昨季も9勝とコンスタントに勝ち星を重ねている。
左腕から投げ込むストレートは平均142.2キロとそれほど速いわけではない。身長178センチ、体重85キロのスラリとした体格で威圧感もあまりない。にもかかわらず、結果を出し続けているのはなぜだろうか。
奪三振率は下から3番目もバットの芯を外して凡打の山
同じ腕の振りから投げるカットボールは平均134.5キロ、ツーシームは135.8キロとほとんど球速が変わらない。さらにタイミングを外すチェンジアップは125.5キロ、最も遅いカーブは114.8キロとストレートに比べて30キロ近いスピード差がある。
さらにコントロールも良い。ストライクゾーンを9分割したコース別の被打率は下の通りとなっている。
左打者に対しては外角が投球割合15%以上を示す赤色に染まっている。逆に内角・真ん中のベルトラインと低めは7%未満を示す青色。左打者にとって遠く見える左腕からの外角球は、高めでも被打率.200、ベルトラインは.077、低めは.226と抑えている。.412と最も被打率の高いど真ん中は4.7%しかなく、失投が少ないことも分かる。
右打者に対しては外角低めが唯一の赤色(投球割合15%以上)で被打率.280。ど真ん中だけは青色で被打率.368と打ち込まれているものの、それ以外はストライクゾーンを広く使って万遍なく投げ分けていることが証明されている。
多彩な変化球をコントロール良く投げ分けられると相手打者は的を絞りにくい。カットボールやツーシームでバットの芯を外し、凡打の山を築かせる投球が真骨頂だ。
その証拠に奪三振率は5.60と低く、規定投球回に達している投手12人のうち10位。逆に打球に占めるゴロの割合を示す「GB%」は52.7%で3位、9イニングで与える四球数を示す与四球率は1.48で4位と高い。さらに被本塁打3本は12人中最少だ。ゲームメイクがうまい実戦派として、いかに打たせて取っているか分かるだろう。
甲子園11連勝の「サンデー将司」
本拠地・甲子園で強いのも魅力のひとつだ。ルーキーイヤーから今年6月15日のオリックス戦まで甲子園で11連勝をマーク。7月8日のヤクルト戦で負け投手となり連勝は止まったが、それでも今季は甲子園で7試合に登板して防御率1.98と抜群の安定感を見せている。
今季は開幕から約1カ月、出遅れたが、それでも8勝は大竹耕太郎と並んでチームの勝ち頭だ。2年連続最多勝の青柳晃洋が波に乗れない今季、伊藤がいるといないとでは大きく違うのは言うまでもない。
2005年以来、18年ぶりの「アレ」へ突っ走る阪神。毎週日曜に登板している「サンデー将司」が6連戦の最後を締めてくれるのはこの上なく心強い。
※成績は8月21日現在
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