最多勝、最優秀防御率、最多奪三振とも射程圏内
パドレスのダルビッシュ有が5月29日(現地時間)のアストロズ戦に先発し、5回4安打、5三振、5失点(自責4)で降板した。3点ビハインドで迎えた9回表にタティスJr.の3ランで追いつき、8-8の同点で迎えた12回表にウィル・マイヤーズが3ランを放って11ー8で勝利。負け投手を免れたダルビッシュは、勝敗はつかず5勝1敗、79奪三振(7位)、防御率2.16(8位)としている。
今季の成績を少し落としたものの、それでも最多勝、最優秀防御率、最多奪三振ともに射程圏内であり、投手三冠達成も決して夢ではない。
8勝3敗でリーグ最多勝を獲得し、防御率も2.01と好成績を収めた昨季から高いレベルで安定している。
安定感を生み出す投球フォーム
ダルビッシュは年ごとに投球フォームを変えている印象があるが、今年も工夫が垣間見える。
まずはモーションの入り方。一昨年や昨年はセットポジションから顔の高さにグラブを置きそのままモーションに入っていたが、今年は一旦グラブを下げてから再度上げ、リズムを意識している印象だ。モーションにリズムを入れることで、余計な力が入らないように工夫ができしている。
2つめに左足の上げ方。昨年までのダルビッシュは足をスムーズに上げて投球に入っていたが、今年は足を上げるスピードを遅くし、右足(軸足)に長く体重を乗せている。投球数が増えると、疲労で右足に体重を十分乗せ切れずに投げてしまう恐れがある。だが、ゆっくり足を上げることで疲労が溜まってもしっかり体重を乗せることができるのだ。
3つめは左腕の畳み方がコンパクトになった点。一昨年は腕を大きく使っていたが、昨年あたりから腕をコンパクトに折りたたみ、無駄を削減した印象だ。腕をコンパクトに使うことで肩・肘にかかる負担を減らし、腕と体のタイミングのズレを軽減できる。
サイヤング賞を勝ち取るために
ダルビッシュは今シーズンのサイヤング賞候補として名前が挙がっているが、他にも有力な投手はもちろんいる。メッツのジェイコブ・デグロムやドジャースのトレバー・バウアーらメジャー屈指の剛腕と争わなければいけない。
ダルビッシュは現在WHIP0.93(9位)、QS7/11(7位)、被打率.192(9位)とサイヤング賞の射程圏内ではあるが、今のままでは厳しい状況。しかし、シーズンはまだ先がある。今後の活躍次第ではサイヤング賞も決して不可能ではない。
昨年のような安定した投球で、今年こそ悲願のサイヤング賞に輝けるか。日本が誇る右腕の今後に注目だ。
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