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西武のドラフト補強ポイント、先発左腕の獲得必至 強打の外野手を上位指名も

2021 10/9 11:00SPAIA編集部
埼玉西武ライオンズ監督の辻発彦,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

5位低迷の西武、投手陣再建は急務

現在5位に低迷する西武は、リーグ優勝の可能性が消滅し、辻政権5年目で初のBクラス確定も秒読み段階に。チームは指揮官の交代を含め、再建に向けて動き出しているとも報じられている。

そんな中、今月11日に迫ったプロ野球ドラフト会議は、チームを立て直すうえで重要度が高い。8日には、西日本工大の左腕・隅田知一郎(ちひろ)投手の1位指名を12球団最速で公表。チーム防御率が4年連続リーグワーストという状況の中、即戦力左腕に白羽の矢を立てた。

常勝軍団復活へドラフトでどこを補強するべきなのか。現時点で西武に在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含め補強ポイントを考えていく。

先発投手,ⒸSPAIA


まずは、先発投手。エースの髙橋光成をはじめ、今井達也、松本航のドラ1右腕トリオが躍進。好不調の波はあったものの、このまま順調にいけば3人とも規定投球回に到達する見込みで、不安定な先発陣を支えた。さらに、高卒3年目の渡邉勇太朗が後半戦3勝を挙げるなど、来年以降に期待を持たせる投球を見せている。

その一方、左腕不足は深刻。先発登板は浜屋将太とダーモディの6試合が最多で、全体でも16試合のみにとどまっている。のどから手が出るほど先発左腕がほしい状況の中、即戦力度の高い隅田の1位指名は当然の選択だろう。

リリーフ投手,ⒸSPAIA


リリーフ陣は、昨年勝利の方程式を担った森脇亮介と増田達至が不調の中、平良海馬が新守護神に定着。育成5位ルーキーの水上由伸やプロ5年目で初勝利を飾った田村伊知郎など若手の台頭もあり、戦力低下は最小限にとどめた。

ただ、こちらも先発同様、左腕不足に苦しんでいる。トレードで公文克彦を獲得したものの、25歳以下には一人もいない状況。即戦力となる左腕をもう1枚加えたいところだ。

1位指名を公表した隅田は実戦派のサウスポーで、カットボールとチェンジアップは今すぐプロで通用するキレを持つ。最速150キロのストレートを含め、総合力では今年のNo.1左腕と言っていい。

仮に競合となりクジを外したとしても、外れ1位では同じく即戦力左腕を指名したい。今年は大学生・社会人左腕に実力派が多く、長年の課題を解消するには絶好機。山田龍聖(JR東日本)、黒原拓未(関学大)、鈴木勇斗(創価大)ら多彩な面々の中から選択できるだろう。 また、2位指名でも即戦力サウスポーが残っている可能性が高いため、上位で2人獲得し、一気に層の薄さを解消することも考えたい。

捕手陣は充実も…ポスト森の獲得必須

捕手,ⒸSPAIA


捕手に関しては26歳の森友哉が全盛期を迎えており、攻守の要として獅子奮迅の活躍を見せている。加えて、ベンチにはベテラン岡田雅利と2年目の柘植世那が控える万全な陣容だ。ただ、20歳前後には牧野翔矢ただ一人とやや心細い状況のため、将来に備えて高校生捕手を一人確保しておきたい。

また、岡田が今季国内FA権を取得し、正捕手の森も順調にいけば来季取得する見込みであるのは不安要素。万一に備えて、大学生・社会人から指名する可能性も考慮に入れたい。

指名候補としては、高校生なら高校通算43本塁打を誇る強打の捕手・松川虎生(市和歌山高)、186センチの大型捕手・髙木翔斗(県岐阜商高)。即戦力性を重視するなら、強肩強打の古賀悠斗(中央大)を上位で指名するのもありだろう。

スタメン固定できない外野手の上位指名も

内野手,ⒸSPAIA


内野手は、来年39歳を迎える中村剛也の後継者となる三塁手が不足していたが、昨年のドラフトで渡部健人とブランドンの大卒2人に加え、高校生の山村崇嘉を指名。また、呉念庭の台頭、シーズン途中に平沼翔太の獲得で、内野全体の陣容に厚みが出た。

急いで補強する必要性は感じないが、レギュラーを張る一塁・山川穂高、二塁・外崎修汰、遊撃・源田壮亮が同時期に台頭してきたため、数年後、立て続けにFA権取得となる可能性が高い。特に二遊間がやや手薄なため、中位~下位で藤野恵音(戸畑高)ら有望な高校生内野手が残っていれば指名しておきたい。

外野手,ⒸSPAIA


外野手は19年オフに秋山翔吾がMLBに移籍して以降、人材不足に悩まされている。昨年のドラフトで獲得した若林楽人がシーズン序盤に活躍するもケガで離脱。長年主力を張った栗山巧は衰えを隠せず、愛斗や岸潤一郎ら若手の台頭はあったもののレギュラー獲得には至っていない。

20代前半に期待の若手は豊富にいるが、決め手に欠ける。奮起を促すために、上位で外野手を指名する可能性も否定できない。

上位なら1位候補にも挙がる正木智也(慶応大)、ブライト健太(上武大)ら、既存戦力との差別化も図れる右の長距離砲を指名したい。22歳以下に右の外野手がいないことから、吉野創士(昌平高)、前田銀治(三島南高)ら身体能力の高い高校生を狙うのもありだろう。

チーム再建に向けて、ドラフト巧者の西武が今年どのような選手を指名するのか注目だ。

※表の年齢は2021年の満年齢
※育成選手、引退及び戦力外が発表された選手は含まず(10月8日時点)

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