内前をロスなく立ち回ることが鉄則
4月6日(日)に大阪杯(GⅠ)が行われる。GⅡを2連勝中のシックスペンス、桜花賞馬ステレンボッシュら4歳世代屈指の実力馬4頭に、昨年の本レース勝ち馬ベラジオオペラなど強豪が集結した。
以下では、本レースが行われる阪神芝2000mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは阪神芝2000mのコース形態をみる。内回り4コーナーの出口付近からスタートし、初角までの距離は約325m。内回りコースを使用して1周回った後、勾配1.8mの急坂が設けられた359.1mの最終直線(Bコース使用時)を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは、初角までの距離が約325mとそこまで長くない点。序盤の先手争いが長引きにくいため、ペースは上がりにくい。スタート直後に正面スタンド前の急坂を上ることもペースが上がりにくい要因の一つだ。
向正面まで淡々と流れた後、3コーナー過ぎから一気にペースアップする。前半のゆったりとした流れから打って変わり、後半は激しいロングスパート戦になる。
ロングスパート戦であれば、一般的には長く良い脚が使える上がりの速さが重要になる。しかし、本レースは内回りコースを使用するため、コーナーにおいて外からの押し上げが効きにくい。そのため、最終直線に入るまでに後方勢が先団とのポジション差を埋めるのは容易ではなく、直線も比較的短い上に急坂があることから、そのポジション差を最後の末脚だけで逆転するというのもまた難しい。
したがって内前をロスなく立ち回り、ロングスパート戦でしぶとく残し切れる先行馬が恵まれやすい、というのが大阪杯の特徴だ。

<大阪杯 4角通過順位別成績>
4角5番手以内【8-6-4-30】
勝率16.7%、連対率29.2%、複勝率37.5%、単勝回収率233%、複勝回収率108%
※GⅠ昇格後の8年
この傾向は数字にも表れている。大阪杯における4角5番手以内馬の成績は上に示した通り非常に優秀だ。馬券内となった24頭中18頭を該当馬が占めており、勝ち馬は8頭全てが4角5番手以内から出ている。
馬券内となった上記18頭のほとんどがメンバー上位の上がりを使っておらず(13頭が上がり5位以下)、ポジションの差を生かして好走していた。今週からBコース替わりということも考慮すれば、内前で立ち回ることが今回好走するための鉄則と言っていい。
次章の展開予想ではどのくらい先行馬が恵まれ、後方の馬に差してくるチャンスがあるのかを検討していく。
差し馬は中団につける追走力を重視
続いて、今回想定される展開から恵まれる馬を考える。
メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と、出走馬全15頭に対して少なくない。テンの速さに関してはデシエルトがただ一頭抜けており、次点でホウオウビスケッツ、エコロヴァルツとなっている。
金鯱賞のようにデシエルトがハイペースで後続を離して逃げ、2番手集団はホウオウビスケッツ、エコロヴァルツを中心としてややハイペースで追走という展開が最も考えられる。
この展開であれば、ハイペースとはいえ内で立ち回った先行馬がそのまま押し切る形で最も恵まれる。先行馬でも地力がなければ脱落するペースになるため中団の差し馬にもチャンスは回ってくるが、コース形態上、最後方から大外一気で差し切るような競馬は難しい。
基本的には内前で立ち回れる地力の高い先行馬を高く評価し、差し馬の場合は中団で運べる追走力を重視して印を打っていく。
鮮やかな逃亡劇に期待
◎デシエルト
今回のメンバーで最上位のテンの速さを持つ一頭。前走の金鯱賞は休み明けかつ道悪で時計がかかる馬場の中、前半1000m58.2秒という超ハイペースで逃げる衝撃の競馬。0.4秒差4着に敗れたものの、全く評価を下げる内容ではなかった。
2走前の中日新聞杯も同じく前半1000m58.8秒というハイペースで逃げる競馬。差し有利の展開を0.4秒差で圧勝する、着差以上に評価できる内容だった。芝に戻してから挑戦した近2走の重賞はメンバーレベルも十分に高い。最大限のパフォーマンスを発揮できれば今回のメンバーでも勝ち負けするだけの力はある。
展開としても、本馬の離し逃げが想定される。良馬場に替わって叩き2走目、内前有利なコースとBコース替わりの高速馬場を生かし切れば、2番手以降とのポジション差を利して逃げ切れる。前走の展開不利の敗戦を受けて、かなり高いオッズ妙味も見込まれる。
◯ベラジオオペラ
安定した先行力と堅実な末脚を兼ね備えた一頭。前走の有馬記念はスローペースの内前有利展開が向いたものの0.3秒差4着。最後は脚が止まっており、明らかに距離が適性外だった。2走前の天皇賞(秋)はキレ味がない本馬には向かないスローペースの瞬発力戦で、上位の上がりを使えず0.4秒差6着。どちらも評価を下げる内容ではない。
3走前の宝塚記念3着も含め、近3走は着順着差ともに負けすぎてはおらず、国内最上位のメンバー相手に地力の高さを示し続けている。先行力があり、内目の枠からスムーズに内前をロスなく立ち回れるのもプラス材料。勝利した昨年と同様の競馬で好走が期待できる。こちらも近2走の敗戦でオッズ妙味がある。
▲ホウオウビスケッツ
本命・対抗の2頭同様、安定した先行力を持つ実力馬。2枠2番と絶好枠を引いた。内前有利なコースとBコース替わりの馬場を生かせば、内の2番手から馬券圏内に残せる。
△シックスペンス
中団から差してくるならこの馬。近2走の内容が非常に優秀。距離延長で好位~中団につけ、最後に抜け出す形が理想。
×ステレンボッシュ
距離短縮の後方脚質と本レースには合わないものの、能力と何より鞍上を鑑みれば買わなければいけない一頭。
×コスモキュランダ
同じく距離短縮の後方脚質で本レースには合わないが、マクって4角好位まで取り付ける。相手には入れたい。
買い目は◎単勝1点と◎-◯▲△×の馬連5点、◎-◯▲△-◯▲△×の3連複9点で勝負する。(花田)
▽大阪杯予想▽
◎デシエルト
◯ベラジオオペラ
▲ホウオウビスケッツ
△シックスペンス
×ステレンボッシュ
×コスモキュランダ
<2024年勝負買い目個人成績>
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
(東海S~ホープフルS:25記事)
《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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