昨季チーム防御率リーグ一も…リリーフ陣に不安
2022年は「投高打低」のシーズンだった西武。昨季のチーム打率はリーグワーストの.229、464得点はリーグ5位だった。シーズン終了後には、長年主軸を張っていた森友哉がオリックスへFA移籍。今季就任した松井稼頭央監督にとっては、厳しい船出となった。
それでも4年ぶりのV奪回へ「走魂」をスローガンに掲げ、走塁面から得点力アップにアプローチするべく、キャンプでも精力的に取り組んでいる。ただ、得点を大幅に改善するのは難しいだろう。攻撃面で不確定要素が多い以上、頼りになるのは昨季リーグ1位の防御率2.75をマークし、リーグ最少の448失点に抑えた投手陣となる。
ただ、その投手陣にも不安がないわけではない。特に心配なのがリリーフ陣だ。昨季まで3年連続で50試合以上に登板し、不動のセットアッパーとしてブルペンを支えていた平良海馬が先発に転向。勝利の方程式に大きな穴が開いてしまった。
昨季、平良とともに最優秀中継ぎのタイトルを獲得した水上由伸や昨季リリーフに転向して好成績を残した本田圭佑ら、一見するとコマは揃っているようだが、まだまだ経験不足な感は否めない。新外国人のティノコらを含め、全員で平良の穴を埋めていく必要があるだろう。
仮に平良の穴を埋められたとしても、さらにもう1つ不安要素がある。試合の最後を締めるクローザーだ。
昨季後半戦、不調だった守護神・増田達至
西武の守護神は近年、増田達至が務めている。増田は2020年オフにFA権を行使して残留し、球団と4年の大型契約を結んだ。昨季も好調リリーフ陣の中でクローザーを務め、52試合に登板して2勝5敗、リーグ2位の31セーブをマークする活躍を見せた。
5月1日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で史上18人目の通算150セーブ、8月10日の日本ハム戦(札幌ドーム)では通算100ホールドを挙げて、史上6人目の通算150セーブ&100ホールドを達成。記録ずくめのシーズンを送った。
だが、後半戦の投球内容は満足のいく出来ではなかった。前半戦終了時までは33試合に登板して失点はわずかに4、防御率1.09とまさに守護神といえる投球だったが、後半戦は19試合で10失点。前半に比べ登板数が減った中で、倍以上の失点を喫していた。
特に多かったのが、被本塁打。前半は1本のみだったが、後半はなんと6本も打たれていた。シーズン最終戦、10月1日のソフトバンク戦(ベルーナドーム)では、1点リードの9回に登板し、柳田悠岐に同点ソロを浴びてしまった。結局、この試合は延長11回に山川穂高のサヨナラ本塁打で劇的勝利を飾ったが、僅差での登板機会が多いクローザーにとって、被本塁打が多いのは致命的だ。
昨年の球種別のデータを見ると、7本中5本がストレートを打たれていた。ストレートとスライダーの2球種が投球の9割以上を占める右腕にとって、ストレートはピッチングの生命線。ストレートの質を良い状態のときに戻せるかが、復活のカギとなるだろう。
プロ11年目を迎えるベテラン右腕は、これまでにNPB歴代14位となる通算175セーブを積み上げてきた。節目の200セーブがすぐそこまで迫っている。シーズン通して守護神を務めることができれば、問題なくクリアできる数字だろう。昨年前半戦の安定感を取り戻して大台に到達した先には、4年ぶりの歓喜が待っているはずだ。
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