歴代1位は北別府学で唯一の200勝超え
プロ野球が2リーグに分立した1950年に球団が創設された広島。球団が創立して74年目を迎える2023年は新井貴浩新監督の下、4年連続Bクラスからの巻き返しを図る。
では、これまでの長い球団史の中で、歴代最多の勝利を挙げた投手は誰だろうか。今回は、広島在籍時の通算勝利数ランキングを紹介する。
1位は北別府学の213勝だ。主に1980年代のカープをエースとしてけん引し、78年から88年にかけては11年連続の2ケタ勝利をマーク。82年に20勝、86年には18勝で最多勝を獲得し、沢村賞も受賞した。
打者の内外角へ直球、スライダー、シュートなどを制球良く投げ分ける芸術的なピッチングから「精密機械」とも呼ばれ、92年には球団唯一の200勝も達成。94年限りで現役を引退し、2012年には野球殿堂入りしている。
2位は197勝で長谷川良平。球団創設時に入団した「小さなエース」は1年目からチームトップの15勝を挙げると、6年目の55年には30勝をマークし、最多勝を獲得した。ただ、チームが弱かったため、200勝にはわずかに届かず63年に現役を引退。球団歴代1位の208敗は弱かった時代を支えた勲章と言えるだろう。2000年には野球殿堂入りも果たしている。
日米通算200勝超えの黒田博樹は7位
3位は148勝をマークした大野豊。出雲商高を卒業後、出雲市信用組合で軟式野球を続けていた左腕は1976年のドラフト外で入団。1シーズンでは1987、88年の13勝がキャリアハイだが、78年から98年まで21年連続で勝利を挙げ、98年には史上最年長となる42歳で開幕投手を務めた。抑えとしても活躍した「鉄腕」は、138セーブも記録している。
4位は佐々岡真司前監督で138勝。プロ2年目の91年には17勝、防御率2.44で最多勝と最優秀防御率の2冠を獲得する活躍でリーグ優勝に貢献し、沢村賞、リーグMVPにも選出された。その後チームは低迷期に入るが、エースとして支え続けた。大野と同じくリリーフでも活躍し、106セーブを記録。100勝、100セーブを両方クリアしている。
5位は131勝で外木場義郎と川口和久が並んでいる。出水高から電電九州を経て64年に入団した外木場は、65年のプロ2度目の先発でノーヒットノーランを達成し、プロ初勝利を飾った。その後も完全試合1度を含め計3度のノーヒットノーランを達成。これは2リーグ制以降の投手では唯一の記録となっている。75年に20勝で最多勝を獲得し、球団初優勝に導き、79年限りで現役を引退。2013年に野球殿堂入りしている。
一方の川口は3位の大野と同年代にライバルとして切磋琢磨した左腕。荒れ球だったが、ストレートの威力は抜群で、広島在籍時だけでも通算1938奪三振をマークしており、これは球団歴代でもトップの数字だ。プロ14年目の1994年オフに球団で初めてFA宣言選手となり、巨人へ移籍した。
7位は黒田博樹で124勝。1997年のプロ入りからメジャーへ挑戦する2008年までの11年間で、リーグ最多完投6度で「ミスター完投」とも呼ばれ103勝を挙げた。メジャーで79勝をマークした後、高額年俸のオファーを蹴って15年に広島へ復帰。引退するまでの2年間で21勝を挙げて、日米通算200勝をクリアした。背番号「15」はカープの投手では唯一の永久欠番となっている。
現役では現ツインズの前田健太がトップ
8位は備前(大田垣)喜夫の115勝。尾道西高から1952年に入団し、18歳5カ月で開幕投手を務めて勝利投手になり、プロ野球の開幕戦最年少勝利記録を持っている。53年から57年にかけて5年連続で2ケタ勝利を挙げ、57年には20勝をマークした。62年限りで現役を引退した。
9位は113勝の大石清。清水商高から1959年に入団すると、2年目の60年から5年連続2桁勝利、3年連続で20勝以上をマークし、3位の長谷川に続くエースとして活躍した。だが、その後は右肘を痛めた影響で勝ち星を伸ばすことができず。67年にトレードで阪急へ移籍した。
10位は池谷公二郎の103勝。静岡商高から金指造船、日本楽器を経て1972年ドラフト1位で指名され、73年のシーズン終了後に入団した。2年目の75年に18勝を挙げ、球団の初優勝に貢献。翌76年には20勝で最多勝を獲得し、沢村賞も受賞した。その後もエースとして投手陣を引っ張り、79年には初の日本一にも貢献。3度のリーグ優勝、2度の日本一を経験し、85年限りで現役を引退した。
現役では現在MLBのツインズに所属する前田健太が、渡米前に97勝を挙げトップ。2023年現在、球団に所属している選手では野村祐輔が79勝でトップ、大瀬良大地が75勝で続いている。次にカープで100勝、そしてトップ10にランクインしてくる投手は誰なのか。球団史に残る大投手の台頭を楽しみに待ちたい。
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