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昨季覚醒の兆しを見せた西武・髙橋光成 新投球スタイルで真のエースへ

2021 3/10 11:00浜田哲男
西武の高橋光成ⒸYoshihiroKOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

今季プロ入り初の開幕投手に

今季、西武の開幕投手に指名された髙橋光成。昨季は調子が上がらない時期もありながら、チームトップの8勝(8敗)をマーク。防御率は2019年の4.51から3.74へ改善された。

チームがリーグ優勝を果たした2019年は、プロ入り初の二桁勝利(10勝6敗)をマーク。150km台中盤の力のある直球と高速フォークを軸とした投球スタイルで、若返りをはかる投手陣の中でひときわ存在感を示した。今季プロ入り初の開幕投手を任されたことを機にさらなる飛躍が期待される。

対左打者の被打率が劇的に改善

髙橋の最大の武器は、平均球速141.2kmの高速フォークだ。投球割合も多く、直球(42.1%)に次ぐ27.1%を占める。フォークの被打率は2019年の.229から.190へ改善され、ますます磨きがかかっている。フォーク自体の精度やキレの向上はもちろん、直球が走っていたことも大きいと考えられる。

2019年は直球の被打率が.344と打ち込まれていたが、昨季の同球種の被打率は.259と大きく改善。同球種の被本塁打も10本から4本に減少した。投球の半分近くを占める直球の威力が増したことで、打者が内外角低めにコントロールされるフォークに手を出したり打ち損じたりするシーンも増えた。

昨季から投げ始めたカットボールも投球の幅を広げた。新球とはいえ、投球割合は3番目に多い17.1%。打者の左右は関係なく配球に巧みに織り交ぜ、特に左打者に効果を発揮した。2019年は対左打者の被打率が.355と大きな課題だったが、内側に食い込むカットボールの効果もあってか昨季は.220に劇的に改善した。

新しい投球スタイルで真のエースへ

カットボールが加わり球種が増えたこともあってか、常に力を入れて三振を狙いにいくのではなく、打たせて取るシーンも増えた。昨年9月1日のロッテ戦では7回1死までノーヒットノーランという快投を見せていたが、直球を軸にフォーク、カットボール、スライダー、カーブと緩急自在の投球が光り、序盤からゴロの山を築いた。

8回まで無安打に抑えていた9月8日のオリックス戦でも、様々な球種をストライクゾーンの中で巧みに散らした投球で的を絞らせなかった。以前までは直球とフォークを軸に力投する印象が強かった髙橋だが、モデルチェンジしてペース配分しながら淡々と投げる姿は頼もしく、近い将来のエースとなることを予感させた。

ペース配分がうまくできれば、得点圏に走者を背負った時など、ここぞという場面で力のある球を投げることも可能。2019年は得点圏被打率が.326だったが、昨季は.240。勝負所をおさえた投球ができている証拠だろう。

クローザーの増田達至が残留。加えて平良海馬、森脇亮介ら台頭著しいセットアッパーらで構成されるリリーフ陣は充実している西武。2年ぶりのリーグ優勝奪還に向け、先発投手陣の整備は最重要課題と言ってもいい。開幕投手の大役を担う髙橋の出来が、チーム浮沈のカギを握っている。

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