スリークォーターで投げる2つのメリット
メジャーリーグ、エンゼルスの大谷翔平が9日(日本時間10日)、ベーブルース以来104年ぶりとなる2桁勝利&2桁本塁打を達成した。投げては6回4安打5三振無失点、打っては25号ソロと投打で活躍。「野球の神様」に並ぶ偉業に世界中から称賛の声が挙がっている。
そんな大谷の投球で最近見られるのが「スリークォーター」だ。普段はオーバースローだが、スライダーを投げる際にスリークォーターでの投球が目立っている。
スリークォーターで投げるメリットは2つ。1つはスライダーの変化量が増す点だ。スライダーはリリース時にボールを外側から内側へ横に回転させる必要がある。オーバースローは上から投げ下ろすフォームのため横回転を与えにくいが、スリークォーターは横に腕を振るため横回転のボールが投げやすくなる。結果、スライダーの変化量が増加し、空振りも取りやすくなるのだ。
もう1つは肩肘への負担軽減ができる点。オーバースローの場合、上から投げ下ろすため上半身主体の投げ方になりやすく、重力に逆って投げることから肩肘に負担がかかりやすい。対してスリークォーターは体幹を軸に、腕が肩と平行あるいは少し上から投球するため肩肘への負担を減らすことができる。大谷自身もトミージョン手術の経験があることから、肩肘への負担軽減を目的として取り入れている可能性もある。
スリークォーターで投げる2つのデメリット
スリークォーターは変化量増加、肩肘への負担軽減がメリットだが、同時にデメリットも2つある。1つは球種が絞れてしまう点だ。
大谷はスリークォーターで投げる際、スライダーの比率が高い。オーバースローならストレート、カーブ、フォーク、スリークォーターならスライダーというように、投球フォームによって大方球種が絞られてしまう。
もう1つは下半身の負担が増える点。先ほど「スリークォーターは肩肘への負担を軽減できる」と述べたが、同時に体を前に傾けながら投球するため重心が低くなり、下半身への負担が大きくなる。大谷は投手、打者両方で出場しているため他の選手よりも下半身への負担が大きいことから、故障リスクは上昇すると言えるだろう。
二刀流で活躍し続けるには「体のメンテナンス」が欠かせない
大谷は最速165キロのストレートとキレのあるスライダー、フォークを持ち味とするが、球速が速い分、体への負担も大きくなる。また、アメリカのボールは日本のボールよりも滑りやすいことからも、肩肘への大きな負担は否めない。
そこで大事になるのが「体のメンテナンス」だ。大谷も28歳になり、若手から中堅に差し掛かろうとしている。年を重ねると疲労回復速度も遅くなっていくため、長く二刀流で活躍するには体のメンテナンスにもより力を入れていく必要があるだろう。
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