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FA選手のランクとは?補償内容がランクで変わる?

2017 8/17 16:20Mimu
会見
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フリーエージェント(FA)とは

フリーエージェント(FA)とは、他球団と自由に交渉することができる権利のことを言う。本来選手は自分が所属している球団としか交渉できないのだが、FA権を取得することで、他球団へと交渉することができるのだ。
2016年もこの制度を利用して5人の選手が移籍した。糸井嘉男選手がオリックスから阪神へ、森福允彦選手がホークスから巨人へ、山口俊選手がDeNAから巨人へ、陽岱鋼選手が日本ハムから巨人へ、そして岸孝之選手が西武から楽天へ。また移籍はしていないものの、同じく西武の栗山選手もFA宣言をしてチームに残留することが発表されている。
しかしニュースなどで彼らの移籍報道を見て、何か気にならないだろうか?選手たちがAランクやBランクと呼ばれ、選手のランクによって人的補償などが発生するというのだ。いったいこのランクとは何なのだろうか?どのようにして決まるのだろうか?

選手のランクはチーム内の年俸順で変わる

このFA選手のランクというのは、移籍前の球団内の"日本人選手"を旧年棒で上位から並べた時、上位3位までをAランク、4位~10位までをBランク、そして11位以下の選手がCランクといった感じで決められている。
例えば2016年にFA移籍した選手の中では岸選手がAランクだが、2016年シーズンの西武ライオンズの年棒を上から順番に並べると

1位 中村剛也 4億1000万
(エルネスト・メヒア 2億5000万)
2位 岸孝之 2億2500万
3位 栗山巧 2億

となっている(金額は推定)。つまり岸選手はチーム内で2番目の年俸なのでAランクと定められている。またこの基準では外国人選手の年棒は考慮されないため、もし栗山選手が移籍していたとしてもAランクの選手として扱われていた。
また同様にBランクの選手として移籍した糸井嘉男選手のオリックス内での年俸ランキングを見てみると、

1位 金子千尋 5億
2位 中島宏之 3億5000万
3位 平野佳寿 3億
4位 糸井嘉男 2億8000万

となっている。2000万の差だが、チーム内4位ということでBランクだ。

ランクによって変化する補償内容

ではこの選手ランクによって何が変わるのかというと、補償だ。FA制度によって選手を獲得した球団は、その選手が以前に在籍していた球団へ補償をしなければならない。そしてその補償内容が変わってくる。
補償には金銭補償と人的補償があるのだが、

■金銭補償の場合
・Aランクの選手
旧年棒の80%の金銭 (2度目以降のFA移籍なら40の金銭)

・Bランクの選手
旧年棒の60&の金銭 (2度目以降のFA移籍なら30%の金銭)

となっている。つまりAランクの岸選手の補償は、旧年俸の2億2500万の80%である1億8000万、この金額が楽天から西部へと支払われることになる。

■人的補償の場合
・Aランクの選手の場合
プロテクト外の選手1名+旧年俸の50%の金銭
(2度目以降のFA移籍ならプロテクト外の選手1名+旧年俸の25%の金銭)

・Bランクの選手の場合
プロテクト外の選手1名+旧年俸の40%倍の金銭
(2度目以降のFA移籍ならプロテクト外の選手1名+旧年俸の20%の金銭)

オリックスから阪神へと移籍した糸井選手だが、もし人的補償が選ばれた場合、オリックスは"プロテクトから外れた選手1名+糸井選手の旧年俸の40%である1億1200万"を阪神から受け取ることができるというわけだ。

プロテクトされていない選手はだれでも獲得可能?

FAの選手を獲得した球団は、人的補償で取られたくない選手を28人までプロテクトすることができ、移籍前の球団はそのプロテクトから外れた選手の中から好きな選手を選んで獲得することができる。しかし、プロテクトに外れている選手であればどんな選手でも獲得できるというわけではない。たとえば、外国人選手はプロテクトから外れていたとしても、獲得できないことになっている。
外国人選手も在籍期間が長ければFA権を取得することができ、さらに登録上は日本人扱い(外国人登録選手の上限である4人に含まれなくなる)になるが、そういった選手もプロテクト外の選手として獲得することは不可能だ。また同様に、直近のドラフトで獲得した新人選手も獲得することはできない。

