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FA選手のランクとは?補償内容がランクで変わる?

2019 10/16 17:00SPAIA編集部
ボール,ⒸShutterstock.com
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フリーエージェント(FA)とは

フリーエージェント(FA)とは、他球団と自由に交渉できる権利を指す。本来選手は自分が所属している球団としか交渉できないが、FA権を取得すれば、他球団と交渉ができるのだ。

2018年はこの制度を利用して4人の選手が移籍した。丸佳浩が広島から巨人へ、浅村栄斗が西武から楽天へ、炭谷銀仁朗が西武から巨人へ、西勇輝がオリックスから阪神へ移った。

彼らの移籍報道を見て、何か気にならないだろうか。選手たちがAランクやBランクと呼ばれ、選手のランクによって人的補償などが発生する。ランクは一体どのようにして決まるのか。

選手のランクはチーム内の年俸順で決まる

FA選手のランク付けでは、移籍前の球団内の旧年俸が日本人選手上位3位までならAランク、4位から10位まではBランク、そして11位以下の選手はCランクと決められている。

2018年シーズン、丸の所属していた広島の年俸ランキングは下記の通りとなっている。

(クリス・ジョンソン 3億4500万円)
1位 丸佳浩 2億1000万円
2位 菊池涼介 1億9000万円
3位 田中広輔 1億4000万円

外国人選手の年俸は考慮されないため、丸はチーム内で1番目、3位以内で、Aランクに該当したとみられる。

また、浅村の所属していた西武の年俸ランキングは下記の通り。

(エルネスト・メヒア 5億円)
1位 中村剛也  2億8000万円
2位 菊池雄星 2億4000万円
3位 秋山翔吾  2億2000万円
4位 浅村栄斗  2億1000万円

3位の秋山に1000万円の差であり、丸と額は同じだが、浅村はチーム内4位なのでBランクだったとみられる。

ランクによって変化する補償内容

では選手ランクによって何が変わるのかというと、補償だ。FA制度によって選手を獲得した球団は、以前の在籍球団へ金銭または人的補償をしなければならない。その補償内容が選手のランクにより異なる。

■金銭補償のみ、人的補償なしの場合
・Aランクの選手
旧年俸の80%の金銭 (2度目以降のFA移籍なら40%の金銭)

・Bランクの選手
旧年俸の60%の金銭 (2度目以降のFA移籍なら30%の金銭)

つまりBランクの浅村の補償として、旧年俸2億1000万円の60%である1億2600万円が楽天から西武へと支払われたことになる。

■金銭補償+人的補償ありの場合
・Aランクの選手
プロテクト外の選手1名+旧年俸の50%の金銭
(2度目以降のFA移籍ならプロテクト外の選手1名+旧年俸の25%の金銭)

・Bランクの選手
プロテクト外の選手1名+旧年俸の40%の金銭
(2度目以降のFA移籍ならプロテクト外の選手1名+旧年俸の20%の金銭)

・Cランクの選手
金銭・人的補償ともになし

丸が広島から巨人へと移籍した際、広島は人的補償としてプロテクトから外れた長野久義+丸の旧年俸の50%である1億500万円を巨人から受け取ったというわけだ。

プロテクトされていない選手はだれでも獲得可能?

FAで選手を獲得した球団は、人的補償で取られたくない選手を28人までプロテクトでき、移籍前の球団はそこから外れた中で好きな選手を獲得できる。

ただし、プロテクト外であればだれでも獲得できるわけではない。例えば、外国人選手、直近のドラフトで獲得した新人選手は獲得できない。

外国人選手も在籍期間が長ければFA権を取得でき、登録上は日本人扱いで外国人登録選手上限の4人に含まれなくなる。そういった選手も獲得は不可能だ。

意外なプロテクトの落とし穴

意外なことにプロテクトから外れていれば獲得できるのが、直前に他球団から移籍してきた選手。直前にトレードやFAで加入した選手でも、プロテクト対象に入っていなければ獲得できてしまうのだ。

