3度対戦した法政二・柴田勲vs浪商・尾崎行雄
2020年甲子園高校野球交流試合の組み合わせが決まった。最終日の8月17日第1試合では、大阪桐蔭―東海大相模という全国屈指の強豪同士が対戦。甲子園で初めて実現したカードを心待ちにするファンも多いだろう。
大阪、神奈川ともに参加校の多い激戦区だけに、両校に限らずどこが出場してもハイレベル。甲子園で大阪代表と神奈川代表の対戦は過去に春夏計28度あり、大阪の17勝10敗1分けとなっている。
これまで大阪桐蔭は神奈川勢に2勝0敗、東海大相模は大阪勢に3勝0敗。今夏にどちらかが初黒星を喫することになる。
柴田勲の法政二(神奈川)と尾崎行雄の浪商(大阪)が3度にわたって戦ったことはあまりにも有名だ。1戦目は1960年夏。2年生エース柴田勲擁する法政二と、1年生エースで「怪童」と呼ばれた尾崎行雄擁する浪商が2回戦で激突した。
7回まで両校譲らず0行進が続いたが、8回に法政二が集中打で4得点。そのまま4-0で浪商を破った法政二は、勢いに乗ってその後も勝ち進む。決勝では静岡に完封勝ちして初の全国制覇を果たした。
2度目の対戦は翌春センバツ準々決勝。2回に浪商が先制したが、5回に法政二が逆転し、結局3-1で再戦を制した。尾崎は11三振を奪いながらも涙を呑んだ。法政二は決勝で高松商に完封勝ちし、夏春連覇を達成した。
3戦目が1961年夏の準決勝。3年生になり、3季連続優勝で有終の美を飾りたい柴田と、三度目の正直に燃える尾崎の戦いは息詰まる展開となった。1回と4回に1点ずつを奪った法政二に対し、浪商は得点を奪えない。迎えた最終回、二死満塁から尾崎がタイムリーを放って同点。延長11回に尾崎の右犠飛などで2点を奪った浪商がついにリベンジを果たした。
浪商は決勝でも桐蔭(和歌山)に完封勝ちして2度目の全国制覇。尾崎は同年の秋季大会後に浪商を中退して17歳でプロ入りし、東映で1年目から20勝を挙げるなど、プロ通算107勝をマークした。巨人入りした柴田も通算2000安打を放つなど、V9時代を支えるスタープレーヤーとなった。
KKコンビのPL学園vs横浜商・三浦将明
1970年夏、東海大相模が初優勝を決めた決勝の相手はPL学園だった。1965年に三池工(福岡)を工業高校として初めての全国制覇に導いた原貢監督が率いる東海大相模は、序盤から猛攻撃。後に日本ハムや広島で活躍するPLのエース・新美敏を攻略し、大量10得点を奪って初優勝を飾った。
1983年夏の決勝も語り継がれる一戦だ。桑田真澄、清原和博が1年生だったPL学園は、準決勝で夏春夏3連覇を目指していた水野雄仁(元巨人)擁する池田を撃破。決勝の相手は長身右腕・三浦将明(元中日)擁する横浜商だった。
2回、甲子園で通算13本の本塁打を放った清原の記念すべき1本目となる先制ソロが右翼ラッキーゾーンに飛び込む。その後も加点したPLが3-0で優勝した。横浜商は決勝で池田に敗れたセンバツに続いて春夏連続準優勝に終わった。
横浜とPLの死闘17回、寺島成輝vs藤平尚真も
大阪VS神奈川で最も印象深いのは1998年、春夏連続で激突した横浜-PLだろう。選抜準決勝では6回にPLが先制したものの、横浜が8回に追いつき、9回に勝ち越し。「平成の怪物」松坂大輔が完投し、3-2で横浜に軍配が上がった。松坂は決勝で久保康友(元ロッテ、阪神、DeNA)擁する関大一を完封し、優勝を飾った。
同年夏準々決勝、延長17回の死闘については詳しい説明は不要だろう。松坂は250球を投げて17回完投。準決勝の明徳義塾戦は2点ビハインドの9回に登板すると、その裏に味方打線が3点を奪って逆転サヨナラ、決勝の京都成章戦ではノーヒットノーランというミラクル快進撃で、横浜が春夏連覇を果たした。
最近では2016年夏の2回戦、履正社-横浜も注目の一戦だった。履正社・寺島成輝(現ヤクルト)と横浜・藤平尚真(現楽天)の投手戦が期待されたが、横浜の先発は左腕・石川達也。横浜は初回に1点を先制したが、履正社が2回に猛攻を仕掛けて逆転すると、この回途中からマウンドに登った藤平も攻め立て一挙5点を奪った。3回以降は両エースの投げ合いとなり、そのまま5-1で履正社が勝利。横浜にとっては悔やまれる敗戦となった。
2020年8月17日にはどんなドラマが待っているのだろうか。トーナメントでない1試合限りの真剣勝負だからこそ、両校とも全力を出し切った好勝負を期待したい。
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