意外!?プロテクトの落とし穴

だが、意外なことにプロテクトから外れていれば獲得できるのが、直前に他球団から移籍してきた選手だ。実は直前にトレードで獲得した選手でもFAで獲得した選手でも、プロテクトから外れていれば、獲得することができる。
例えば2010年に阪神は楽天から藤井彰人選手を、そしてロッテから小林宏之選手を獲得した。このとき藤井選手の方が先に入団を発表し、そしてその後に小林宏之選手という順番で入団している。
このとき、小林宏之選手は当時Aランクの選手だったため、阪神はプロテクト選手をリストアップしていたのだが、実はこのとき藤井選手もプロテクトから外れていればロッテが獲得できるということが分かり、慌てて藤井選手もプロテクトに入れた。
その結果当初の予定だった28人のうちから1人が漏れてしまうことになり、将来を期待されていた高浜卓志選手がロッテへと移籍することとなったのだ。藤井選手の移籍は11月だったのに対し、小林宏之選手の移籍が1月まで伸びてしまったというのも原因かもしれないが。

選手のランクはいつから決められた?2度の改正があったFA制度

さてここまでFA選手のランクや補償について説明してきたが、このランク分けはいつから使われるようになったのだろうか。93年に始まったFA制度だが、実は今までに2度改正されており、ランクに関するルールができたのもつい最近なのだ。こういった細かい変化も含め、FA制度の歴史を詳しく見ていこう。
まずFA制度が初めて取り入れられたのは93年のことだ。阪神からダイエーへ移籍した松永浩美選手がこの制度で移籍した初の選手である、ということはコアな野球ファンにはおなじみかもしれない。
この時は逆指名制度で入団した選手は1軍での登録日数が累計10年、そしてそれ以外で入団した選手は累計9年に到達すればFA権を獲得できるというルールだった。ただしここで言う1年とは、プロ野球の1シーズン分に当たる145日だ。10年なら1450日、9年なら1305日、累計で1軍に登録されていればFA権を獲得することができた。
また補償についても現在とは違っており、年俸に関係なくすべての選手が補償の対象となっていた。しかも金銭補償と人的補償の両方が前球団に支払われるというのだ。少しまとめると

・金銭補償
旧年俸の80%が前球団に支払われる

・人的補償
プロテクト外の選手1名を獲得できる。しかし前球団が望まない場合は、FA移籍した選手の旧年俸の40%が支払われる

となっているのだが、この両方を受け取ることができるということは、もし人的補償を望まなかった場合、前球団は移籍した選手の旧年俸から”金銭補償の80%+人的補償のお断り分40%=120%“の金銭を受け取ることができるというのだ。 もし人的補償を選んでいた場合でも、旧年俸から金銭補償の80%分+プロテクト外の選手1名が獲得できるということで、FA選手を獲得する球団にとってもかなり大変だったのだ。

選手のランクができ始めたのは08年から

そして2003年に1度目の改正がされる。この改正ではドラフト逆指名で入団した選手でも、それ以外の選手でも、1軍登録日数が累計9年に到達すればFA権を獲得できるようになった。
またこの辺りから人的補償が選ばれることも多くなった。特に07年に新井貴浩選手が広島から阪神へ移籍する際、赤松真人選手が人的補償で選ばれたというのはファンにとっておなじみだろう。
そして最も大きく変わったのは2008年だ。2006年に逆指名制度が廃止されたことから、FAの制度も大幅に変更された。まずFA権が国内FA権と海外FA権に分離、そしてそれに伴い取得までの日数も細かく分けられるようになった。

・国内FA権
2006年までのドラフトで入団した選手…1軍登録日数が累計8年
2007年以降のドラフトで入団した高校生選手…1軍登録日数が累計8年
2007年以降のドラフトで入団した大学・社会人選手…1軍登録日数が累計7年

・海外FA権
全ての選手が一律で、1軍登録日数が累計9年

となった。そしてこの年に初めて年俸による選手のランク分けと、ランクによって補償内容の違いなども組み込まれた。Cランクの選手は補償なしで獲得できるなど、補償が大幅に緩和されたというのも大きな変化だ。これによって球団側の負担が減ったのはもちろん、選手たちもよりFA権を行使しやすくなった。

このように、実は08年から選手がランクで分けられるようになったのだ。それ以前からFA制度はあったし、人的補償として選手が他球団へ移籍するという報道も珍しいものではなかった。しかしある日から急に選手のランクも報じられるようになったので、混乱したという方も多かったかもしれない。よりストーブリーグを楽しむためにも、FAのシステムはしっかり理解しておきたいところだ。

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