二桁投手2人は2017年以来5年ぶり
9月25日、ヤクルトがセ・リーグ2連覇を決めた。試合前に2位以上が決まっていたDeNAは、2位が確定。クライマックスシリーズファーストステージの本拠地開催が決まった。
惜しくも優勝はならなかったが、DeNA躍進の原動力となったのが、今永昇太、大貫晋一の左右の勝ち頭だ。これまでに今永は10勝、大貫は11勝をマーク。DeNAの投手陣で2人以上が二桁勝利を挙げるのは、2017年以来5年ぶりとなる。
2017年といえば、アレックス・ラミレス監督が就任して2年連続で3位に入り、クライマックスシリーズで阪神、広島を下して日本シリーズに進出した年だ。この時は今永の11勝をはじめ、ジョー・ウィーランドと新人の濱口遥大が10勝をマークした。
それ以来の複数投手による二桁勝利を達成した今シーズンは、今永、大貫がまさに左右のエースと言える活躍でチームを牽引してきた。
左右のエースの活躍で大崩れしないローテの完成
今シーズンの今永は20試合で136.2回を投げて防御率2.37、10勝4敗、126奪三振の好成績を残している。春季キャンプ中に左腕の肉離れで離脱。開幕は出遅れたものの、5月に復帰してからは2完封を含む3完投、6月7日の日本ハム戦(札幌ドーム)ではノーヒットノーランも達成した。
一方の大貫は23試合で131.2回を投げて防御率2.80、11勝8敗、117奪三振と、こちらも好成績。開幕から一度も離脱せず、安定感抜群の投球で先発ローテーションを守ってきた。9月こそ負けが込んでしまったが、間違いなくチームを支えた立役者の一人だ。
二人が主に火曜日、金曜日のローテの頭を務めることで、チームは大崩れをすることがなかった。今シーズンのDeNAの連敗は最多で4。大型連敗がなかったことが、昨シーズンまでとの大きな違いの一つでもある。
そんな二人は1993年世代の同級生。今年度で29歳を迎える学年だ。
今永は3度目、大貫は2度目の二桁勝利
今永は北筑高から駒沢大に進み、3年秋には明治神宮大会で優勝。2015年ドラフト1位でプロ入りすると、1年目から先発投手として活躍し、7年間で3度の二桁勝利を含む56勝46敗、防御率3.27の好成績を残している。
大貫は桐陽高から日本体育大、新日鉄住金鹿島での3年間を経て2018年ドラフト3位で入団。やはり1年目から先発投手として活躍し、4年間で2度の二桁勝利を含む33勝26敗、防御率3.48をマーク。大学時代にはトミー・ジョン手術を受け、プロ野球選手には珍しく就職活動も経験したという苦労人だ。
現在のDeNAで複数回の二桁勝利を達成しているのは今永、大貫だけ。大貫は2009年に7回目の二桁勝利を達成した三浦大輔現監督以来の右腕となった。
さらに言うと、1年目から4年連続で6勝以上を挙げているのは、斉藤明夫、川村丈夫に続く球団史上3人目。圧倒的な成績でタイトル獲得とはいかないものの、安定してチームの力になり続けているのが大貫という投手なのだ。
大貫、今永で敗れたヤクルトとの大一番
9月23日、DeNAは6ゲーム差で首位ヤクルトとの直接対決3連戦に臨んだ。ヤクルトの優勝マジックは4で、2勝以上しなければ優勝が決まってしまう大一番。DeNAはこの3連戦に今永、大貫を当てる勝負に出た。
初戦は先発の濵口が8回4安打1失点の好投。打線も5本塁打で8得点を奪い、勝利を収めた。しかし2戦目、大貫が3回途中5安打4失点と精彩を欠き、チームも大敗した。
後がない状況で迎えた3戦目は、今永が先発。昨シーズンもヤクルトの優勝がかかった試合で先発したが、3回5失点でKOされた。しかし今回は7回123球を投げて3安打無失点、11奪三振の快投を披露。6回には村上宗隆をストレートで空振り三振に打ち取り、続く7回も二死満塁のピンチを抑え、リリーフへとバトンを渡した。まさにエースと呼ぶに相応しい投球だった。
試合には惜しくも敗れ、2年連続で目の前での胴上げを許した。しかし、昨シーズンと今シーズンとでは意味合いが全く違う。最下位だった昨シーズンは蚊帳の外だった優勝争いに、今シーズンは当事者として最後の最後まで臨んでいたのだ。
レギュラーシーズンも残りわずか。おそらく2人ともあと1試合ずつ登板があるだろう。今永にとっては3年ぶりの規定投球回到達(あと6.1回)がかかる登板となる。そして、10月8日からはクライマックスシリーズに臨む。勝ち抜いて再度ヤクルトへの挑戦権を得るには、左右のエースの活躍が必要不可欠だ。
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