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広島のドラフト補強ポイント 即戦力投手か”ポスト鈴木誠也”か

2021 10/10 06:00林龍也
広島東洋カープ監督の佐々岡真司,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

投手では大卒・社会人の即戦力左腕が優先か

10月11日に開催される2021年プロ野球ドラフト会議。今年も多くの注目選手たちが運命の日を待つが、当然ながら各球団によって指名するべき選手は異なってくる。

本稿では、現時点で広島に在籍する選手のポジション・左右・年齢から分布図を作成し、補強ポイントを考察、合致するドラフト候補を考えていきたい。

先発投手,ⒸSPAIA


先発を見ていくと、右腕では大瀬良大地、九里亜蓮を中心に、森下暢仁、大道温貴ら若手が戦力となっている。しかし大瀬良、九里はFAの可能性もあり、20代後半の岡田、矢崎らは苦しんている。即戦力の先発や、次世代のエース候補の優先度は高いと言える。

左腕では床田寛樹、高橋昂也、玉村昇悟が活躍を見せているが、層が薄く、ここにもう1枚入ってくれば心強い。即戦力の大卒や社会人の左腕が獲れればチーム力アップに繋がりそうだ。

リリーフ投手,ⒸSPAIA


リリーフ陣では昨秋ドラフトで指名した栗林良吏、森浦大輔に、シーズン序盤は大道がフル回転。ケムナ誠、島内颯太郎、塹江敦哉らも力を発揮している。しかしフル回転したリリーフ陣全員が来シーズンも計算できるとは限らない。即戦力を1人、できれば左腕を指名したいところだ。

捕手の布陣は充実 指名するなら打力のある高卒を

捕手,ⒸSPAIA


捕手の充実ぶりは他球団も羨ましいことだろう。正捕手の會澤翼を中心に、規定打席に到達してからも打率3割をキープしている坂倉将吾や、石原貴規、中村奨成も頭角を現してきた。全員が一発を放つ打力を有しており、来シーズンはさらに充実しそうだ。

今秋ドラフトでは即戦力捕手の優先度は高くない。指名するなら高卒で打撃型の捕手を獲得し、じっくりファームで育成していきたい。

世代交代真っ只中の内野は菊池涼介の後継者が課題

内野手,ⒸSPAIA


内野手は世代交代真っ只中。三連覇を支えた田中広輔、安部友裕らは出場機会を減らし、上本崇司、堂林翔太らも30歳を迎えた。

二塁では菊池涼介がまだまだレギュラーとして力を発揮しているが、三塁では林晃汰、遊撃では小園海斗が定位置を奪いつつある。一塁では坂倉がチームで最多出場し、その打棒を遺憾なく発揮している。若手が台頭してきている今こそ、競争を激化させる選手を獲得したいところだ。

年齢分布を見ると、20代中盤までは左打ちが多く、右打ちは中神拓都のみ。今秋ドラフトでは二遊間を守れる右打者を獲得できれば、内野の層が厚くなりそうだ。

ポスト鈴木誠也の獲得なるか

外野手,ⒸSPAIA


鈴木誠也、西川龍馬が守る両翼は盤石。しかし2人に次ぐレギュラーがおらず、中堅も固定できていない。出場数では野間峻祥が2人に続くが、レギュラー獲得には至らず。ベテランの長野久義や、羽月隆太郎らが奮闘を見せている。

また、鈴木誠がメジャーリーグに挑戦する可能性もあるため、それまでに次世代のレギュラー候補、そして大砲候補を獲得しておきたいところだ。

1位候補は大砲候補か即戦力投手か

これらのことから、補強ポイントとして以下3点を挙げたい。

1.ポスト鈴木誠也
チームの主砲は今年で27歳。まさに全盛期を迎えつつあるが、その間に後継者を育てるためにも、優先度は高い。

今年は大卒外野手に大砲候補が多い。正木智也(慶應義塾大)は慶應高時代に50本塁打、大学でも10本塁打を放った世代屈指のスラッガーだ。鵜飼航丞(駒澤大)も中京大中京高時代から注目された存在。今年に入って注目度が上昇しているブライト健太(上武大)なら、中堅の候補としても考えられる。

高卒ならば吉野創士(昌平)や有薗直輝(千葉学芸)の評価が高い。キャプテンシーも抜群な池田陵真(大阪桐蔭)や、将来性豊かな前田銀治(三島南)らを中位以降で指名できれば、将来を見据えた補強になるだろう。

2.次世代のエース候補
近年の広島は大卒や社会人の右腕を一本釣りし、戦力化することに成功している。しかし今秋ドラフトでは大卒・社会人の左腕、もしくは高卒右腕を指名できるとバランスの取れた布陣となりそうだ。

大卒左腕であれば、佐藤隼輔(筑波大)、隅田知一郎(西日本工業大)といった目玉投手の他にも、鈴木勇斗(創価大)や黒原拓未(関西学院大)のように力のある投手が2位以降でも指名できそうだ。社会人なら山田龍聖(JR東日本)や森翔平(三菱重工West)が即戦力として期待できる。高卒でも木村大成(北海)、羽田慎之介(八王子学園八王子)のような大型左腕もおり、獲得できれば楽しみな存在だ。

中位以降で高卒右腕を指名するなら、花田侑樹(広島新庄)や滝口琉偉(日大山形)らが獲れれば面白い。

3.二遊間を守れる右打者
年齢分布を見る限り、一番層が薄いのが右打ちの内野手だ。若手の外野手も必要だが、プロ入り後の転向も見据えて二遊間や三塁を守れる選手を獲得したい。

ポスト鈴木誠也の項目でも挙げた有薗であれば、右の長距離砲不足の問題も解決できる。右打ちの遊撃手なら、木村翔大(東洋大)や高卒の選手を中位以降で指名できれば、内野の底上げに繋がるだろう。

2016年からは三連覇を果たしたが、2019年以降はBクラスに低迷する広島。昨秋は即戦力ドラフトに舵を切り、投手の補強では一定の成果をあげている。若手の野手も台頭し、復活の兆しは見えてきた。今秋ドラフトにはどのような戦略で臨むのか。チームの決断に注目したい。

※表の年齢は2021年の満年齢
※育成選手、引退及び戦力外が発表された選手は含まず(10月8日時点)

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