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中日・柳裕也に期待される「個人貯金」球団の歴代最多勝投手は?

2022 1/30 11:00SPAIA編集部
中日の柳裕也,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

チーム防御率は12球団トップの中日

立浪和義監督が就任して巻き返しを期す中日。落合博満監督のラストイヤーだった2011年を最後に優勝から遠ざかっており、2012年以降の10年間でAクラスは2012年(2位)と2020年(3位)の2回だけと、近年は低迷している。昨季も55勝71敗17分け、勝率.436で5位に終わり、与田剛監督は退任した。

とはいえ、明るい材料がないわけではない。昨季のチーム防御率3.23は12球団トップ。478失点も12球団最少だ。先発投手のQS(6回以上自責点3以下)は75回で広島、阪神に次いでリーグ3位だったことから、先発だけでなく、中継ぎ、リリーフ陣も含めてトータルで失点を防いでいたことが分かる。

昨季33ホールドの又吉克樹がFAでソフトバンクに移籍したが、人的補償として昨季48試合登板の岩崎翔を獲得。大幅な戦力ダウンは免れた。投手陣はリーグトップクラスであることは間違いない。

最優秀防御率と最多奪三振の二冠に輝いた柳裕也

昨年は柳裕也が防御率2.20、168奪三振で二冠。明治大から2016年ドラフト1位で入団した本格派右腕がようやく自身初タイトルを獲得した。

柳の奪三振率の高さは球界でも屈指だ。昨季は172投球回で168奪三振。1試合9イニングで奪う三振数を示すK/9(奪三振率)は8.79で、規定投球回をクリアした投手の中ではリーグトップ、12球団を見渡してもオリックス・山本由伸、楽天・則本昂大に次ぐ3位となっている。

ストレートは平均142.3キロと平均的だが、抜群のコントロールと多彩な変化球でバットの芯を外す。球種別に見ると、ストレートの被打率は.286だが、スライダーは.132、チェンジアップは.171と抜群の数字を残している。右打者にはカットボールを多投、左打者にはチェンジアップを有効に使うなど、工夫しながら抑えている。

ストライクゾーンを9分割したコース別成績では、右打者、左打者を問わず外角低めが生命線。右打者に対しては40%がアウトローで被打率.176、49奪三振をマークしており、左打者に対しても全体の22.1%を占め、被打率は.110、28奪三振と文句のない成績だ。コースを丁寧につく投球こそが、大ケガせず安定した成績を残せることを実証している。

柳裕也のゾーン別データ

2リーグ分立以降13人が最多勝に輝いた中日

昨季は11勝6敗で5つの貯金を作った柳。今季は大野雄大と左右の両輪として、チームを最低でもAクラスに浮上させたい。そのためには個人で貯金をいくつ作れるかも重要だろう。

少なくとも7~8個、あわよくば10個以上の貯金を作ることができれば、チーム成績はもちろん、最多勝のタイトルも見えてくる。中日では1950年の2リーグ分立以降、13人が最多勝に輝いている。

山井大介 2014年 13勝5敗
吉見一起 2009年 16勝7敗、2011年 18勝3敗
川上憲伸 2004年 17勝7敗、2006年 17勝7敗
バンチ 2000年 14勝8敗
山本昌 1993年 17勝5敗、1994年 19勝8敗、1997年 18勝7敗
今中慎二 1993年 17勝7敗
西本聖 1989年 20勝6敗
小野和幸 1988年 18勝4敗
小松辰雄 1985年 17勝8敗、1987年 17勝6敗
松本幸行 1974年 20勝9敗
小川健太郎 1967年 29勝12敗
権藤博 1961年 35勝19敗、1962年 30勝17敗
杉下茂 1951年 28勝13敗、1954年 32勝12敗

「フォークボールの神様」と呼ばれた杉下茂。「権藤、権藤、雨、権藤」と流行語にまでなった権藤博。「スピードガンの申し子」小松辰雄。巨人から移籍1年目に20勝を挙げた西本聖。同時にタイトル獲得した今中慎二と山本昌。日米通算117勝を挙げた川上憲伸。2度の最多勝に輝いた吉見一起。「完全試合リレー」やノーヒットノーランも達成した山井大介。

いずれも球史に名を残した、そうそうたる面々だ。そして当然と言えば当然だが、どの投手もタイトルを獲得した年は一人で10前後の貯金を作っている。柳が真のエースとして、さらに飛躍するためにはチームの勝敗を背負えるほどの成績が期待される。

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