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阪神から西武移籍の陽川尚将が絶好調、10年目の新天地で心機一転

2023 3/16 06:00SPAIA編集部
西武の陽川尚将,ⒸSPAIA
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ソフトバンク東浜巨から三塁打と二塁打

現役ドラフトで阪神から西武に移籍した陽川尚将内野手(31)が好調だ。3月12日のソフトバンク戦で東浜巨からセンターオーバーの三塁打と左中間二塁打、3月14日の日本ハム戦ではエスコンフィールド北海道の右中間を切り裂く二塁打を放つなどオープン戦13打数5安打、6打点と絶好調。自慢の長打力でアピールを続けている。

15日の日本ハム戦では玉井大翔から3試合連続となるタイムリー左前打。「ここ最近は打席であまり強引に行かない、ということを心掛けています。そのあたりが調子をキープできている要因だと思いますので、今後も継続したいです」と自己分析している。

陽川は金光大阪高時代に巨人の育成3位指名を拒否して東京農業大に進み、2013年ドラフト3位で阪神に入団。2018年に75試合に出場して6本塁打48打点をマークするなどパンチ力への期待は大きかったが、レギュラーをつかむには至らなかった。

阪神では左腕キラーとして知られ、2022年の対右投手は打率.192(26打数5安打)、11三振だったが、対左投手は打率.357(42打数15安打)、9三振だった。左腕対策のカードとして重宝されそうだが、右腕の東浜から長打を2本放ったことはアピールになっただろう。

通算成績は301試合出場で157安打、23本塁打、93打点、打率.227。大卒10年目を迎え、新天地での意気込みは相当なものがあるはずだ。ファーストには山川穂高、サードには中村剛也というタイトルホルダーがいるが、陽川は外野も守れるユーティリティ性をアピールしながら力強い打撃で勝負するしかないだろう。

阪神から西武に移籍して活躍した選手たち

過去を振り返ると、阪神から西武に移籍して活躍した選手は意外に多い。古くは1978年オフに阪神・田淵幸一と古沢憲司、西武・竹田和史、若菜嘉晴、真弓明信、竹之内雅史の2対4の大型トレードが成立。田淵は阪神では果たせなかった優勝を西武で経験した。

1986年オフには吉竹春樹と前田耕司が田尾安志と2対1の交換トレードで移籍。左打ちの巧打者だった吉竹は移籍1年目に初のオールスターゲームに出場するなど活躍し、1996年まで現役を続けた。

平塚克洋は1999年シーズン途中に杉山賢人との交換トレードで西武に移籍。2001年には平尾博嗣が谷中真二との交換トレードで移籍した。地元・大宮東高出身の平尾は2012年まで現役を続けた。

阪神時代に野村克也監督が命名した「F1セブン」の一員だった高波文一も2003年シーズン中に金銭トレードで西武に移籍。在籍3年間で19盗塁を決め、その後は楽天、オリックスとわたり歩いた。

さらに藤田太陽、榎田大樹ら投手で移籍後に活躍した例もある。

課題の得点力アップへのキーマン

一般的にセ・リーグはボール球を振らせる緻密な野球、パ・リーグはストライクゾーンで勝負する豪快な野球と言われる。パワーヒッターの陽川はパ・リーグの方が向いているのではないだろうか。

西武は2022年のチーム打率.229が12球団ワースト、464得点も12球団中10位だった。森友哉がFAでオリックスに移籍したため、さらに得点力は低下する可能性がある。

陽川は本塁打を打つと両手で自分の胸を叩く「ゴリラポーズ」でお馴染み。ベルーナドームでも披露すればするほど自身の人気が上がり、チームの得点力アップにつながるだろう。虎から獅子へ装いを新たにしたプロ10年目のスラッガーが松井西武のキーマンになる。

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