一軍初登板は5回4失点
ロッテ2年目の佐々木朗希が5月16日の西武戦で一軍初登板を果たした。5回107球を投げ、被安打6、奪三振5、4失点と結果としては満足のいくものではなかった。しかし内容的には大きく荒れることなく、予想以上にまとまっていた印象だ。西武の4番・山川穂高から奪った2三振や、フォークでの奪三振が目立つなど次に活かせる材料を得た。
課題を挙げるとすれば、簡単に盗塁を許してしまったことだ。5イニングで5つの盗塁を許し、得点圏にランナーを置く場面が多かった。
とはいえ、1軍初登板にもかかわらず堂々とした投球ぶりはさすがである。将来的にはエンゼルスの大谷翔平を超えるようなポテンシャルを持っているため、今後も注目していきたい投手だ。
理想のフォームに柔らかい肩甲骨と股関節
佐々木の最大の武器と言えば、最速163km/hを誇るストレートである。日本最速の165km/hを記録した大谷と佐々木には、大まかに言って共通点が4つ存在する。
まず体重移動が捕手方向へ一直線にできている点だ。2人とも投球モーションに入ってから左足着地までまっすぐ体重移動ができているため、ボールに効率よく体重を乗せられている。
2つめはグラブで上半身の開きを抑えられている点。大谷と佐々木は左足を上げてから着地するまで、左手のグラブで壁を作りながら体重移動ができている。次に左足着地から投球へ移っていくが、前に出したグラブを胸に抱え込みながら投球へ入るため、上半身の開きを抑えられている。最後まで力を分散させずに投球をすることで、160km/h以上の球速を生み出しているのだ。
3つめはボールを投げる瞬間に左膝を伸ばしている点。左膝を伸ばすことで腕の振りを加速させ、最後まで力強く腕を振ることができる。大谷と佐々木は左膝をうまく使えている部分もあり、他の投手より腕の振りが速い。160km/h超えの投手のほとんどは腕が体に巻き付くほど腕が振れているため、球速を出すには左膝も重要な要素と言えよう。
4つめは肩回りと股関節が非常に柔らかい点。大谷と佐々木は肩甲骨の可動域を最大限使うことができている。股関節も非常に柔らかく、広いステップ幅で最大限の並進運動が可能となり、よりボールに体重をかけて投げることができるのだ。ヤンキースの世界最速左腕アロルディス・チャップマンも肩甲骨や股関節が非常に柔らかく、右足のステップ幅がかなり広い。160km/h超えのストレートを投げるには、肩甲骨や股関節の柔軟性も必要不可欠である。
一軍再昇格を目指して
佐々木のポテンシャルは大谷を超える可能性を秘めている。
昨年は公式戦で登板する機会はなかったが、1年間、一軍に帯同してじっくり肉体を強化。今年はファームで5試合に先発し、防御率0.45、奪三振19と結果を残して一軍デビューを果たした。
現在一軍登録は抹消されているものの、次回登板はそう遠くないだろう。一軍初登板で見えた課題を克服し、今度こそ初勝利を挙げる好投が期待される。
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