3年間で通算打率.259の佐野が首位打者快走中
2位を走るDeNAにおいて、開幕から全試合で4番を任されている佐野恵太が好調だ。8月17日現在、打率.342で首位打者、9本塁打、29打点をマーク。昨季までのプロ3年間で通算打率.259、10本塁打、48打点の成績から考えると、十分すぎる活躍だろう。
昨季までの主砲・筒香嘉智がメジャー移籍したため、その穴をどう埋めるかが注目された今季。2年連続本塁打王のネフタリ・ソト、来日8年目のホセ・ロペスに、新外国人のタイラー・オースティンが加入したが、助っ人3人とも右打ちということもあり、アレックス・ラミレス監督は開幕前から左打ちの佐野の4番起用を明言していた。
佐野は岡山県出身で広島・広陵高時代は甲子園出場なし。明治大では2年からリーグ戦に出場して通算6本塁打を放ち、2016年ドラフト9位でDeNAに入団した。3年連続開幕一軍に入り、2019年は89試合に出場して打率.295、5本塁打、33打点をマークしている。
安打数は佐野と宮﨑敏郎がリーグ1、2位
新型コロナウイルスの感染拡大によって開幕が延期された今季、外国人登録は4人から5人に拡大された。強力な助っ人野手陣を揃えるDeNAには追い風と見られ、開幕前には優勝と予想する評論家もいたほどだ。
しかし、蓋を開けてみれば、助っ人トリオが期待されたほどの破壊力を発揮していない現状だけに、佐野の奮闘ぶりが余計に目立つ。野手陣では宮﨑敏郎とともに、ここまで2位につけている原動力と言っても過言ではないだろう。何しろ、安打数では佐野が65、宮﨑が62でセ・リーグの1、2位なのだ。
SPAIAのゾーン別データでは、ベルトラインより上のボールには滅法強いことが分かる。内角高めは打率.588、真ん中高めは打率.400、外角高めは打率.609だ。
逆に内角低めは打率.136で8三振、外角低めは.158で11三振と苦手にしている。今季26三振のうち、19三振はこの2つのコースで喫している。
明大出身の首位打者なら大下弘以来2人目
気になるのは併殺打の多さ。4番だけにチャンスで打順が回ってくることが多いが、今季すでに7併殺打を喫している。セ・リーグ最多の9併殺打の宮崎に次いで、セ・リーグワースト2位タイなのだ。打球方向がセンターから右に偏っているため、広角に打ち分ける技術を身に付ければ、低めを引っかけて内野ゴロ、もしくは三振というパターンを減らせるかも知れない。
とはいえ、その素質を見抜いたラミレス監督の期待に応えているのは立派の一語。キャプテンに任命されたのも、メンタルの強さなどを考慮された上でのことだろう。まだ気が早いが、仮に首位打者に輝けば、明治大出身の打者では大下弘以来2人目となる。
今季ここまでの活躍で「ポスト筒香」という言葉を聞かなくなった。「つなぎの4番」とも称されるが、佐野ならではの4番像が固まった時、DeNA打線はより強力になっているはずだ。
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