安打数トップは広島の「打てる捕手」坂倉将吾
昨シーズン、今シーズンとプロ野球界を盛り上げているのが、1998年生まれの選手たちだ。投手ならオリックスの山本由伸や、楽天の早川隆久らがその筆頭格となる。野手なら阪神の佐藤輝明や、DeNAの牧秀悟の名がすぐに上がるだろう。
今年度で24歳を迎える98年世代。今回は高卒入団(2016年ドラフト)なら6年目、大卒入団(2020年ドラフト)なら2年目を迎えた野手たちの、安打数ランキングを見て行こう。
トップ10は以下の通り(6月30日終了時点)。
トップを走るのは、広島の「打てる捕手」坂倉将吾だ。6年間で通算301安打、打率.303、23本塁打、142打点の堂々たる成績をマークしている。
日大三高から入団した坂倉は、ドラフト4位入団ながら1年目からファームのレギュラーを獲得し、ファーム日本選手権優勝に貢献。9月には一軍に昇格し、球団の高卒1年目捕手としては1965年の衣笠祥雄氏以来の安打を記録した。
一軍には會澤翼や石原慶幸といった先輩がいたため捕手としての出場は限られていたが、持ち味の打撃でアピール。一塁手や外野手としても出場しながら徐々に出番を増やし、5年目の昨シーズンには自身初の規定打席に到達。チームメイトの鈴木誠也(現シカゴ・カブス)と首位打者を争うまでに成長を遂げた。
今シーズンは三塁にも挑戦しながら出場機会を確保。全76試合に出場して打率.317とリーグ上位をキープするなど、世代を代表するバットマンとなった。
2位、3位は4番を務める左右の大卒スラッガー
2位、3位は大卒の選手が名を連ねた。2位の牧秀悟は中央大からドラフト2位で、3位の佐藤輝明は近畿大からドラフト1位で入団し、ともに2年目にしてチームの4番を任される左右のスラッガーだ。
牧はここまで201試合に出場して220安打、打率.304、38本塁打、122打点。佐藤輝は203試合で183安打、打率.253、38本塁打、112打点を記録。4年早く入団していた同期たちをごぼう抜きにし、2年目にして多くの項目で上位に食い込んできた。
「侍ジャパン」大学日本代表時代からの仲で、昨シーズンの東京五輪による中断期間中にはインスタライブで共演を果たすなど、公私で仲の良さを見せる2人。新人王こそ2歳上の栗林良吏(広島)に譲ったものの、これから先、数多くのライバル対決を見せてくれるに違いない。
4位にはソフトバンクの三森大貴がランクインした。青森山田高から坂倉と同じドラフト4位でプロ入りすると、層の厚いソフトバンクで着実に実力をつけ、昨シーズンブレイクを果たした左の好打者。198試合で164安打、打率.247、6本塁打、47打点のほとんどはこの2年で残したもの。まさに伸び盛りの選手だ。
育成から盗塁王やデビューから2試合連発のスラッガーなど個性豊かな面々
現時点でレギュラー格と呼べるのはこの4人だが、彼ら以外にも個性豊かな選手が揃う。
ロッテの和田康士朗は、安打数こそ21安打で10位となっているが、55盗塁は断トツ。昨シーズンには代走メインの出場で盗塁王まで手にしているのだ。高校時代には野球部ではなくクラブチームでプレーし、BC・富山から2017年育成ドラフト1位でプロ入りした経緯を考えると、とんでもない成長曲線を描いている。
和田の他にも俊足を武器とする選手がいる。駒沢大からドラフト4位で西武に入団した若林楽人と、中央大からドラフト2位で日本ハムに入団した五十幡亮汰だ。
ともにプロ入り後は故障に苦しみ出場数は少ないが、若林は57試合で51安打(7位)、打率.271、2本塁打、12打点、22盗塁。五十幡は27試合で18安打(13位)、打率.225、1本塁打、5打点、9盗塁と実力の片鱗を見せている。
明秀日立高からドラフト5位でプロ入りしたDeNAの細川成也は、外国人顔負けのパワーが魅力の右打者だ。1年目の10月に記録したプロ初打席本塁打からの2試合連続本塁打は、高卒新人史上初の記録。しかし113試合で40安打(8位)、打率.207、5本塁打、18打点と伸び悩んでおり、ここからの奮起に期待がかかる。
既に個性豊かな面々が揃う98年世代の選手たちだが、今秋ドラフトでは大卒社会人の選手たちが即戦力候補としてプロの扉を叩くことになる。今回紹介した顔ぶれが、来年、再来年にはどうなっているのか。そのときにまた答え合わせをしてみたい。
※成績は全て6月30日終了時点
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