12勝、防御率1.61、145奪三振の山本由伸
オリックス・山本由伸が3日のソフトバンク戦で8回3安打1失点と好投し、両リーグ単独トップの12勝目を挙げた。
これで勝利数だけでなく、防御率1.61、奪三振も145に伸ばして現在リーグ3冠。勝率だけは11勝1敗のチームメート・宮城大弥が.917でリーグトップ、12勝5敗の山本は.706で2位となっている。
今後、優勝争いとともに注目度が高まっていくタイトル争い。山本は2019年に最優秀防御率、2020年に最多奪三振のタイトルを獲得しているが、今年は3冠のチャンス。場合によっては4冠の可能性もある。
東京五輪による中断があったため10月下旬まで日程が組まれている今季、山本は今後も先発ローテーションを守れば、あと6回から7回の登板が見込まれる。20勝には届きそうにないものの、自身初の最多勝も含め、タイトル独占の期待も膨らむ。
パ・リーグ投手4冠はわずか過去5人
昨季はソフトバンク・千賀滉大が最多勝(11勝)、最優秀防御率(2.16)、最多奪三振(149個)の3冠を達成。ただ、勝率は同僚・石川柊太が.786で1位だった。
先発投手のタイトル独占となる4冠は、パ・リーグで過去5人しか達成していない偉業だ。
2006年のソフトバンク・斉藤和巳は18勝、防御率1.75、205奪三振、勝率.783と文句のない成績で沢村賞にも輝いた。
1990年には近鉄のルーキー・野茂英雄が18勝、防御率2.91、287奪三振、勝率.692で「トルネード旋風」を巻き起こした。
1980年の日本ハム・木田勇もルーキーだった。22勝、防御率2.28、225奪三振、勝率.733をマーク。新人では初のMVPに輝いた。
1961年に「神様仏様稲尾様」と呼ばれた西鉄・稲尾和久(42勝、防御率1.69、353奪三振、勝率.750)、1959年には立教大時代に長嶋茂雄のチームメートだった南海のサブマリン・杉浦忠(38勝、防御率1.40、336奪三振、勝率.905)が4冠に輝いている。
セ・リーグでは上原浩治、江川卓、杉下茂の3人のみ
セ・リーグではわずか3人しか達成していない。
巨人・上原浩治は1999年のルーキーイヤーに20勝、防御率2.09、179奪三振、勝率.833で沢村賞。東海大仰星高時代は控え投手で、一浪して大阪体育大に進学した自身の経歴から口にした「雑草魂」が流行語になった。
1981年には3年目の巨人・江川卓が4冠に輝いた。20勝、防御率2.29、221奪三振、勝率.769をマーク。MVPに輝き、リーグ優勝、日本一に大きく貢献した。
1954年には「フォークボールの神様」と呼ばれた中日・杉下茂が32勝、防御率1.39、273奪三振、勝率.727で4冠に輝いている。
山本が4冠達成なら斉藤和巳以来15年ぶり
1リーグ時代には1937年春に巨人・沢村栄治が24勝、防御率0.81、196奪三振、勝率.857で4冠達成。ヴィクトル・スタルヒン(巨人)は1938年秋に19勝、防御率1.05、146奪三振、勝率.905をマーク。藤本英雄(巨人)は1943年に34勝、防御率0.73、253奪三振、勝率.756と、計3人が4冠を達成している。長いプロ野球の歴史でも11人しか成し遂げていないのだ。
ちなみに投手3冠は最近では昨年の千賀のほか、2018年に巨人・菅野智之(15勝、防御率2.14、200奪三振)、2010年に当時広島の前田健太(15勝、防御率2.21、174奪三振)が達成している。山本には3冠はもちろん、斉藤和巳以来15年ぶり、史上12人目の4冠が期待される。
【関連記事】
・パ・リーグ被本塁打率ランキング、山本由伸に続く日本ハム3人衆
・オリックスの歴代新人王一覧、19歳・宮城大弥は40キロ緩急で10人目狙う
・日本ハム斎藤佑樹、スター番号「1」を背負う右腕をもう一度1軍で見られるか?