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勝負のメジャー3年目、マリナーズ・菊池雄星はフォーム改造で飛躍できるか

2021 4/23 11:00中村タカシ
マリナーズ・菊池雄星Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

開幕から2戦連続のQS

マリナーズの菊池雄星は、2021年シーズン開幕から2戦連続クオリティスタート(QS)と上々のスタートを切った。4月3日のジャイアンツ戦は6回3失点、4月11日のツインズ戦は6回2失点と先発の役目を果たし、4月17日のアストロズ戦は7回5失点を喫したものの、4回までパーフェクトピッチングを披露するなどプラス材料もあった。

菊池は最大7年契約を結んでいると報じられており、3年が経過する今シーズン終了後に新たに4年延長の契約オプションが控えている。球団がオプションを行使しない場合、菊池の意思で来年まで1年延長できるが、来シーズン終了後にはFAとなる。

今年の活躍次第では球団がオプションを行使する可能性もあるが、今のままでいくと来年でFAになる可能性が高い。現状は大谷翔平やダルビッシュ有、前田健太、有原航平らに比べて苦しい状況だ。球団からのオプション行使を勝ち取るためにも今年こそ結果を出したいだろう。

変化し続ける投球フォーム

菊池はメジャーへ移籍後、毎年投球フォームを変えている。

メジャー1年目の投球フォームは、ボールを持った手が背中側に入り込み、右足着地後も肘が上がらず肩に負荷がかかりやすいフォームだった。平均球速も初年度は92マイル(約148km/h)ほどで、成績も32試合に登板して6勝11敗と思うようにはいかなかった。

2年目は右足を軸足のかかとが浮くほど高く上げ、右足着地後には肘の位置が肩のラインまで上がるようになり、ボールに角度がついた。平均球速も95マイル(約153km/h)とアップし、メジャー全体の左腕の中で2位タイになるなど進化している。

しかしコロナウイルス感染拡大の影響で試合数も制限され、9試合の登板で2勝4敗と振るわず。メジャー移籍後2年間の平均防御率は5.39と苦戦している。

覚悟のメジャー3年目、首脳陣も高評価

今年の投球フォームは、昨年よりもまとまったフォームである。足を上げる高さを腰の高さまでに抑え、2段モーションからゆったりとテイクバックを取り、腕のたたみをコンパクトにしてブレを軽減させた。

しかし球速が落ちることはなく、90マイル後半のフォーシームを投げることができているため、フォーム改造の影響はなさそうだ。ゆったりしている分、フォーシームをより速く見せられるのも武器となる。

成績には反映されていないものの、ボールの質としては好投してもおかしくはないと言われている。実際に首脳陣からも評価は高く、スコット・サーバイス監督も「屈指の本格派左腕」と評するほど菊池の投球には魅力がある。

今は目立った数字を残せていないが、投球フォームの改造によって好投を続けていけばいずれ数字もついてくるだろう。今年こそチームの柱となるような活躍をして、オフの契約交渉で球団からラブコールを受けることを期待したい。

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