3種目ともに冬季オリンピックの正式種目
ボブスレーは1924年の第1回大会(シャモニー・モンブラン大会)から、スケルトンは1928年の第2回大会(サンモリッツ大会)から、リュージュは1964年の第9回大会(インスブルック大会)から、冬季オリンピックの正式競技に採用されている。
3競技とも元々はソリ遊びだったものが、違った形で進化したものであり、いずれも強豪国はヨーロッパに集中している。日本ではなじみのない競技で、残念ながらいずれの競技においてもメダルを獲得した日本人選手はいない。
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リュージュ、ボブスレー、スケルトン……。なんとなくオリンピック競技だということは知っているけれど、その違いはわからない。そもそも、やったことも見たこともない。そんな人が多いだろう。似ているようで実は違う3つの競技の違いを解説する。
ボブスレーは1924年の第1回大会(シャモニー・モンブラン大会)から、スケルトンは1928年の第2回大会(サンモリッツ大会)から、リュージュは1964年の第9回大会(インスブルック大会)から、冬季オリンピックの正式競技に採用されている。
3競技とも元々はソリ遊びだったものが、違った形で進化したものであり、いずれも強豪国はヨーロッパに集中している。日本ではなじみのない競技で、残念ながらいずれの競技においてもメダルを獲得した日本人選手はいない。
リュージュとはフランス語で「木ぞり」を意味する。元々は重い荷物を運搬するためのソリだったが、スイスでスポーツ化された。
1879年にはスイスのダボスに専用コースが作られ、1881年に競技会が開催されている。スイス発祥のスポーツだけあって、現在もスイスはリュージュの強豪国。この競技の最大の特徴は、ほぼ生身の人間が足首だけを使って、氷上を高スピードで走り抜けていくところだ。
ボブスレーとは、鋼鉄のソリの中の前方にハンドル、後方にブレーキを備えたもの。当初は雪国での交通機関や木材を運搬する際に使用されていたソリだったが、これを競技用に改良したものを指す。
ボブスレーでは、スタート時に選手がソリを押し、勢いをつけた上でソリに息を合わせて乗り込む。そこから先はドライバーとなった選手が手でハンドルを操作し、コースに沿ってソリをコントロールしながらゴールを目指す。
最高時速は130km~140kmにも達し、「氷上のF1」とも称されるスポーツだ。
スケルトンも、元々はソリから発展したスポーツ。最も簡易なソリをうつ伏せでお腹の下に敷いて滑る。そもそもは使用されていたソリが骨組みだけで、まるで骸骨のようであったことから、スケルトンと名付けられた。
リュージュと表裏は異なるものの、ほぼ生身の人間がコースを滑走する点は似ている。全長1300m~1500mのコースを滑り、そのタイムを競う。一時期、事故が多発したため、オリンピックの正式競技から外されたこともある。
スケルトンとリュージュはほぼ生身の人間がコース上をソリに乗って滑走するのに対して、ボブスレーはソリというイメージよりも、乗り物に乗り込んで斜面を下るスピードを競うといったイメージだろう。
オリンピックでは、リュージュには一人乗り、二人乗りが採用され、選手の体重制限はなく、一定の重りをつけることも認められている。これに対して、ボブスレーは二人乗り、四人乗りが採用され、ソリを含めた総重量も規定されている。スケルトンは、男女それぞれ一人乗りのみ実施されている。
かつて事故が多発したスケルトンだが、現在では防具の義務化が図られたため、そこまで大きな危険をはらんだものではなくなっている。
リュージュ、ボブスレー、スケルトン。いずれも日本人にはあまりなじみのない競技で、日本人メダリストも誕生していない。
氷で作ったコースをソリのような乗り物で高速で下り、そのタイムを競うという点で似たような競技ではあるが、様々な違いがあり、発展の経緯も違う。このような特徴を知った上で競技を見るのも一興だろう。
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