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ドラフト下位指名から逆襲した選手たち、ソフトバンク育成枠は原石の宝庫

2022 5/23 06:00SPAIA編集部
ソフトバンクの尾形崇斗と大関友久,ⒸSPAIA
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昨秋ドラフトでは育成で14人指名

今や球界を代表する投手の一人となったソフトバンクの千賀滉大が育成出身であることはよく知られている。ほかにも甲斐拓也や石川柊太、周東佑京らチームの主力となった育成出身選手は多い。

近年は最新の設備が揃う筑後の三軍施設でダイヤの原石を磨き上げる方針のため、ドラフト本指名は人数を抑え、育成ドラフトで多数指名する傾向にある。ドラフトが高校生と大学生・社会人の分離開催から現在の一括開催に変更された2008年以降の14年間で、本指名で6人以上獲得したのは4回しかないが、逆に育成で6人以上の指名は8回もある。昨秋のドラフトでは本指名で5人にとどめ、育成で14人の大量指名だった。

未来のスター候補を文字通り育成するスタイルで強固な戦力基盤をつくり上げてきたソフトバンクに限っては「下位指名」という表現は的確ではないかも知れないがご容赦いただきたい。2008年以降の育成枠から出世を遂げた主な選手を紹介する。

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ソフトバンクの主なドラフト下位指名選手

千賀滉大は2010年育成4位、甲斐拓也は同6位

現在は阪神で活躍する二保旭は、2008年育成ドラフト2位で九州国際大付高からソフトバンクに入団した。多彩な変化球で打たせて取る投球で2015年には44試合に登板し、6勝5ホールドをマーク。昨年7月に中谷将大との交換トレードで阪神に移籍した。ちなみに同年1位は近畿大の巽真悟だった。

2010年は育成ドラフトが「当たり年」だった。育成4位で蒲郡高・千賀滉大、同5位で城北高・牧原大成、同6位で楊志館高・甲斐拓也を指名。中でも千賀と甲斐は高年俸を稼ぐ、球界を代表する選手に成長した。同年1位は習志野高の山下斐紹(現中日)、2位が広島経済大の柳田悠岐だった。

2013年育成1位で創価大から入団したのが石川柊太。パワーカーブを武器に2020年に最多勝と最高勝率に輝いた。同年1位はJR九州の加治屋蓮(現阪神)、2位が三菱自動車倉敷オーシャンズの森唯斗だった。

現在はヤクルトに所属する長谷川宙輝は、2016年育成2位で聖徳学園高からソフトバンク入りした。キレのいいストレートを武器に、ヤクルト移籍後の2020年にプロ初勝利を挙げるなど44試合に登板。昨年9月に胸郭出口症候群の手術を受けている。同年1位は5球団競合した創価大の田中正義だった。

2017年は育成ドラフト大当たり

早稲田実の清宮幸太郎(現日本ハム)が目玉だった2017年も育成ドラフトが大当たりだった。

育成1位で学法石川高の尾形崇斗、同2位で東農大北海道オホーツクの周東佑京、同3位で沖縄尚学高の砂川リチャード(現リチャード)、同4位で早稲田大の大竹耕太郎、同6位でBC新潟の渡邉雄大を指名。周東とリチャードはすでに一軍で活躍しており、尾形も4月5日のオリックス戦でプロ初勝利を挙げると、昨オフに戦力外となった渡邉は阪神に移籍した今年4月30日の巨人戦でプロ初勝利を挙げた。

今季急成長を見せている左腕・大関友久も育成出身だ。2019年育成2位で仙台大から入団。今年3月31日のロッテ戦でプロ初勝利を挙げると、4月23日の日本ハム戦、5月7日のロッテ戦と先発で3勝を挙げている。同年1位はJR西日本の佐藤直樹だった。

今後も筑後で鍛え上げられた選手がどんどん一軍に上がってくるだろう。次なる育成出身スターの出現が楽しみだ。

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