日米通算250セーブまで「あと29」
2023年はリーグ3連覇と日本一連覇を狙うオリックス。吉田正尚のメジャー移籍に伴い、打力強化は喫緊の課題だろう。
一方で球界を代表する右腕・山本由伸を筆頭に投手陣はリーグ屈指。山本由伸、宮城大弥、宇田川優希の3人が選ばれているワールドベースボールクラシックによる疲労がシーズンにどう影響するか気になるとはいえ、ケガでもない限り大崩れする可能性は低い。
リリーフ陣も宇田川と山﨑颯一郎の剛腕2人が昨季ブレイク。豪華投手陣の最後を締めくくるのが、3月で39歳になる大ベテランの平野佳寿だ。
鳥羽高から京都産業大を経て2005年ドラフト希望枠で入団。メジャーも経験してオリックスに復帰し、2年が経った。2021年は1勝3敗29セーブ3ホールド、防御率2.30、2022年は3勝2敗28セーブ8ホールド、防御率1.57と安定した成績を残している。
ここまで積み上げてきたセーブは日米通算で221。あと29セーブで名球会入り条件の250セーブに到達するのだ。過去の実績から今季中の達成が大いに期待される。
「伝家の宝刀」フォークは被打率.091
2022年のストレートの平均球速は146.4キロ。投球割合は51.2%と高いが、被打率.212、被本塁打3本と痛打される場面もあった。
一方、平均136.9キロのフォークは被打率.091、被本塁打0とほとんど打たれていない。スライダーやカーブも投げるが、全体の95%以上をストレートとフォークで占めており、やはりフォークが生命線と言えるだろう。
ストライクゾーンを9分割した投球割合データでは、見事に低めにコントロールされていることがよく分かる。
投球割合15%以上を示す赤色は右打者の外角低めと真ん中低め、左打者の外角低め。逆に内角や高めの甘いコースは7%未満を示す青色に染まっている。
しかも右打者の外角低めと真ん中低めは被打率0.00とヒット1本許していない。左打者の外角低めも被打率.143と封じ込んでおり、「伝家の宝刀」フォークで打ち取っていることが証明されている。
宇田川優希や山﨑颯一郎ら後継者候補も
ただ、前述の通り、昨季も痛打される場面やヒヤリとする場面は少なからずあった。逆転優勝を決めた2022年シーズン最終戦は阿部翔太が最後を締めて胴上げ投手となり、日本シリーズでもワゲスパックに胴上げ投手を譲った。
セットアッパーの宇田川優希や山﨑颯一郎もクローザーの適性はあり、平野は結果を出し続けなければ、その座を追われるリスクをはらむ。
とはいえ、指揮官も認める通り、修羅場をくぐり抜けてきた経験が平野にはある。ピンチでも動じないメンタルは経験に裏打ちされるもので、宇田川や山﨑が簡単に真似できるものではない。
29セーブはシーズンを通してクローザーを務めないと届かない、ギリギリの数字だ。いわば、今季中の日米通算250セーブ達成は、平野が絶対守護神として安定した成績を残した証拠であり、ひいてはリーグ3連覇へのバロメーターと言っても過言ではない。ベテランの金字塔なるか注目だ。
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