例えば、2010年に阪神は楽天から藤井彰人、ロッテから小林宏之を獲得した。このとき藤井の方が先に入団を発表し、その後に小林という順番で入団している。小林の人的補償のため、 阪神はプロテクト選手をリストアップしていたが、実は藤井もプロテクトから外れていればロッテが獲得できるとわかり、慌てて藤井もリストに入れたとされる。

結局、将来を期待されていた高濱卓也がロッテへ移籍することになった。 藤井の移籍は12月だったのに対し、小林の移籍が1月まで延びたため、ツインズに移籍した西岡剛の後継者を探していたロッテが成長著しい若手内野手を指名したようだ。

選手のランクはいつから決められた?2度の改正があったFA制度

1993年に始まったFA制度は、これまでに2度改正されており、ランクに関するルールができたのは10年あまり前だ。こういった変遷も含め、FA制度の歴史を詳しく見ていこう。

FA制度が取り入れられた1993年、阪神からダイエー(現ソフトバンク)へ移籍した松永浩美が移籍第1号であることはコアな野球ファンにはおなじみだろう。

この時は逆指名制度で入団した選手は一軍での登録日数が累計10年、それ以外で入団した選手は累計9年に到達すればFA権を取得できるルールだった。ただし、ここでいう1年とは、プロ野球の1シーズン分に当たる145日だ。10年なら1450日、9年なら1305日、累計で1軍に登録されていればFA権を取得できた。

また、補償についても現在とは違っており、制度導入後10年で人的補償で移籍したのは1995年、巨人に入った河野博文の補償で川邉忠義が日本ハムへ、2001年、巨人に入った前田幸長の補償で平松一宏が中日へ、同年、近鉄に移籍した加藤伸一の補償でユウキがオリックスへ移った3例のみ。金銭補償が高額だった上、「人的補償は非人道的」という考えも根底にあった。

選手のランク付けができ始めたのは2008年から

そして2003年に1度目の改正がなされる。ドラフト逆指名で入団した選手でも、それ以外の選手でも、一軍登録日数が累計9年に到達すればFA権を獲得できるようになった。この頃から人的補償が選ばれることも多くなった。

最も大きく変わったのは2008年だ。2007年の逆指名制度廃止もあり、FA制度は大幅に変更された。まずFA権が国内FA権と海外FA権に分離、取得までの日数も細かく分けられた。

・国内FA権
2006年までのドラフトで入団…一軍登録日数が累計8年
2007年以降のドラフトで入団した高校生…一軍登録日数が累計8年
2007年以降のドラフトで入団した大学・社会人…一軍登録日数が累計7年

・海外FA権
全ての選手が一律で、一軍登録日数が累計9年

この年に初めて年俸による選手のランク分けと、ランクによって補償内容の違いが制度に組み込まれた。Cランクの選手は補償なしで獲得できるなど、補償の大幅な緩和も大きな変化だ。これによって球団側の負担が減ったのはもちろん、選手もよりFA権を行使しやすくなった。

バレンティンも宣言か

さて、2019年オフもFA権を持つ選手の動向に注目が集まる。8月に出場選手登録が8年に達して国内FA権を取得し、来季から日本人選手扱いとなるヤクルト・バレンティンは自身のツイッターで「来年はどのチームでプレーするのを見たい?」とファンに問いかけた。35歳だが、2013年に日本プロ野球史上最多記録の60本塁打を放ったパワーは健在だけに、宣言すれば獲得に乗り出す球団もあるだろう。

他にも3年連続3割20本をマークした西武・秋山翔吾はメジャー挑戦が伝えられており、同じく西武の十亀剣や、ソフトバンク・福田秀平、楽天・美馬学、ロッテ・益田直也、鈴木大地、荻野貴司、広島・野村祐輔らの名前が取り沙汰されている。

一方、 オリックス・T-岡田や広島・会沢翼は残留を表明している。

※金額はいずれも推定

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